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プロローグ
サバイバー
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ざくりっ、ざくーー
影ーーが、足元に生える草花を踏みしめて、姿を現す。
身長は3メートルはあろうか、筋骨隆々の体躯には、牛の蹄に似た足先、首元を被うマフラーのような灰色の体毛、頭部は、人のそれに類似するが、頭部から生える2本の巻き角。2つの眼に4つの眼球ーー
人とは違う。だが、それの印象は、二足歩行を体現しており、人類と同類に見えた。
「……アレは一体ーー」
勇磨の言葉は、語尾が弱々しい。
「フゥ……」
猫がため息を付く。
「アレは……」
勇磨たちが異形の存在と遭遇していた同時刻、同じ森林を疾駆する、一団がいた。
「探索陣形から、戦闘陣形へシフト」
一団の先頭を行く者から、号令がかかる。
先頭を行く者ーー金髪の長髪をたなびかせ、深紅と漆黒のスーツに身を包む女性。特徴的なのは、背中から飛び出した、コウモリの羽に似た、二枚の翼である。
女性は、走る速度を緩めて、右拳を空へ突き上げた。
「隊長、何か?」
一団6名のうちから、ひとりの男性が女性のもとへ歩み寄る。
彼は隊長と呼ばれた女性とは違い、短髪の黒髪、着ているものは同じだが、背中に生える翼は、白鳥の純白さを持っていた。
「厄介な領域に来てしまったようだ。感じるか?」
「ええ……ヤりますか?」
「そうだな、アンノウン生体反応が気になる。サバイバーだと良いがーー」
ダンッ!!
「何者だ!名乗りをあげよ!」
と、一団の前に、勇磨たちが目撃した異形の者が、空から降下して来た。
「なっ、バアルの私兵!?」
一団のひとりが、声を上げる。
「ほう……」
バアルの私兵と呼ばれた異形が、一団を一瞥する。
「悪魔と天使と人間かーー」
異形は腕を組ながら、ほくそ笑む。
「我は、バアル・アザゼルさまより領域偵察、及び警備を拝命した、アルゴリオ! アザゼルさまの領域に、何用だ?」
「私は天魔同盟学園の領域探索隊所属、名はリリエラ! 領域探索の途中、サバイバーの可能性ありとの信号をキャッチして、この場に急行した。バアル・アザゼル陛下への敵対行動、宣戦布告行動では、決してない!」
女性、リリエラは名乗りかえした。
「なるほど。では、アザゼルさまの領域だと承知ではないと?」
アルゴリオが問う。
「未探索領域における我々の立場はーー」
リリエラが言葉を紡ぎ終える間も無く、一団の2名が燃え上がり、崩れ落ちた。
「なっ!?」
リリエラが唸る。
「我々の立場? 関係ない」
アルゴリオが両手に宿した炎を舐めながら言う。
一方、勇磨と猫は、木陰から、リリエラとアルゴリオのやり取りを、凝視していた。
「やっぱり、気絶しても、いいかな?」
勇磨は、視線を地獄絵図と化した空間から外さずに呟く。
「バカもの! 死にたくなければ、意識を保て! バカ!」
猫の爪が勇磨の頭皮に突き刺さる。
「わ、わかったから! 爪は止めてくれ! 痛い!」
勇磨は状況がわからない事を、猫に伝える。
「……どうやら儂らは、サバイバーと言うモノらしい」
猫が話す。それしか今のところ、理解していないとも。
「隊長! ヤります!」
一団の、白鳥の羽を持つ男性が、アルゴリオに突進したーー
影ーーが、足元に生える草花を踏みしめて、姿を現す。
身長は3メートルはあろうか、筋骨隆々の体躯には、牛の蹄に似た足先、首元を被うマフラーのような灰色の体毛、頭部は、人のそれに類似するが、頭部から生える2本の巻き角。2つの眼に4つの眼球ーー
人とは違う。だが、それの印象は、二足歩行を体現しており、人類と同類に見えた。
「……アレは一体ーー」
勇磨の言葉は、語尾が弱々しい。
「フゥ……」
猫がため息を付く。
「アレは……」
勇磨たちが異形の存在と遭遇していた同時刻、同じ森林を疾駆する、一団がいた。
「探索陣形から、戦闘陣形へシフト」
一団の先頭を行く者から、号令がかかる。
先頭を行く者ーー金髪の長髪をたなびかせ、深紅と漆黒のスーツに身を包む女性。特徴的なのは、背中から飛び出した、コウモリの羽に似た、二枚の翼である。
女性は、走る速度を緩めて、右拳を空へ突き上げた。
「隊長、何か?」
一団6名のうちから、ひとりの男性が女性のもとへ歩み寄る。
彼は隊長と呼ばれた女性とは違い、短髪の黒髪、着ているものは同じだが、背中に生える翼は、白鳥の純白さを持っていた。
「厄介な領域に来てしまったようだ。感じるか?」
「ええ……ヤりますか?」
「そうだな、アンノウン生体反応が気になる。サバイバーだと良いがーー」
ダンッ!!
「何者だ!名乗りをあげよ!」
と、一団の前に、勇磨たちが目撃した異形の者が、空から降下して来た。
「なっ、バアルの私兵!?」
一団のひとりが、声を上げる。
「ほう……」
バアルの私兵と呼ばれた異形が、一団を一瞥する。
「悪魔と天使と人間かーー」
異形は腕を組ながら、ほくそ笑む。
「我は、バアル・アザゼルさまより領域偵察、及び警備を拝命した、アルゴリオ! アザゼルさまの領域に、何用だ?」
「私は天魔同盟学園の領域探索隊所属、名はリリエラ! 領域探索の途中、サバイバーの可能性ありとの信号をキャッチして、この場に急行した。バアル・アザゼル陛下への敵対行動、宣戦布告行動では、決してない!」
女性、リリエラは名乗りかえした。
「なるほど。では、アザゼルさまの領域だと承知ではないと?」
アルゴリオが問う。
「未探索領域における我々の立場はーー」
リリエラが言葉を紡ぎ終える間も無く、一団の2名が燃え上がり、崩れ落ちた。
「なっ!?」
リリエラが唸る。
「我々の立場? 関係ない」
アルゴリオが両手に宿した炎を舐めながら言う。
一方、勇磨と猫は、木陰から、リリエラとアルゴリオのやり取りを、凝視していた。
「やっぱり、気絶しても、いいかな?」
勇磨は、視線を地獄絵図と化した空間から外さずに呟く。
「バカもの! 死にたくなければ、意識を保て! バカ!」
猫の爪が勇磨の頭皮に突き刺さる。
「わ、わかったから! 爪は止めてくれ! 痛い!」
勇磨は状況がわからない事を、猫に伝える。
「……どうやら儂らは、サバイバーと言うモノらしい」
猫が話す。それしか今のところ、理解していないとも。
「隊長! ヤります!」
一団の、白鳥の羽を持つ男性が、アルゴリオに突進したーー
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