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遺跡の龍

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『妾はイーヴィル。七神龍の一人であり、邪神龍の地位に就くものなり』

高らかに名乗る龍こと邪神龍、イーヴィル。

「(ふふふっ…数百年ぶりの人間じゃ。ここは一つ邪神龍の威厳を見せねばの!さあ!存分に震えるがよい!!)」

と、威圧を込めた目でギロリと睨み春政を見るのだったのだが・・・・・

「へ~・・・・・そうなんだ。どうも初めまして」

「っ!?」

彼のあまりにものリアクションの低さに思わず驚くイーヴィル。それはそうだろう。こんなにでかいドラゴン。しかもすごい威圧感をしている相手に拍子抜けするような表情をされたら誰だってそうなる

『え?ねぇ?驚かんのか!?妾は邪神龍じゃぞ!?いやそれ以前にドラゴンだぞ!!普通驚くだろ!怖がるじゃろ!なぜ平然としておる!?』

「いや、ドラゴンに会ったのは驚くよ?でもなんかね転生物語の序盤と言ったらまず、ヒロインだとかドラゴンだとか魔物だとかが定番じゃないか?そう言うのもう慣れたというか・・・・」

『何を言っておるんだお主は?』

春政の言葉に目を細める龍。春政こと総司は一度目の転生先である現在日本で学生として生活していた時にはまっていたのは転生者の小説だった。幕末の時代にはなかったファンタジーやそう言う系の本を読み漁った彼にとってもはや喋るドラゴンが出て来ても大して驚かないのだ

「まあ、つまりそう簡単には驚かないってことだよ」

そう平然と言う春政に邪神龍イーヴィルが

『そ・・・そんな・・・』

と、崩れ落ちるようにがっかりした表情をする。そして

『うっうっ・・・・数百年ぶりに人が来たから邪神龍として邪悪で怖いところを見せて驚かせようと思ったのに・・・・・』

「あの・・・・何か俺、悪いことしましたね。ここは怖がるべきでした・・・・すみません」

『謝るな。余計虚しくなる』

少し罪悪感を抱いた春政は頭を下げる春政に余計虚しさを感じるイーヴィル。だがイーヴィルはため息をつき

『はぁ・・・・もういい。それで人間。変わった格好をしておる様じゃが・・・・なるほど貴様。転生者だな?』

「え?」

イーヴィルが春政の浅黄色のだんだら羽織とその雰囲気から彼が別世界から転生した人物だと気づく

『ふむ・・・・・転生者を見るのは300年ぶりだな・・・・それで?お前は転生者なのだな?』

「あ・・・ああ・・・」

イーヴィルの問いに春政は答えた。自分が二度の転生をしたこと。一度目は沖田総司として病で死んだことそして転生したら最初活きていた時代より先の未来の時代に転生として沖田春政として普通の生活をしていたことを龍に話した

「まあ、信じられないと思うけどな(てか、龍相手に何話しているんだろう・・・・俺)」

そう思っていると、邪神龍イーヴィルは

『そうか・・・・お主も苦労したのじゃな・・・・そうか…あの男またしでかしたのか・・・・』

「え?あの神様知っているの?」

ため息交じりに言う龍に春政は自分を転生させた神のことを知っているのか訊くと

『ああ。寿命リストを誤ってシュレッターにかけてしまうほどの間抜けはあ奴しかおらん』

呆れ顔でため息を吐く

「何か…あの神様のことでいろいろとあるのか?」

『ああ・・・・一杯ある。話しきれないほどにな・・・・・それより人間。お前なぜ村ではなくこんなところに来た?』

「村?村があるのか?」

『ああ・・・・ここから1500キロほど先にある森を抜けてそこを100キロ進んだところにある』

「結構長いな・・・・・・てか距離の単位は同じなんだな」

沖田は少しため息をつく。荒地から森に行くまで1500キロ…江戸…いや東京から九州の屋久島までと同じ距離を歩いてさらに500キロ。そんな長い距離を歩くなんて正直言って大変だ。それにここに行くまでの荒地を見たが食料もなければ水もない。はっきり言ってしまえば森に着くまでに餓死するな・・・・

「はぁ・・・・転生して世界に来てたったの数時間でゲームオーバーという奴か・・・・」

『お…おい。お主・・・・大丈夫か?』

へたり込む沖田に邪龍イーヴィルは困った顔をする

「はぁ・・・どうしよう。土方さんや近藤さんがいたら何かいい知恵貸してくれるかもしれないけど。いいやここでへたり込むのは士道不覚後。うん。武士にあるまじき行為だよな・・・・でも食料がないと今後の旅はきついかもな・・・・」

『お・・・おい?どうしたのじゃ?もしかして腹を空かせておるのか?なら妾が馳走してやるぞ?』

「・・・・・・・え?いいの?」

『空腹なものを放っておくわけにはいかないし、死なれても困るからな・・・・確か千年はもつ保存食を戸棚にしまったはずだが・・・・この姿じゃ動きにくいな・・・・しかたない」

そう言うとイーヴィルは軽く立ち上がるとその足元から黒い煙が現れ包み込む。そしてイーヴィルを包み込んだ煙はイーヴィルとともに沖田ぐらいの大きさに縮まり、そして黒煙が晴れるとそこには黒いドレスを纏った長い金髪の少女が立っていた

「ふむ・・・・この体になるのは久しぶりじゃの・・・・・さてと客人。しばし待たれよ」

そう言い彼女は遺跡の奥の方へと言ってしまい。逆にその様子を見た沖田は

「・・・・・・・・え?女の子?」

あの邪神龍が女性だったことに驚いていたのであった
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