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season2
112話:ポンコツジェルマン
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「おい、ジェル。お客さんが来たら『いらっしゃいませ』だけでいいから」
「あっ、はい。すみません、頭が真っ白になってしまって……」
「とりあえず、店長が置いていったメモを読んでそれに沿って仕事していこうか」
ジェルはしょんぼりしつつも、頷いてメモを手に取った。
「あれ? このメモ、全部ひらがなで書かれてますね」
「あぁ、俺らが外国人だから漢字読めないかもしれないって、気を使ってくれたんだろう」
「なるほど。えーっと……あれくさんどるくんは、はっちゅう。じぇるまんくんは、ぜんちんしてね」
ジェルはメモを読み上げて、急に顔を赤くした。
「ぜんちんって何ですか!? ……まさか全裸でち○ちんを見せろと⁉ 店長はまだワタクシが男だということを疑っていらっしゃるのですか!」
「落ち着け、ジェル。違うから」
完全に脳みそがクラッシュしている彼をなだめた後、俺は商品棚に近づいて手を伸ばした。
「ほら。こことか商品が売れちゃってスキマができてるだろ? だから奥に残ってる商品を手前に引っ張り出すんだよ。前に陳列するから、前陳って言うんじゃねぇかな」
俺は棚の奥にあったお菓子の袋のしわを伸ばして綺麗に並べ直していく。
その様子を見て、ジェルはやっと納得したようだった。
「なるほど。しかしそんな簡単なことで良いんですか」
「簡単って言うけど大事なことだぞ。見栄えよく並べた方が良く売れるのは、ジェルだってお店やってるからわかるだろ?」
「それもそうですね。わかりました、やってみます!」
彼は頷いて、商品棚をチェックし始めた。
その間に何人かお客さんが来たが、俺がレジを担当したので特に問題もなく仕事は進んでいった。
「……ねぇ、アレク」
「なんだ?」
「その機械は何ですか?」
前陳の仕事に飽きてきたのか、ジェルは俺の手に握られた小さなタブレットが気になったようだ。
「あぁ、これが発注に使うタブレットだよ。商品を注文して補充しないとあっという間に棚が空になっちまうからな」
「へぇ。面白そうですね。ワタクシにもやらせてください」
興味津々のジェルにタブレット渡して、操作を教えるとすぐに理解したようだった。
「じゃ、ジェルはお菓子の発注頼むわ。売れ筋の物をちょっと多めに発注したり、在庫が少ない物を足してくれればいいから」
「なるほど、わかりました」
彼はタブレットを片手にお菓子の棚へ戻って行く。
ちゃんと発注できるか心配だったが、お客さんがレジに来たので俺はその場から離れざるを得なかった。
ここからだと姿は見えないが時々、ジェルの独り言が聞こえる。
「えっと……ポテトチップス。これは前にアレクが美味しいって食べてましたね。とりあえず50入荷しても大丈夫でしょう」
――おいおい、それケース単位じゃねぇだろうな⁉
50ケースも来たらバックヤード(倉庫)がえらいことになるぞ!
ジェルのところへ確認しに行きたいが、まだ接客中でそれはできない。
「これは……新商品のシュールストレミングのグミ! なんと珍しい。よし、これは100ですね」
まて、ジェル! それは地雷だ。シュールストレミングってあの超臭いやつだぞ。
そんな物、ウケ狙いのユーチューバーしか買わないから100も要らねぇ!
急いでレジを終えて、ジェルのところに走り寄ってタブレットを奪い取る。
なんとかシュールストレミンググミの大量発注は阻止できた。
しかし最初のポテトチップスはもう発注済になっている。やっぱりケース単位だった。
「どうしました? アレク」
ジェルは青い目をまん丸にしてきょとんとしている。
そんな可愛い顔をされると怒れない。うん、俺の説明が足りなかったもんな。
「いいよ……お兄ちゃん、いっぱい買うから……このポテチ好きだし」
ジェルに任せると何をやらかすか不安だったので、残りの発注は俺が担当することにした。
「あっ、はい。すみません、頭が真っ白になってしまって……」
「とりあえず、店長が置いていったメモを読んでそれに沿って仕事していこうか」
ジェルはしょんぼりしつつも、頷いてメモを手に取った。
「あれ? このメモ、全部ひらがなで書かれてますね」
「あぁ、俺らが外国人だから漢字読めないかもしれないって、気を使ってくれたんだろう」
「なるほど。えーっと……あれくさんどるくんは、はっちゅう。じぇるまんくんは、ぜんちんしてね」
ジェルはメモを読み上げて、急に顔を赤くした。
「ぜんちんって何ですか!? ……まさか全裸でち○ちんを見せろと⁉ 店長はまだワタクシが男だということを疑っていらっしゃるのですか!」
「落ち着け、ジェル。違うから」
完全に脳みそがクラッシュしている彼をなだめた後、俺は商品棚に近づいて手を伸ばした。
「ほら。こことか商品が売れちゃってスキマができてるだろ? だから奥に残ってる商品を手前に引っ張り出すんだよ。前に陳列するから、前陳って言うんじゃねぇかな」
俺は棚の奥にあったお菓子の袋のしわを伸ばして綺麗に並べ直していく。
その様子を見て、ジェルはやっと納得したようだった。
「なるほど。しかしそんな簡単なことで良いんですか」
「簡単って言うけど大事なことだぞ。見栄えよく並べた方が良く売れるのは、ジェルだってお店やってるからわかるだろ?」
「それもそうですね。わかりました、やってみます!」
彼は頷いて、商品棚をチェックし始めた。
その間に何人かお客さんが来たが、俺がレジを担当したので特に問題もなく仕事は進んでいった。
「……ねぇ、アレク」
「なんだ?」
「その機械は何ですか?」
前陳の仕事に飽きてきたのか、ジェルは俺の手に握られた小さなタブレットが気になったようだ。
「あぁ、これが発注に使うタブレットだよ。商品を注文して補充しないとあっという間に棚が空になっちまうからな」
「へぇ。面白そうですね。ワタクシにもやらせてください」
興味津々のジェルにタブレット渡して、操作を教えるとすぐに理解したようだった。
「じゃ、ジェルはお菓子の発注頼むわ。売れ筋の物をちょっと多めに発注したり、在庫が少ない物を足してくれればいいから」
「なるほど、わかりました」
彼はタブレットを片手にお菓子の棚へ戻って行く。
ちゃんと発注できるか心配だったが、お客さんがレジに来たので俺はその場から離れざるを得なかった。
ここからだと姿は見えないが時々、ジェルの独り言が聞こえる。
「えっと……ポテトチップス。これは前にアレクが美味しいって食べてましたね。とりあえず50入荷しても大丈夫でしょう」
――おいおい、それケース単位じゃねぇだろうな⁉
50ケースも来たらバックヤード(倉庫)がえらいことになるぞ!
ジェルのところへ確認しに行きたいが、まだ接客中でそれはできない。
「これは……新商品のシュールストレミングのグミ! なんと珍しい。よし、これは100ですね」
まて、ジェル! それは地雷だ。シュールストレミングってあの超臭いやつだぞ。
そんな物、ウケ狙いのユーチューバーしか買わないから100も要らねぇ!
急いでレジを終えて、ジェルのところに走り寄ってタブレットを奪い取る。
なんとかシュールストレミンググミの大量発注は阻止できた。
しかし最初のポテトチップスはもう発注済になっている。やっぱりケース単位だった。
「どうしました? アレク」
ジェルは青い目をまん丸にしてきょとんとしている。
そんな可愛い顔をされると怒れない。うん、俺の説明が足りなかったもんな。
「いいよ……お兄ちゃん、いっぱい買うから……このポテチ好きだし」
ジェルに任せると何をやらかすか不安だったので、残りの発注は俺が担当することにした。
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