14 / 18
14:霹靂
しおりを挟む
『…あ、赤兎、おはよう』
『おはよう』
『よお、赤兎』
ギルドホールで、「私」がミニスカート姿で逆立ちしながらガーネット達と雑談していると、赤兎が「ろぐいん」して来た。「私」達は雑談を中断し、赤兎に挨拶をする。
上下反転した「私」の視界の中で、赤兎がホールの中央に立ち尽くしたまま、何故かモジモジしている。一向に返事を返さない赤兎を気遣い、ガーネットが声を掛けた。
『どうしたの、赤兎?右手での操作、上手くいかないの?』
『…』
ガーネットが声を掛けても、赤兎は暫くの間俯き、反応を返さない。それでも「私」達が辛抱強く彼の反応を待っていると、やがて彼は顔を上げて口を開き、透き通った男の声で挨拶を返した。
『…あの、おはよう…』
『あら!?赤兎、ついに音声入力にしたの!?』
初めて赤兎の声を聞いたガーネットのマスターが弾かれたように立ち上がり、赤兎の許へと駆け寄って両手を取る。「私」の視界が回転し、横倒しとなったスクリーンに、自信なさげに答える赤兎の姿が映し出された。
『うん、もう声で話しても好いかなって。…おかしくない?』
『全然おかしくない、格好いいよ、赤兎!その容姿に似合っているじゃない!』
この「げーむ」の音声入力は、マスター本人の声ではなく、操作される私達の声で発せられる。だから、私のマスターの発言も、そのぞんざいな言葉遣いに不釣り合いな、女性らしいイリスの声だ。赤兎の透き通った男の声を聞いたガーネットのマスターのテンションが上がり、赤兎の手を掴んだまま飛び跳ね、はしゃいでいる。その好意的な反応を見た赤兎の緊張が解れ、彼ははにかんだ。
そんな二人の会話する姿を、「私」は倒立を崩しホームの床に横たわったまま上半身を起こし、呆然と眺めていた。やがてガーネットの手を振りほどいた赤兎が「私」の許へと歩み寄り、手を伸ばしながら尋ねてくる。
『…イリス、どう?私が喋っていると、変かな?』
『…イヤイヤイヤ!そんな事ねぇって!…か、カッコいい声じゃねぇかっ!』
『…素の声じゃなくて、ごめんね?このゲーム、キャラボイスしか選べないから…』
『べ、別に、がっかりなんか、してねぇし!』
「私」は赤兎に手を引かれ身を起こしながら顔を赤らめ、そっぽを向いて頑なに否定する。赤兎の手を振り払い、両手を背中に回して身じろぎする「私」の姿に、ガーネットが笑いを噛み殺しながら赤兎の手を取って自分へと引き寄せた。
『赤兎、せっかくだから、お姉さんと女子トークしない?ヤマトとイリスばっかりだから、餓えてたのよね!』
『うん、是非是非!』
二人はそのままギルドホールの中央に座り込み、手を繋いだまま、きゃいきゃいとお喋りを始める。「私」がそんな二人の姿を見ながら不貞腐れていると、ヤマトが「私」の背中を叩いた。
『イリス、女の子のお喋りくらい、大目に見てやれ。でないと、モテなくなるぞ?』
『別に、そんな事考えてねぇよ!』
そう反発した「私」はミニスカートの裾を両手で持ち、ホールの中央に向かって上げたり下げたりを繰り返す。だが、中央の二人はお喋りに夢中で、こちらに目を向けようともしない。やがて「私」の顔が真っ赤になり、スカートの裾を引っ張って下着を隠し、俯いてその場に立ち尽くす。
『…お前、馬鹿だろ』
『…』
ヤマトの呆れ声に、「私」は俯いたまま、何も答えなかった。
***
『お早うございます』
『あ!先生、おはよう!ねぇねぇ、赤兎がついに音声デビューしたよ!』
暫くして先生がギルドホールに顔を出し、ガーネットがお喋りを中断して挨拶する。二人のお喋りの間、ヤマトはホール内に座り込んで「ろむ」を続け、「私」はと言えば、立位で開脚前屈を維持したまま、鑑賞会を行っていた。…結局、さっきの恥じらいは一体何だったのだろう。
『おや、赤兎さん、音声デビューおめでとうございます。文字入力と比べて、どうですか?』
『すっごく楽しい。これだったら怖がらずに、もっと早く音声入力に切り替えておけば良かった』
先生の質問に赤兎が振り返り、笑顔で答える。先生は赤兎の喜ぶ姿を見て顔を綻ばせながら、ホールの脇に据え置かれたソファに腰かけた。先生が腰を落ち着けると、赤兎はガーネットへ視線を戻し、二人でお喋りを再開する。
『…そっかぁ、それじゃ、体が動かないのって生まれつきじゃないんだ?ある日突然生活が一変して、辛かったでしょうに』
『うん。正直に言えば、その時は荒れてお父さんやお母さんにもいっぱい迷惑をかけた。けれど、あれから2年経って、その間色々考えて、前向きというか、だんだん開き直って来た』
話を聞いたガーネットのマスターがしんみりとする一方、赤兎のマスターは軽い調子で話している。その意外な姿に「私」やヤマトも顔を上げ、耳を傾けた。
この「げーむ」の世界では、モンスターとの戦いに負けたり、戦争や「ぴーけー」によって多くの人が殺されたり、手足を失ったりする。けれど、それらの出来事は「うんえい」の力によって全てなかった事にされ、次に目が覚めた時には、私達は健全な体に戻っている。だから、私達はそれが当たり前の事だと思っていた。
だけど、マスター達の会話を聞く限り、「りある」の世界はそうではないらしい。戦争や「ぴーけー」は「りある」の世界でも当たり前のように起きているが、そこでは、殺された人は決して生き返らないし、失った手足も二度と戻って来なくて、残りの人生を手足を失った状態で送らなければならない。私はその事実を知った時、大きな衝撃を受け、怖くなった。
何故、元に戻らない事がわかっていながら、平気で相手を殺したり傷つけたりする事ができるのだろう。マスター達は、やり直しが効かないと知っていて、怖くないのだろうか。
そして、何故、赤兎のマスターは、手足が動かないのにも関わらず、あんなに明るく振る舞えるのだろう。
マスターに体の自由を奪われたまま、体内で物思いに沈む私を余所に、赤兎のマスターの独語が続く。
『でも、やっぱり、たまに考えちゃうんだ。何で、私だったんだろう。何であの時に限って、バスが横転したんだろう。それも何で、あの修学旅行で起きたんだろうって』
がちゃん。
ホールの中に耳障りな音が広がり、「私」達が音の出処を探し、振り返った。
其処には床に転がるコーヒーカップと、ソファから腰を浮かせたまま動きを止める、先生の姿があった。先生は床に転がるカップには目もくれず、赤兎の顔を凝視したまま、呆然としている。全てが静止し、物音さえ消え去って静寂に支配されたギルドホールの中に、先生の呟きだけが響き渡った。
『――― 朝比奈さん?』
『…頼子先生?』
ほどなくして赤兎が発した呟きを耳にした途端、先生は弾かれるように立ち上がった。彼は「私」達から身を隠すようにマントを翻すと、そのまま霞のように消え去っていく。
『…先生、待って!』
///// 【ギルドマスター:姜尚】が、ログアウトしました /////
『ぁ…』
コーヒーカップが床に転がる誰も居ないソファに向けて手を伸ばしたまま、赤兎が硬直する。残された全員が動きを止める中、「私」が振り返り、ガーネットを急き立てた。
『ガーネット!お前確か、先生とSNS交換してたよなっ!?連絡取れねぇか!?』
『っ!やってみる!』
///// 【ギルドメンバー:ガーネット】が、ログアウトしました /////
頭の中にメッセージが流れ、ガーネットの姿が掻き消える。「私」はホールの真ん中で座り込んだまま呆然とする赤兎の許へと駆け寄り、脇の下に腕を差し込んで身を引き起こしながら、彼を気遣った。
『おいっ!?赤兎、大丈夫か!?しっかりしろ!』
『…まさか先生が、こんな所に居ただなんて…』
赤兎は「私」に腕を取られたまま、呆然と床を見つめ、虚ろな表情で呟く。
マスター達も予想していなかった突然の邂逅と混乱を前に、私は操られた体の中で為す術もなく呆然と立ち尽くす他になかった。
『おはよう』
『よお、赤兎』
ギルドホールで、「私」がミニスカート姿で逆立ちしながらガーネット達と雑談していると、赤兎が「ろぐいん」して来た。「私」達は雑談を中断し、赤兎に挨拶をする。
上下反転した「私」の視界の中で、赤兎がホールの中央に立ち尽くしたまま、何故かモジモジしている。一向に返事を返さない赤兎を気遣い、ガーネットが声を掛けた。
『どうしたの、赤兎?右手での操作、上手くいかないの?』
『…』
ガーネットが声を掛けても、赤兎は暫くの間俯き、反応を返さない。それでも「私」達が辛抱強く彼の反応を待っていると、やがて彼は顔を上げて口を開き、透き通った男の声で挨拶を返した。
『…あの、おはよう…』
『あら!?赤兎、ついに音声入力にしたの!?』
初めて赤兎の声を聞いたガーネットのマスターが弾かれたように立ち上がり、赤兎の許へと駆け寄って両手を取る。「私」の視界が回転し、横倒しとなったスクリーンに、自信なさげに答える赤兎の姿が映し出された。
『うん、もう声で話しても好いかなって。…おかしくない?』
