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season2
130話:池の中
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リュックサックを置いて、急いで池に飛び込もうとしたら水面が光って、女の人が現れた。
両腕にジェルの姿をした金色の像と銀色の像を抱えている。
「貴方が落としたのは金のジェルですか? 銀のジェルですか?」
「バカ野郎! そんなの要らねぇから今すぐジェルを返してくれ!」
「貴方は正直者ですね。金のジェルと銀のジェルを授けましょう」
目の前に、ジェルそっくりな金と銀の像が置かれる。
くそ、まったく話が通じない。
「ふざけんな、ジェルを返せぇぇぇぇぇ!!!!」
消えようとする女の人を追いかけるように、俺は無我夢中で池に飛び込んだ。
――ドボン!!!! ゴボゴボ…………ドサッ!
「いてて。あれ……? 水が無い?」
なぜか俺がいるのは地面だった。
見上げると、俺の頭上で水がゆらゆらしている。立ち上がって背伸びして手を伸ばしても水には届かない。
でも俺の髪も服もびしょ濡れだから、池に飛び込んだのは間違い無さそうだ。
その時、何かが靴の先にコツンと当たった。ドクロだ。
よく見てみると、辺りには人骨っぽい骨が散乱している。
「何だここは……」
「アレク? 大丈夫ですか?」
振り返ると、髪と服がビシャビシャに濡れた状態のジェルが居た。金でも銀でもない。ちゃんと生きている。
「ジェル! 無事でよかった……」
「まさか池の中がこうなっているとは思いませんでしたね。アレクの落としたパン男ロボもここにありましたよ」
「やっぱりここは、あの池と繋がってるんだな」
「そうでしょうね。しかし、アレクはどうしてここに?」
俺が経緯を話すと、彼は大きく目を輝かせた。
「――ってわけで、お兄ちゃんは命をかけて後を追ってきたんだ。だから感謝の印に今夜の夕食は特大ハンバーグをだな……」
「金と銀のワタクシの像があるんですか⁉ それはぜひ回収せねば!!!!」
金に目がくらんでいるジェルは、俺のことをそっちのけで大喜びして地面に転送用の魔法陣を書き始めた。
「いや、だからハンバーグ……うん、ジェルが無事だったから、まぁいいか……」
俺達は転送魔術で、無事に池の中から脱出した。
「あれ……池はどこだ?」
元の場所に戻ってみると、そこにあったはずの池が無くなっていた。
池があったと思われるところには金と銀のジェルの像が立っていて、その足元には俺達のリュックサックも置かれている。
「ここだったよなぁ……?」
「間違いないですよ。景色に見覚えもありますし。何よりも荷物がそのまま残ってるじゃないですか」
「じゃあ、何で池が無いんだ?」
「それはわかりません。せっかくガラクタを金と銀に変えるつもりだったのに、惜しいことをしましたねぇ」
ジェルは残念そうにリュックサックを見ている。
「でもまぁ、ワタクシにはこの金と銀の像がありますからね。ずぶ濡れになった甲斐がありました!」
そう言ってジェルが金色の像に手を伸ばし、軽くぺチッと叩くと、像はあっさり地面に倒れた。
「あれ⁉ なんだか妙に軽い感触だったんですが」
彼は険しい表情でポケットからルーペを取り出して、倒れた像を鑑定し始めた。
「あぁぁぁぁぁっ! これ金メッキじゃないですか!!!!」
「じゃあ、銀色の方も?」
「こっちは銀メッキです! しかも両方とも中は空洞でスカスカですよ!」
「本当だ、片手で持てる」
「大儲けするはずが、ガラクタが増えただけじゃないですか……ハッ、ハクションッ!」
ジェルは大きなくしゃみをして、がっくりと肩を落とした。
「なぁ、あの池は何だったんだろうな」
「……ろくでもない存在ですよ。少なくとも池に居たのは神様なんかじゃありませんねぇ」
ジェルは忌々しそうに、像を見ながら答えた。
そんな「ろくでもない存在」に遭遇して無事に帰って来られたのはラッキーと思うべきなんだろうか。
あの池は消えちゃったけど、今もどこかに出現しているのかもしれない。
――もし山の中で池を見つけた時は、落っこちないように気をつけろよ。
両腕にジェルの姿をした金色の像と銀色の像を抱えている。
「貴方が落としたのは金のジェルですか? 銀のジェルですか?」
「バカ野郎! そんなの要らねぇから今すぐジェルを返してくれ!」
「貴方は正直者ですね。金のジェルと銀のジェルを授けましょう」
目の前に、ジェルそっくりな金と銀の像が置かれる。
くそ、まったく話が通じない。
「ふざけんな、ジェルを返せぇぇぇぇぇ!!!!」
消えようとする女の人を追いかけるように、俺は無我夢中で池に飛び込んだ。
――ドボン!!!! ゴボゴボ…………ドサッ!
