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season1
39話:わがままアレク
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その後、何度かタオルを冷たいものに取替えるとアレクが目を覚ましたので、水を飲ませ身体を拭いて着替えさせました。
「なんかいろいろ世話させちゃってごめんな……」
「いえ、気にしないでください。それよりも何か食べたい物はありませんか?」
「食べたい物?」
「えぇ。身体が弱ってて十分に栄養が取れないでしょうから、食べたい物があればと思って」
「うーん……冷たい物が食いてぇなぁ」
――冷たい物。真っ先に浮かぶのはアイスクリームでしょうか。
「それじゃ、アイスクリームでも買ってきましょうか?」
「え、ジェルが買いに行くのか⁉」
「えぇ。アレクはそんな状態ですし、ワタクシしか行く人はいないでしょう?」
「あの高慢でめんどくさがり屋で引きこもりなジェルが、俺のためにアイスを……!」
え。今、ものすごい早さで悪口言われた気がするんですが……
ワタクシがアレクの顔を怪訝そうにじろじろ見つめると、とたんに彼は大きく咳き込みました。
「あぁ、アレク! 大丈夫ですか⁉」
――そうでした。今のアレクは弱りきった病人なのです。
ワタクシの脳裏に、先ほどの心細そうな彼の表情がよぎりました。
「アレク、しっかりしてください! 今お水を――」
「……アイス」
「へ?」
「バニラのアイスがあればきっと俺の病気も、ゲホッ、ゲホッ!」
「わかりました、バニラアイスですね! すぐ買ってきます‼」
ワタクシは急いでコンビニへ走り、アイスクリームを買ってきてアレクに食べさせました。
「へへ、アイスうめぇ~!」
彼は普段となんら変わらない様子で、それをぺろりと平らげてしまいます。
「ふふ、よかったです。その分だとおかゆも食べられそうですね」
「えー、おかゆ? お兄ちゃん、ハンバーグ食いたい!」
「えぇ⁉ 病気なのに大丈夫ですか?」
「栄養つけなきゃだろ? ハンバーグが良い!」
「でも……」
急にそんな脂っこい物を食べて大丈夫かとためらっていると、アレクはまた咳き込み始めました。
「ジェル……ゲホッゲホッ! ……お兄ちゃんハンバーグが食べた……ゲホッゲホッ!」
「アレク……! えぇ、今夜はハンバーグにしましょう! 滋養をつけて早く治っていただかないとですよね!」
「うんうん。そう、そういうことだ……!」
アレクは目を輝かせて大きく頷きました。
そしてその日の夜、彼はハンバーグをぺロリと平らげ、いつもと変わりない様子でご飯を食べたのです。
もうこれですっかり元気になったものと思っていたのですが……。
「ジェル……お兄ちゃんはパン男のDVDが観たい」
「え、今からですか? もう横になった方が……」
ワタクシがそう意見すると、急にアレクは咳き込んで、その場に座り込みました。
「なんだか急に具合が……ゲホッ、ゲホッ!」
「えぇっ⁉ 大丈夫ですか⁉」
アレクは上目遣いでワタクシを見ながら咳き込んで、アニメのDVDが観たいとしきりに繰り返します。
「困りましたねぇ……じゃ、薬を飲んだら少しだけ観ていいですよ」
「うんうん、少しだけ!」
――その後もアレクは病床の身でありながら「おやつが欲しい、ゲームがしたい」などと言って、その度に咳き込んでワタクシを心配させるのでした。
「なんかいろいろ世話させちゃってごめんな……」
「いえ、気にしないでください。それよりも何か食べたい物はありませんか?」
「食べたい物?」
「えぇ。身体が弱ってて十分に栄養が取れないでしょうから、食べたい物があればと思って」
「うーん……冷たい物が食いてぇなぁ」
――冷たい物。真っ先に浮かぶのはアイスクリームでしょうか。
「それじゃ、アイスクリームでも買ってきましょうか?」
「え、ジェルが買いに行くのか⁉」
「えぇ。アレクはそんな状態ですし、ワタクシしか行く人はいないでしょう?」
「あの高慢でめんどくさがり屋で引きこもりなジェルが、俺のためにアイスを……!」
え。今、ものすごい早さで悪口言われた気がするんですが……
ワタクシがアレクの顔を怪訝そうにじろじろ見つめると、とたんに彼は大きく咳き込みました。
「あぁ、アレク! 大丈夫ですか⁉」
――そうでした。今のアレクは弱りきった病人なのです。
ワタクシの脳裏に、先ほどの心細そうな彼の表情がよぎりました。
「アレク、しっかりしてください! 今お水を――」
「……アイス」
「へ?」
「バニラのアイスがあればきっと俺の病気も、ゲホッ、ゲホッ!」
「わかりました、バニラアイスですね! すぐ買ってきます‼」
ワタクシは急いでコンビニへ走り、アイスクリームを買ってきてアレクに食べさせました。
「へへ、アイスうめぇ~!」
彼は普段となんら変わらない様子で、それをぺろりと平らげてしまいます。
「ふふ、よかったです。その分だとおかゆも食べられそうですね」
「えー、おかゆ? お兄ちゃん、ハンバーグ食いたい!」
「えぇ⁉ 病気なのに大丈夫ですか?」
「栄養つけなきゃだろ? ハンバーグが良い!」
「でも……」
急にそんな脂っこい物を食べて大丈夫かとためらっていると、アレクはまた咳き込み始めました。
「ジェル……ゲホッゲホッ! ……お兄ちゃんハンバーグが食べた……ゲホッゲホッ!」
「アレク……! えぇ、今夜はハンバーグにしましょう! 滋養をつけて早く治っていただかないとですよね!」
「うんうん。そう、そういうことだ……!」
アレクは目を輝かせて大きく頷きました。
そしてその日の夜、彼はハンバーグをぺロリと平らげ、いつもと変わりない様子でご飯を食べたのです。
もうこれですっかり元気になったものと思っていたのですが……。
「ジェル……お兄ちゃんはパン男のDVDが観たい」
「え、今からですか? もう横になった方が……」
ワタクシがそう意見すると、急にアレクは咳き込んで、その場に座り込みました。
「なんだか急に具合が……ゲホッ、ゲホッ!」
「えぇっ⁉ 大丈夫ですか⁉」
アレクは上目遣いでワタクシを見ながら咳き込んで、アニメのDVDが観たいとしきりに繰り返します。
「困りましたねぇ……じゃ、薬を飲んだら少しだけ観ていいですよ」
「うんうん、少しだけ!」
――その後もアレクは病床の身でありながら「おやつが欲しい、ゲームがしたい」などと言って、その度に咳き込んでワタクシを心配させるのでした。
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