『全然おかしくない、格好いいよ、赤兎!その容姿に似合っているじゃない!』
この「げーむ」の音声入力は、マスター本人の声ではなく、操作される私達の声で発せられる。だから、私のマスターの発言も、そのぞんざいな言葉遣いに不釣り合いな、女性らしいイリスの声だ。赤兎の透き通った男の声を聞いたガーネットのマスターのテンションが上がり、赤兎の手を掴んだまま飛び跳ね、はしゃいでいる。その好意的な反応を見た赤兎の緊張が解れ、彼ははにかんだ。
そんな二人の会話する姿を、「私」は倒立を崩しホームの床に横たわったまま上半身を起こし、呆然と眺めていた。やがてガーネットの手を振りほどいた赤兎が「私」の許へと歩み寄り、手を伸ばしながら尋ねてくる。
『…イリス、どう?私が喋っていると、変かな?』
『…イヤイヤイヤ!そんな事ねぇって!…か、カッコいい声じゃねぇかっ!』
『…素の声じゃなくて、ごめんね?このゲーム、キャラボイスしか選べないから…』
『べ、別に、がっかりなんか、してねぇし!』
「私」は赤兎に手を引かれ身を起こしながら顔を赤らめ、そっぽを向いて頑なに否定する。赤兎の手を振り払い、両手を背中に回して身じろぎする「私」の姿に、ガーネットが笑いを噛み殺しながら赤兎の手を取って自分へと引き寄せた。
『赤兎、せっかくだから、お姉さんと女子トークしない?ヤマトとイリスばっかりだから、餓えてたのよね!』
『うん、是非是非!』
二人はそのままギルドホールの中央に座り込み、手を繋いだまま、きゃいきゃいとお喋りを始める。「私」がそんな二人の姿を見ながら不貞腐れていると、ヤマトが「私」の背中を叩いた。
『イリス、女の子のお喋りくらい、大目に見てやれ。でないと、モテなくなるぞ?』
『別に、そんな事考えてねぇよ!』
そう反発した「私」はミニスカートの裾を両手で持ち、ホールの中央に向かって上げたり下げたりを繰り返す。だが、中央の二人はお喋りに夢中で、こちらに目を向けようともしない。やがて「私」の顔が真っ赤になり、スカートの裾を引っ張って下着を隠し、俯いてその場に立ち尽くす。
『…お前、馬鹿だろ』
『…』
ヤマトの呆れ声に、「私」は俯いたまま、何も答えなかった。
***
『お早うございます』
『あ!先生、おはよう!ねぇねぇ、赤兎がついに音声デビューしたよ!』
暫くして先生がギルドホールに顔を出し、ガーネットがお喋りを中断して挨拶する。二人のお喋りの間、ヤマトはホール内に座り込んで「ろむ」を続け、「私」はと言えば、立位で開脚前屈を維持したまま、鑑賞会を行っていた。…結局、さっきの恥じらいは一体何だったのだろう。
『おや、赤兎さん、音声デビューおめでとうございます。文字入力と比べて、どうですか?』
『すっごく楽しい。これだったら怖がらずに、もっと早く音声入力に切り替えておけば良かった』
先生の質問に赤兎が振り返り、笑顔で答える。先生は赤兎の喜ぶ姿を見て顔を綻ばせながら、ホールの脇に据え置かれたソファに腰かけた。先生が腰を落ち着けると、赤兎はガーネットへ視線を戻し、二人でお喋りを再開する。
『…そっかぁ、それじゃ、体が動かないのって生まれつきじゃないんだ?ある日突然生活が一変して、辛かったでしょうに』
『うん。正直に言えば、その時は荒れてお父さんやお母さんにもいっぱい迷惑をかけた。けれど、あれから2年経って、その間色々考えて、前向きというか、だんだん開き直って来た』
話を聞いたガーネットのマスターがしんみりとする一方、赤兎のマスターは軽い調子で話している。その意外な姿に「私」やヤマトも顔を上げ、耳を傾けた。
この「げーむ」の世界では、モンスターとの戦いに負けたり、戦争や「ぴーけー」によって多くの人が殺されたり、手足を失ったりする。けれど、それらの出来事は「うんえい」の力によって全てなかった事にされ、次に目が覚めた時には、私達は健全な体に戻っている。だから、私達はそれが当たり前の事だと思っていた。
だけど、マスター達の会話を聞く限り、「りある」の世界はそうではないらしい。戦争や「ぴーけー」は「りある」の世界でも当たり前のように起きているが、そこでは、殺された人は決して生き返らないし、失った手足も二度と戻って来なくて、残りの人生を手足を失った状態で送らなければならない。私はその事実を知った時、大きな衝撃を受け、怖くなった。
