2 / 6
プロローグ
サバイバー
しおりを挟む
ざくりっ、ざくーー
影ーーが、足元に生える草花を踏みしめて、姿を現す。
身長は3メートルはあろうか、筋骨隆々の体躯には、牛の蹄に似た足先、首元を被うマフラーのような灰色の体毛、頭部は、人のそれに類似するが、頭部から生える2本の巻き角。2つの眼に4つの眼球ーー
人とは違う。だが、それの印象は、二足歩行を体現しており、人類と同類に見えた。
「……アレは一体ーー」
勇磨の言葉は、語尾が弱々しい。
「フゥ……」
猫がため息を付く。
「アレは……」
勇磨たちが異形の存在と遭遇していた同時刻、同じ森林を疾駆する、一団がいた。
「探索陣形から、戦闘陣形へシフト」
一団の先頭を行く者から、号令がかかる。
先頭を行く者ーー金髪の長髪をたなびかせ、深紅と漆黒のスーツに身を包む女性。特徴的なのは、背中から飛び出した、コウモリの羽に似た、二枚の翼である。
女性は、走る速度を緩めて、右拳を空へ突き上げた。
「隊長、何か?」
一団6名のうちから、ひとりの男性が女性のもとへ歩み寄る。
彼は隊長と呼ばれた女性とは違い、短髪の黒髪、着ているものは同じだが、背中に生える翼は、白鳥の純白さを持っていた。
「厄介な領域に来てしまったようだ。感じるか?」
「ええ……ヤりますか?」
「そうだな、アンノウン生体反応が気になる。サバイバーだと良いがーー」
ダンッ!!
「何者だ!名乗りをあげよ!」
と、一団の前に、勇磨たちが目撃した異形の者が、空から降下して来た。
「なっ、バアルの私兵!?」
一団のひとりが、声を上げる。
「ほう……」
バアルの私兵と呼ばれた異形が、一団を一瞥する。
「悪魔と天使と人間かーー」
異形は腕を組ながら、ほくそ笑む。
「我は、バアル・アザゼルさまより領域偵察、及び警備を拝命した、アルゴリオ! アザゼルさまの領域に、何用だ?」
「私は天魔同盟学園の領域探索隊所属、名はリリエラ! 領域探索の途中、サバイバーの可能性ありとの信号をキャッチして、この場に急行した。バアル・アザゼル陛下への敵対行動、宣戦布告行動では、決してない!」
女性、リリエラは名乗りかえした。
「なるほど。では、アザゼルさまの領域だと承知ではないと?」
アルゴリオが問う。
「未探索領域における我々の立場はーー」
リリエラが言葉を紡ぎ終える間も無く、一団の2名が燃え上がり、崩れ落ちた。
「なっ!?」
リリエラが唸る。
「我々の立場? 関係ない」
アルゴリオが両手に宿した炎を舐めながら言う。
一方、勇磨と猫は、木陰から、リリエラとアルゴリオのやり取りを、凝視していた。
「やっぱり、気絶しても、いいかな?」
勇磨は、視線を地獄絵図と化した空間から外さずに呟く。
「バカもの! 死にたくなければ、意識を保て! バカ!」
猫の爪が勇磨の頭皮に突き刺さる。
「わ、わかったから! 爪は止めてくれ! 痛い!」
勇磨は状況がわからない事を、猫に伝える。
「……どうやら儂らは、サバイバーと言うモノらしい」
猫が話す。それしか今のところ、理解していないとも。
「隊長! ヤります!」
一団の、白鳥の羽を持つ男性が、アルゴリオに突進したーー
影ーーが、足元に生える草花を踏みしめて、姿を現す。
身長は3メートルはあろうか、筋骨隆々の体躯には、牛の蹄に似た足先、首元を被うマフラーのような灰色の体毛、頭部は、人のそれに類似するが、頭部から生える2本の巻き角。2つの眼に4つの眼球ーー
人とは違う。だが、それの印象は、二足歩行を体現しており、人類と同類に見えた。
「……アレは一体ーー」
勇磨の言葉は、語尾が弱々しい。
「フゥ……」
猫がため息を付く。
「アレは……」
勇磨たちが異形の存在と遭遇していた同時刻、同じ森林を疾駆する、一団がいた。
「探索陣形から、戦闘陣形へシフト」
一団の先頭を行く者から、号令がかかる。
先頭を行く者ーー金髪の長髪をたなびかせ、深紅と漆黒のスーツに身を包む女性。特徴的なのは、背中から飛び出した、コウモリの羽に似た、二枚の翼である。
女性は、走る速度を緩めて、右拳を空へ突き上げた。
「隊長、何か?」
一団6名のうちから、ひとりの男性が女性のもとへ歩み寄る。
彼は隊長と呼ばれた女性とは違い、短髪の黒髪、着ているものは同じだが、背中に生える翼は、白鳥の純白さを持っていた。
「厄介な領域に来てしまったようだ。感じるか?」
「ええ……ヤりますか?」
「そうだな、アンノウン生体反応が気になる。サバイバーだと良いがーー」
ダンッ!!
「何者だ!名乗りをあげよ!」
と、一団の前に、勇磨たちが目撃した異形の者が、空から降下して来た。
「なっ、バアルの私兵!?」
一団のひとりが、声を上げる。
「ほう……」
バアルの私兵と呼ばれた異形が、一団を一瞥する。
「悪魔と天使と人間かーー」
異形は腕を組ながら、ほくそ笑む。
「我は、バアル・アザゼルさまより領域偵察、及び警備を拝命した、アルゴリオ! アザゼルさまの領域に、何用だ?」
「私は天魔同盟学園の領域探索隊所属、名はリリエラ! 領域探索の途中、サバイバーの可能性ありとの信号をキャッチして、この場に急行した。バアル・アザゼル陛下への敵対行動、宣戦布告行動では、決してない!」
女性、リリエラは名乗りかえした。
「なるほど。では、アザゼルさまの領域だと承知ではないと?」
アルゴリオが問う。
「未探索領域における我々の立場はーー」
リリエラが言葉を紡ぎ終える間も無く、一団の2名が燃え上がり、崩れ落ちた。
「なっ!?」
リリエラが唸る。
「我々の立場? 関係ない」
アルゴリオが両手に宿した炎を舐めながら言う。
一方、勇磨と猫は、木陰から、リリエラとアルゴリオのやり取りを、凝視していた。
「やっぱり、気絶しても、いいかな?」
勇磨は、視線を地獄絵図と化した空間から外さずに呟く。
「バカもの! 死にたくなければ、意識を保て! バカ!」
猫の爪が勇磨の頭皮に突き刺さる。
「わ、わかったから! 爪は止めてくれ! 痛い!」
勇磨は状況がわからない事を、猫に伝える。
「……どうやら儂らは、サバイバーと言うモノらしい」
猫が話す。それしか今のところ、理解していないとも。
「隊長! ヤります!」
一団の、白鳥の羽を持つ男性が、アルゴリオに突進したーー
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる