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season2
119話:ガチャ結果と福箱の中身
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――ガチャン。ゴトン。
機械からカプセルが落ちてきて、アレクはそこから中身を取り出します。
「あっ、シークレットの『仕事を押し付けてくる嫌な上司』だ!」
さすが類稀なる幸運の持ち主であるアレクです。いきなりシークレットを引き当てました。
「うーん、でも俺のお目当てはこれじゃないんだよなぁ……」
そう言ってアレクはポケットから財布を取り出して、近くの両替機でお札を崩すと機械に次々と投入し始めました。
「――ちぇ、また『嫌な上司』か。よし次」
「ちょっとアレク……」
「うわ、また『嫌な上司』きた!」
結局5回ほど回したのですが、結果はすべてシークレットの『嫌な上司のフィギュア』でした。
なんという強運でしょうか。
「もう止めた方がいいんじゃないですか?」
「やだ。俺、この新入社員欲しい!」
アレクは再び両替機にお札を投入します。
その後もシークレットが続き、目当ての『新入社員のフィギュア』が出たのは10回目のことだったのです。
「やったー! やっと新入社員ゲットだ~! よ~し、このメンバーで会社作るぞ!」
「10人中9人が仕事を押し付けてくる嫌な上司ってどんだけブラック企業なんですか!」
「お、隣に『THE・日本の闇社会』発見!」
「回しちゃいけませんよ!」
――その時、ワタクシの体に異変が起こりました。
平たく言うと、オシッコに行きたくなったのです。
先ほどの喫茶店で紅茶を飲みすぎたのがいけなかったかもしれません。
「すみません、お手洗いに行ってきます。……いいですか、もうこれ以上ガチャガチャを回しちゃいけませんよ? わかりましたね⁉」
「うん!」
元気よく返事するアレクをその場に残し、ワタクシは急いでお手洗いに行って、用を足して戻りました。
「お待たせしました。さぁ帰りましょう……ちょっとアレク! なんですかそのカプセルの山は!」
「いやぁ、ジェラルミンケースが欲しくてさぁ。でもさっきからシークレットの『その筋の人』ばっかり出るんだよなぁ」
アレクの手には白いスーツを着てサングラスをかけた、オールバックの男性のフィギュアがたくさんありました。
「また何回も回したんですか⁉」
「えーっとな、9回。全部『その筋の人』だった!」
「もう! ガチャガチャしちゃいけませんよって言ったのに!」
「あと1回だけ……よし、ジェラルミンケースゲット!」
やっと目当ての物がでたようで、アレクは大量の戦利品を両手に抱えてます。
その数、合計20個。いくらなんでも回しすぎです。
「こいつらは日本の社畜シリーズとセットにして並べようっと。よかったな、新入社員。頼もしい裏社会の後輩が一気に9人できたぞ!」
「いろんな意味で頼もしすぎてヤバいですよ!」
こうしてワタクシは上機嫌のアレクを連れて帰宅したのでした。
「あ~楽しかった~! ジェル、今日はありがとうな!」
「お疲れ様でした。さて……液晶テレビとご対面しましょうかねぇ♪」
アレクが買った、大きな福箱。
この中に大型液晶テレビが……!