何故、元に戻らない事がわかっていながら、平気で相手を殺したり傷つけたりする事ができるのだろう。マスター達は、やり直しが効かないと知っていて、怖くないのだろうか。
そして、何故、赤兎のマスターは、手足が動かないのにも関わらず、あんなに明るく振る舞えるのだろう。
マスターに体の自由を奪われたまま、体内で物思いに沈む私を余所に、赤兎のマスターの独語が続く。
『でも、やっぱり、たまに考えちゃうんだ。何で、私だったんだろう。何であの時に限って、バスが横転したんだろう。それも何で、あの修学旅行で起きたんだろうって』
がちゃん。
ホールの中に耳障りな音が広がり、「私」達が音の出処を探し、振り返った。
其処には床に転がるコーヒーカップと、ソファから腰を浮かせたまま動きを止める、先生の姿があった。先生は床に転がるカップには目もくれず、赤兎の顔を凝視したまま、呆然としている。全てが静止し、物音さえ消え去って静寂に支配されたギルドホールの中に、先生の呟きだけが響き渡った。
『――― 朝比奈さん?』
『…頼子先生?』
ほどなくして赤兎が発した呟きを耳にした途端、先生は弾かれるように立ち上がった。彼は「私」達から身を隠すようにマントを翻すと、そのまま霞のように消え去っていく。
『…先生、待って!』
///// 【ギルドマスター:姜尚】が、ログアウトしました /////
『ぁ…』
コーヒーカップが床に転がる誰も居ないソファに向けて手を伸ばしたまま、赤兎が硬直する。残された全員が動きを止める中、「私」が振り返り、ガーネットを急き立てた。
『ガーネット!お前確か、先生とSNS交換してたよなっ!?連絡取れねぇか!?』
『っ!やってみる!』
///// 【ギルドメンバー:ガーネット】が、ログアウトしました /////
頭の中にメッセージが流れ、ガーネットの姿が掻き消える。「私」はホールの真ん中で座り込んだまま呆然とする赤兎の許へと駆け寄り、脇の下に腕を差し込んで身を引き起こしながら、彼を気遣った。
『おいっ!?赤兎、大丈夫か!?しっかりしろ!』
『…まさか先生が、こんな所に居ただなんて…』
赤兎は「私」に腕を取られたまま、呆然と床を見つめ、虚ろな表情で呟く。
マスター達も予想していなかった突然の邂逅と混乱を前に、私は操られた体の中で為す術もなく呆然と立ち尽くす他になかった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
〖完結〗私が死ねばいいのですね。
藍川みいな
恋愛
侯爵令嬢に生まれた、クレア・コール。
両親が亡くなり、叔父の養子になった。叔父のカーターは、クレアを使用人のように使い、気に入らないと殴りつける。
それでも懸命に生きていたが、ある日濡れ衣を着せられ連行される。
冤罪で地下牢に入れられたクレアを、この国を影で牛耳るデリード公爵が訪ねて来て愛人になれと言って来た。
クレアは愛するホルス王子をずっと待っていた。彼以外のものになる気はない。愛人にはならないと断ったが、デリード公爵は諦めるつもりはなかった。処刑される前日にまた来ると言い残し、デリード公爵は去って行く。
そのことを知ったカーターは、クレアに毒を渡し、死んでくれと頼んで来た。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全21話で完結になります。
永遠の誓いを立てましょう、あなたへの想いを思い出すことは決してないと……
矢野りと
恋愛
ある日突然、私はすべてを失った。
『もう君はいりません、アリスミ・カロック』
恋人は表情を変えることなく、別れの言葉を告げてきた。彼の隣にいた私の親友は、申し訳なさそうな顔を作ることすらせず笑っていた。
恋人も親友も一度に失った私に待っていたのは、さらなる残酷な仕打ちだった。
『八等級魔術師アリスミ・カロック。異動を命じる』
『えっ……』
任期途中での異動辞令は前例がない。最上位の魔術師である元恋人が裏で動いた結果なのは容易に察せられた。
私にそれを拒絶する力は勿論なく、一生懸命に築いてきた居場所さえも呆気なく奪われた。
それから二年が経った頃、立ち直った私の前に再び彼が現れる。
――二度と交わらないはずだった運命の歯車が、また動き出した……。
※このお話の設定は架空のものです。
※お話があわない時はブラウザバックでお願いします(_ _)
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる