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6章:授業参観
18.変装
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その日は気持ちの良い天気だった。
今日は皆、どことなくそわそわしているように見える。
きっと私の顔もそわそわしているように見えるだろうなぁ。
――だって師匠が見に来るんだもん。
別に良いところを見せようとかそういうのは無いけど、やっぱり緊張する。
既に教室の後ろには十人程度、保護者が並んでいた。
「えっと、師匠は……まだみたいね」
私の席は一番後ろなので保護者からとても近い。前を向いていても保護者同士で小声で挨拶を交わしているのがよく聞こえる。
変装して来るって言ってたけど、さすがにこの距離なら師匠が来たらたぶんわかると思う。
今日の授業は転送魔法の実験だ。
先生が教卓の後ろで「特定の場所へ移動する魔法」について書かれた教科書を読み上げている。
その時、教室に誰か来たらしくコツコツとヒールの高い靴をはいているような足音が聞こえて、背後が急にざわついた。
何があったのかと振り向くと、そこには妙にガタイの良い長い黒髪の男性が真っ赤な露出の高いドレスを着てムスっと不機嫌そうな表情で立っていて、手には見慣れた銀色の杖が……
――師匠だぁぁぁぁぁぁ~~~~!!!!
変装って女装だったの⁉ お化粧が濃くて夜の酒場にいるオネェさんみたい。長い髪はウィッグだろうか。
師匠、魔法使いのくせに筋肉すごいんですね……いやそうじゃなくて。
なんでそんな恥ずかしい格好で来ちゃったんだろう。
師匠が私の困惑をよそに、低い声で真顔でささやきかける。
「メイ。お母さんだよ……」
そんなわけあるか~~~~!!!!
急にいろんな感情が襲ってきて頭の整理がつかない私に、隣にいる真っ白のゴージャスなドレスを着た美女が軽く手を振って微笑みかけてきた。
「メイちゃ~ん、こいつは単なる通りすがりの女装好きのオッサンだから騙されないでっ! 私が本当のお母さんよぉ~☆」
あれ? 私、こんな綺麗な人と知り合いだっけ? この気品溢れる真っ白な姿で綺麗な青い瞳は……
――ホワイティ王子様ぁぁぁぁぁぁ~~~~!!!!
なんで。なんで彼まで一緒に女装してここにいるの……⁉
あまりの出来事に固まっている私を見て、二人が小声でコソコソやりとりし始めた。
「おい、どうすんだよ。すげぇ浮いてるし、メイがドン引きしてんじゃねぇか」
「ふふふ。メイちゃん、僕という最高のサプライズに感激して動けなくなっちゃったんだね」
「ちげーよ! そもそもてめぇが “授業参観は母親ばっかりだから女の格好すれば目立たない” って言うから……」
「うーん。やっぱり、僕とジュリィの輝きはそんなことくらいじゃ隠せないんだよね」
「だからジュリィって呼ぶなって何度言ったら……」
――師匠も王子もパーティドレスなのは完全に浮いてると思います。どこの社交界ですか。
あぁ、教壇の先生も目がまん丸になってる。生徒たちも「あれ、誰の親だよ」ってヒソヒソしてる。
どうか私の保護者だってばれませんように……!
私は前を向いて、必死で教科書を見て他人の振りをした。
今日は皆、どことなくそわそわしているように見える。
きっと私の顔もそわそわしているように見えるだろうなぁ。
――だって師匠が見に来るんだもん。
別に良いところを見せようとかそういうのは無いけど、やっぱり緊張する。
既に教室の後ろには十人程度、保護者が並んでいた。
「えっと、師匠は……まだみたいね」
私の席は一番後ろなので保護者からとても近い。前を向いていても保護者同士で小声で挨拶を交わしているのがよく聞こえる。
変装して来るって言ってたけど、さすがにこの距離なら師匠が来たらたぶんわかると思う。
今日の授業は転送魔法の実験だ。
先生が教卓の後ろで「特定の場所へ移動する魔法」について書かれた教科書を読み上げている。
その時、教室に誰か来たらしくコツコツとヒールの高い靴をはいているような足音が聞こえて、背後が急にざわついた。
何があったのかと振り向くと、そこには妙にガタイの良い長い黒髪の男性が真っ赤な露出の高いドレスを着てムスっと不機嫌そうな表情で立っていて、手には見慣れた銀色の杖が……
――師匠だぁぁぁぁぁぁ~~~~!!!!
変装って女装だったの⁉ お化粧が濃くて夜の酒場にいるオネェさんみたい。長い髪はウィッグだろうか。
師匠、魔法使いのくせに筋肉すごいんですね……いやそうじゃなくて。
なんでそんな恥ずかしい格好で来ちゃったんだろう。
師匠が私の困惑をよそに、低い声で真顔でささやきかける。
「メイ。お母さんだよ……」
そんなわけあるか~~~~!!!!
急にいろんな感情が襲ってきて頭の整理がつかない私に、隣にいる真っ白のゴージャスなドレスを着た美女が軽く手を振って微笑みかけてきた。
「メイちゃ~ん、こいつは単なる通りすがりの女装好きのオッサンだから騙されないでっ! 私が本当のお母さんよぉ~☆」
あれ? 私、こんな綺麗な人と知り合いだっけ? この気品溢れる真っ白な姿で綺麗な青い瞳は……
――ホワイティ王子様ぁぁぁぁぁぁ~~~~!!!!
なんで。なんで彼まで一緒に女装してここにいるの……⁉
あまりの出来事に固まっている私を見て、二人が小声でコソコソやりとりし始めた。
「おい、どうすんだよ。すげぇ浮いてるし、メイがドン引きしてんじゃねぇか」
「ふふふ。メイちゃん、僕という最高のサプライズに感激して動けなくなっちゃったんだね」
「ちげーよ! そもそもてめぇが “授業参観は母親ばっかりだから女の格好すれば目立たない” って言うから……」
「うーん。やっぱり、僕とジュリィの輝きはそんなことくらいじゃ隠せないんだよね」
「だからジュリィって呼ぶなって何度言ったら……」
――師匠も王子もパーティドレスなのは完全に浮いてると思います。どこの社交界ですか。
あぁ、教壇の先生も目がまん丸になってる。生徒たちも「あれ、誰の親だよ」ってヒソヒソしてる。
どうか私の保護者だってばれませんように……!
私は前を向いて、必死で教科書を見て他人の振りをした。
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