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season2
86話:それは犯罪です!
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それはワタクシと友人である氏神のシロの、暇を持て余した雑談から始まりました。
「ねぇ、シロ。見てくださいよこのおもちゃ……」
ワタクシが手にしているのは、謎の大きなネジがついたアニメキャラクターの人形です。
「なにそれ、その人形がどうしたの?」
「アレクがインドで買いつけてきたんですけど。こうやってネジを巻くと……」
ワタクシが人形を床に置いた瞬間、それはピカピカと発光しながらすごい早さで回転して、さらに調子はずれの洋楽が大音量で流れました。
「うわ、びっくりした! なにそれ何で光るの? 音楽もぜんぜんそのキャラクターと関係無いし!」
「なんとも味わい深い品ですよねぇ。うちの店の商品にはなりませんけど」
ワタクシが再びプラスチックの安っぽいネジを巻いて、ぼんやり回転を眺めているとシロが呆れた声でたずねました。
「ねぇねぇ。僕、ずっと疑問だったんだけど。アレク兄ちゃんさぁ、ちゃんと真面目に買い付けの仕事してるの?」
「どうでしょうね……? 彼が旅行をしている時、ワタクシは留守番ですから。話を聞いたり写真を見せてもらったりはしますけど、一緒に行くわけではないので――」
「もう、ジェルはアレク兄ちゃんに自由にやらせすぎだよ」
「そうですかねぇ?」
「そうですかねぇ、じゃないでしょ? 先日だって倒産しかけたのに。後で話を聞いて僕びっくりしたんだからね。ちゃんと仕事しないと本当に倒産しちゃうよ?」
倒産騒動はちょっと特殊なケースだったんですが、シロが心配するのも無理はないかもしれません。
実際、アレクの買い付けは彼がなんとなく気に入った物を買ってくるだけの適当な感じですから。
「ジェルが言えないなら、僕がアレク兄ちゃんにちゃんと仕事しろって言ってあげるよ。兄ちゃん今どこにいるの?」
「アレクなら、先日からニューヨークへ買い付けに行っているはずですが……」
「ニューヨークかぁ。――だったらさ、こっそりアレク兄ちゃんの後を尾行してみない?」
「え、尾行ですか?」
「うん、真面目に仕事してるのか見に行こうよ!」
こっそり尾行なんてあまり品の無い行動ではありますが、たしかにアレクが普段海外でどうしてるのかは気にならないわけではありません。
「しかし、今から行くには少々問題がありますね……」
ワタクシは壁にかけてある時計を見て、シロに提案しました。
「今から行っても時差があるので向こうは真夜中ですし、明日の朝に行きましょうか」
「え、時差ってそんなに違うの?」
「えぇ。14時間違うんですよ。こっちは今オヤツの時間ですが、向こうは夜中の1時ですね」
「それじゃダメだね。じゃあまた明日にしよう」
そういうわけで翌朝、転送魔術を使ってワタクシとシロはニューヨークへ旅立ちました。
店の裏に移動用の魔法陣を描いて呪文を唱えれば、あっという間にワタクシ達の姿はニューヨーク市内の公園の目立たない場所に転送されます。
こちらはちょうど夕暮れ時で周囲に人が少なく、どうやら良い感じに誰にも見つからずに済んだようです。
「――うわぁ、こっちも寒いねぇ。くしゅん!」
「えぇ。ニューヨークは今が一番寒い時期ですからね」
こちらも日本と同じく、季節は冬なのです。
日が沈み始めて雪がちらつく寒い中、コートとマフラーに耳当てまでつけてしっかり防寒したシロとワタクシは公園を出て、ニューヨーカーに混ざってアレクの姿を探しました。
「ねぇ、シロ。見てくださいよこのおもちゃ……」
ワタクシが手にしているのは、謎の大きなネジがついたアニメキャラクターの人形です。
「なにそれ、その人形がどうしたの?」
「アレクがインドで買いつけてきたんですけど。こうやってネジを巻くと……」
ワタクシが人形を床に置いた瞬間、それはピカピカと発光しながらすごい早さで回転して、さらに調子はずれの洋楽が大音量で流れました。
「うわ、びっくりした! なにそれ何で光るの? 音楽もぜんぜんそのキャラクターと関係無いし!」
「なんとも味わい深い品ですよねぇ。うちの店の商品にはなりませんけど」
ワタクシが再びプラスチックの安っぽいネジを巻いて、ぼんやり回転を眺めているとシロが呆れた声でたずねました。
「ねぇねぇ。僕、ずっと疑問だったんだけど。アレク兄ちゃんさぁ、ちゃんと真面目に買い付けの仕事してるの?」
「どうでしょうね……? 彼が旅行をしている時、ワタクシは留守番ですから。話を聞いたり写真を見せてもらったりはしますけど、一緒に行くわけではないので――」
「もう、ジェルはアレク兄ちゃんに自由にやらせすぎだよ」
「そうですかねぇ?」
「そうですかねぇ、じゃないでしょ? 先日だって倒産しかけたのに。後で話を聞いて僕びっくりしたんだからね。ちゃんと仕事しないと本当に倒産しちゃうよ?」
倒産騒動はちょっと特殊なケースだったんですが、シロが心配するのも無理はないかもしれません。
実際、アレクの買い付けは彼がなんとなく気に入った物を買ってくるだけの適当な感じですから。
「ジェルが言えないなら、僕がアレク兄ちゃんにちゃんと仕事しろって言ってあげるよ。兄ちゃん今どこにいるの?」
「アレクなら、先日からニューヨークへ買い付けに行っているはずですが……」
「ニューヨークかぁ。――だったらさ、こっそりアレク兄ちゃんの後を尾行してみない?」
「え、尾行ですか?」
「うん、真面目に仕事してるのか見に行こうよ!」
こっそり尾行なんてあまり品の無い行動ではありますが、たしかにアレクが普段海外でどうしてるのかは気にならないわけではありません。
「しかし、今から行くには少々問題がありますね……」
ワタクシは壁にかけてある時計を見て、シロに提案しました。
「今から行っても時差があるので向こうは真夜中ですし、明日の朝に行きましょうか」
「え、時差ってそんなに違うの?」
「えぇ。14時間違うんですよ。こっちは今オヤツの時間ですが、向こうは夜中の1時ですね」
「それじゃダメだね。じゃあまた明日にしよう」
そういうわけで翌朝、転送魔術を使ってワタクシとシロはニューヨークへ旅立ちました。
店の裏に移動用の魔法陣を描いて呪文を唱えれば、あっという間にワタクシ達の姿はニューヨーク市内の公園の目立たない場所に転送されます。
こちらはちょうど夕暮れ時で周囲に人が少なく、どうやら良い感じに誰にも見つからずに済んだようです。
「――うわぁ、こっちも寒いねぇ。くしゅん!」
「えぇ。ニューヨークは今が一番寒い時期ですからね」
こちらも日本と同じく、季節は冬なのです。
日が沈み始めて雪がちらつく寒い中、コートとマフラーに耳当てまでつけてしっかり防寒したシロとワタクシは公園を出て、ニューヨーカーに混ざってアレクの姿を探しました。
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