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season3
157話:錬金術師のドキュメンタリー映像
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久しぶりに魔人のジンが蜃気楼を訪れたのは、セミの声が聞こえ始めたある日のことでした。
「うふふ、お久しぶりねぇ♪ 今日はジェル子ちゃんに良い話があって来たのよぉ~」
「良い話ってなんですか?」
「知り合いの映画監督がアイデアに困ってて、誰も見たことがないような刺激になるようなムービーが欲しいって言ってるの!」
「はぁ。うちの店はアンティークの店ですよ。魔術書はあっても映像作品は取り扱ってませんけど?」
商売にならなさそうな話だなぁと思いながら返事すると、ジンは魔法でビデオカメラを取り出して予想外のことを言い出したのです。
「そうじゃなくて、ジェル子ちゃん達を主役に、錬金術師のドキュメンタリー映像を撮影したいのよ!」
確かにワタクシが錬金術を使ったりするのは、きっと映像映えすることでしょう。
しかし、そんな見世物みたいな扱いをうけるのは不本意ですし、協力するのはめんどくさそうだと思いました。
ここは当たり障りなく断っておいた方が得策かもしれません。
「ワタクシ、今忙しいんですよねぇ」
「そう、残念ねぇ。ギャラもたっぷりあるし、ハリウッドで映画化するかもしれないチャンスなんだけど――」
ギャラもたっぷり……ハリウッドで映画化⁉
「――錬金術師のことを記録として後世に残すのは、歴史的に意義のあることだと思います。ぜひ協力させていただきましょう」
「さすがジェル子ちゃんね。助かるわぁ♪」
こうしてワタクシを題材にしたドキュメンタリー映像が撮影されることとなったのでした。
「撮影はアタシがするから、アレクちゃんにも登場してもらいたいわね。彼、イケメンだし、兄弟で錬金術師なんてきっとウケるわよ!」
アレクは錬金術も魔術も使えないんですけどねぇ……まぁワタクシとはまったく違うタイプですが黙ってさえいれば美男子ではありますし、適当に背景として立たせておけば絵になるかもしれません。
家の中に居たアレクを呼んで事情を説明すると、彼は目を輝かせました。
「マジか! 俺もハリウッドスターになりたい!」
「主役はワタクシですけどね」
「それじゃ、撮影開始しましょ! まずはインタビューからかしらね♪」
「もう撮影スタートですか⁉」
「えぇ、ドキュメンタリーですもの。ありのままを撮影しないと」
ありのままなんて映されたら困ります。
蜃気楼のカウンターは最近お客様が来ないのをいい事に、片づけがおろそかになっているのです。
目の前には読みかけの雑誌が山積みですし、アレクが置き忘れたパン男ロボや、どこかの社名が入ったノベルティのボールペンがあり、さらにその隣には片付けが面倒だからと放置された掃除用のスプレーが存在を主張しています。
そして極めつけは、どうあがいても生活感がでてしまう箱ティッシュ。
すぐ取れる場所にあると便利なので置いていたのです。
こんな物を映されては、神秘的な錬金術師のイメージが台無しになってしまうではありませんか。
「ここはいけません! 商品棚を適当に映した後は、我が家の方で撮影しましょう……!」
慌ててジンを家の中に誘導して、ワタクシの部屋の前で待たせました。
「ちょっとここで待ってくださいね、中を片付けますから!」
「あら、別にそのまで構わないのに」
ジンはそう言いますがワタクシは困るのです。
最近は使わないからとしまいこんでいた、錬金術の道具や鉱石の標本をだしてきて、意味ありげに薬品と一緒にテーブルに並べました。
これでなんとか錬金術師の工房らしく見えるでしょうか。
「さて……では、ワタクシの日常をお見せするというお話しでしたね。今から特別に叡智の結集である錬金術の工房をお見せしましょう」
「うふふ、お久しぶりねぇ♪ 今日はジェル子ちゃんに良い話があって来たのよぉ~」
「良い話ってなんですか?」
「知り合いの映画監督がアイデアに困ってて、誰も見たことがないような刺激になるようなムービーが欲しいって言ってるの!」
「はぁ。うちの店はアンティークの店ですよ。魔術書はあっても映像作品は取り扱ってませんけど?」
商売にならなさそうな話だなぁと思いながら返事すると、ジンは魔法でビデオカメラを取り出して予想外のことを言い出したのです。
「そうじゃなくて、ジェル子ちゃん達を主役に、錬金術師のドキュメンタリー映像を撮影したいのよ!」
確かにワタクシが錬金術を使ったりするのは、きっと映像映えすることでしょう。
しかし、そんな見世物みたいな扱いをうけるのは不本意ですし、協力するのはめんどくさそうだと思いました。
ここは当たり障りなく断っておいた方が得策かもしれません。
「ワタクシ、今忙しいんですよねぇ」
「そう、残念ねぇ。ギャラもたっぷりあるし、ハリウッドで映画化するかもしれないチャンスなんだけど――」
ギャラもたっぷり……ハリウッドで映画化⁉
「――錬金術師のことを記録として後世に残すのは、歴史的に意義のあることだと思います。ぜひ協力させていただきましょう」
「さすがジェル子ちゃんね。助かるわぁ♪」
こうしてワタクシを題材にしたドキュメンタリー映像が撮影されることとなったのでした。
「撮影はアタシがするから、アレクちゃんにも登場してもらいたいわね。彼、イケメンだし、兄弟で錬金術師なんてきっとウケるわよ!」
アレクは錬金術も魔術も使えないんですけどねぇ……まぁワタクシとはまったく違うタイプですが黙ってさえいれば美男子ではありますし、適当に背景として立たせておけば絵になるかもしれません。
家の中に居たアレクを呼んで事情を説明すると、彼は目を輝かせました。
「マジか! 俺もハリウッドスターになりたい!」
「主役はワタクシですけどね」
「それじゃ、撮影開始しましょ! まずはインタビューからかしらね♪」
「もう撮影スタートですか⁉」
「えぇ、ドキュメンタリーですもの。ありのままを撮影しないと」
ありのままなんて映されたら困ります。
蜃気楼のカウンターは最近お客様が来ないのをいい事に、片づけがおろそかになっているのです。
目の前には読みかけの雑誌が山積みですし、アレクが置き忘れたパン男ロボや、どこかの社名が入ったノベルティのボールペンがあり、さらにその隣には片付けが面倒だからと放置された掃除用のスプレーが存在を主張しています。
そして極めつけは、どうあがいても生活感がでてしまう箱ティッシュ。
すぐ取れる場所にあると便利なので置いていたのです。
こんな物を映されては、神秘的な錬金術師のイメージが台無しになってしまうではありませんか。
「ここはいけません! 商品棚を適当に映した後は、我が家の方で撮影しましょう……!」
慌ててジンを家の中に誘導して、ワタクシの部屋の前で待たせました。
「ちょっとここで待ってくださいね、中を片付けますから!」
「あら、別にそのまで構わないのに」
ジンはそう言いますがワタクシは困るのです。
最近は使わないからとしまいこんでいた、錬金術の道具や鉱石の標本をだしてきて、意味ありげに薬品と一緒にテーブルに並べました。
これでなんとか錬金術師の工房らしく見えるでしょうか。
「さて……では、ワタクシの日常をお見せするというお話しでしたね。今から特別に叡智の結集である錬金術の工房をお見せしましょう」
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