「いてて。あれ……? 水が無い?」
なぜか俺がいるのは地面だった。
見上げると、俺の頭上で水がゆらゆらしている。立ち上がって背伸びして手を伸ばしても水には届かない。
でも俺の髪も服もびしょ濡れだから、池に飛び込んだのは間違い無さそうだ。
その時、何かが靴の先にコツンと当たった。ドクロだ。
よく見てみると、辺りには人骨っぽい骨が散乱している。
「何だここは……」
「アレク? 大丈夫ですか?」
振り返ると、髪と服がビシャビシャに濡れた状態のジェルが居た。金でも銀でもない。ちゃんと生きている。
「ジェル! 無事でよかった……」
「まさか池の中がこうなっているとは思いませんでしたね。アレクの落としたパン男ロボもここにありましたよ」
「やっぱりここは、あの池と繋がってるんだな」
「そうでしょうね。しかし、アレクはどうしてここに?」
俺が経緯を話すと、彼は大きく目を輝かせた。
「――ってわけで、お兄ちゃんは命をかけて後を追ってきたんだ。だから感謝の印に今夜の夕食は特大ハンバーグをだな……」
「金と銀のワタクシの像があるんですか⁉ それはぜひ回収せねば!!!!」
金に目がくらんでいるジェルは、俺のことをそっちのけで大喜びして地面に転送用の魔法陣を書き始めた。
「いや、だからハンバーグ……うん、ジェルが無事だったから、まぁいいか……」
俺達は転送魔術で、無事に池の中から脱出した。
「あれ……池はどこだ?」
元の場所に戻ってみると、そこにあったはずの池が無くなっていた。
池があったと思われるところには金と銀のジェルの像が立っていて、その足元には俺達のリュックサックも置かれている。
「ここだったよなぁ……?」
「間違いないですよ。景色に見覚えもありますし。何よりも荷物がそのまま残ってるじゃないですか」
「じゃあ、何で池が無いんだ?」
「それはわかりません。せっかくガラクタを金と銀に変えるつもりだったのに、惜しいことをしましたねぇ」
ジェルは残念そうにリュックサックを見ている。
「でもまぁ、ワタクシにはこの金と銀の像がありますからね。ずぶ濡れになった甲斐がありました!」
そう言ってジェルが金色の像に手を伸ばし、軽くぺチッと叩くと、像はあっさり地面に倒れた。
「あれ⁉ なんだか妙に軽い感触だったんですが」
彼は険しい表情でポケットからルーペを取り出して、倒れた像を鑑定し始めた。
「あぁぁぁぁぁっ! これ金メッキじゃないですか!!!!」
「じゃあ、銀色の方も?」
「こっちは銀メッキです! しかも両方とも中は空洞でスカスカですよ!」
「本当だ、片手で持てる」
「大儲けするはずが、ガラクタが増えただけじゃないですか……ハッ、ハクションッ!」
ジェルは大きなくしゃみをして、がっくりと肩を落とした。
「なぁ、あの池は何だったんだろうな」
「……ろくでもない存在ですよ。少なくとも池に居たのは神様なんかじゃありませんねぇ」
ジェルは忌々しそうに、像を見ながら答えた。
そんな「ろくでもない存在」に遭遇して無事に帰って来られたのはラッキーと思うべきなんだろうか。
あの池は消えちゃったけど、今もどこかに出現しているのかもしれない。
――もし山の中で池を見つけた時は、落っこちないように気をつけろよ。
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