ワタクシはワクワクしながら開封しました。
しかし。そこから出てきたのは――。
「すげー! エスプレッソマシンじゃん! 新しいコーヒーメーカー買おうかって言ったけどこんなにすごいの予想外だったわ!」
「え、液晶テレビは……?」
「――あ、やったぁ! パン男ロボ秘密基地セットだ! これ欲しかったんだけどさぁ。でもすげぇデカくて場所とるから迷ってたんだよなぁ……」
「えぇっ……⁉」
アレクは大喜びで、福箱の中からロボットの玩具の箱を取り出しました。
「俺の欲しい物ばっかり入ってるとか超ラッキーだ! ジェルの言った通り大きい箱にしたおかげだな!」
「くっ、こんなはずでは……」
類稀なる幸運、恐るべし。
「――まぁ、当初の目的のコーヒーメーカーの問題は解決しましたしねぇ。アレクが喜んでるし、良しとしますかね」
ワタクシはそうつぶやいて、軽くため息をつきながら、よく見慣れたテレビのスイッチを入れたのでした。
機械からカプセルが落ちてきて、アレクはそこから中身を取り出します。
「あっ、シークレットの『仕事を押し付けてくる嫌な上司』だ!」
さすが類稀なる幸運の持ち主であるアレクです。いきなりシークレットを引き当てました。
「うーん、でも俺のお目当てはこれじゃないんだよなぁ……」
そう言ってアレクはポケットから財布を取り出して、近くの両替機でお札を崩すと機械に次々と投入し始めました。
「――ちぇ、また『嫌な上司』か。よし次」
「ちょっとアレク……」
「うわ、また『嫌な上司』きた!」
結局5回ほど回したのですが、結果はすべてシークレットの『嫌な上司のフィギュア』でした。
なんという強運でしょうか。
「もう止めた方がいいんじゃないですか?」
「やだ。俺、この新入社員欲しい!」
アレクは再び両替機にお札を投入します。
その後もシークレットが続き、目当ての『新入社員のフィギュア』が出たのは10回目のことだったのです。
「やったー! やっと新入社員ゲットだ~! よ~し、このメンバーで会社作るぞ!」
「10人中9人が仕事を押し付けてくる嫌な上司ってどんだけブラック企業なんですか!」
「お、隣に『THE・日本の闇社会』発見!」
「回しちゃいけませんよ!」
――その時、ワタクシの体に異変が起こりました。
平たく言うと、オシッコに行きたくなったのです。
先ほどの喫茶店で紅茶を飲みすぎたのがいけなかったかもしれません。
「すみません、お手洗いに行ってきます。……いいですか、もうこれ以上ガチャガチャを回しちゃいけませんよ? わかりましたね⁉」
「うん!」
元気よく返事するアレクをその場に残し、ワタクシは急いでお手洗いに行って、用を足して戻りました。
「お待たせしました。さぁ帰りましょう……ちょっとアレク! なんですかそのカプセルの山は!」
「いやぁ、ジェラルミンケースが欲しくてさぁ。でもさっきからシークレットの『その筋の人』ばっかり出るんだよなぁ」
アレクの手には白いスーツを着てサングラスをかけた、オールバックの男性のフィギュアがたくさんありました。
「また何回も回したんですか⁉」
「えーっとな、9回。全部『その筋の人』だった!」
「もう! ガチャガチャしちゃいけませんよって言ったのに!」
「あと1回だけ……よし、ジェラルミンケースゲット!」
やっと目当ての物がでたようで、アレクは大量の戦利品を両手に抱えてます。
その数、合計20個。いくらなんでも回しすぎです。
「こいつらは日本の社畜シリーズとセットにして並べようっと。よかったな、新入社員。頼もしい裏社会の後輩が一気に9人できたぞ!」
「いろんな意味で頼もしすぎてヤバいですよ!」
こうしてワタクシは上機嫌のアレクを連れて帰宅したのでした。
「あ~楽しかった~! ジェル、今日はありがとうな!」
「お疲れ様でした。さて……液晶テレビとご対面しましょうかねぇ♪」
アレクが買った、大きな福箱。
この中に大型液晶テレビが……!
ワタクシはワクワクしながら開封しました。
しかし。そこから出てきたのは――。
「すげー! エスプレッソマシンじゃん! 新しいコーヒーメーカー買おうかって言ったけどこんなにすごいの予想外だったわ!」
「え、液晶テレビは……?」
「――あ、やったぁ! パン男ロボ秘密基地セットだ! これ欲しかったんだけどさぁ。でもすげぇデカくて場所とるから迷ってたんだよなぁ……」
「えぇっ……⁉」
アレクは大喜びで、福箱の中からロボットの玩具の箱を取り出しました。
「俺の欲しい物ばっかり入ってるとか超ラッキーだ! ジェルの言った通り大きい箱にしたおかげだな!」
「くっ、こんなはずでは……」
類稀なる幸運、恐るべし。
「――まぁ、当初の目的のコーヒーメーカーの問題は解決しましたしねぇ。アレクが喜んでるし、良しとしますかね」
ワタクシはそうつぶやいて、軽くため息をつきながら、よく見慣れたテレビのスイッチを入れたのでした。
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