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season1
28話:アレク、磯臭くなる
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「え、なんだよこれ……!」
その時、店の奥から足音がした。
やべぇ! ジェルが戻ってきた! 勝手に触ったのを見つかったら叱られるぞ、どうしよう……
俺はとっさにショーケースを閉めて、水が滲んで湿った玉をズボンの前ポケットに隠した。
同時に店と俺たちの家を繋ぐドアが開いて、ジェルが入ってくる。あぶねぇ、間一髪ってやつだな。
「アレク。ちゃんと店番できてますか?」
「あ、うん。大丈夫だぞ。何も無いぞ」
「ふふ、それはよかったです」
ジェルは俺が脱走していなかったので安心したのか、とても機嫌が良さそうだ。
どうやらこれなら見つからずに済みそうだな。
「急に店番をお願いしちゃってすみません。どうしても調べたいものがあったので」
「ん。あぁ、いいんだよ。……お、俺もちょうどヒマだったし……ひゃっ」
――あっ、今ちょっとズボンに冷たい感触が……もしかしてパンツに染みてきてるのか。
これひょっとしてヤバくねぇか?
こうしてる間にもジェルはニコニコしながら近づいてきて俺に話しかけてくる。
「でも、誰も来ないから退屈だったでしょう?」
「あ、あぁ……」
――うわ、水がじわじわ染みてきて股間が冷たい。頼む、ジェル。早く部屋に戻ってくれ。
「そうですよね。もう調べ物も終わったので、ワタクシも一緒に店番しますね!」
「えぇぇぇぇぇぇぇ⁉」
「え、どうしたんですか?」
「い、いや。なんでもない‼」
「……アレク?」
やべぇ、ジェルの視線が俺の下半身に集まってるぞ……!
「アレク、なんだかズボンが濡れてませんか?」
「こ、これはだなぁ……」
えっと、えっと……くそ、いい言い訳が思いつかないぞ。
「お、お兄ちゃん、しょんべん漏らしちまったんだ!」
…………。
――ジェルが『信じらんねぇコイツ』って目で見てる。
だってしょうがないだろ。
ただ普通に店番してるだけなのにズボンが濡れる理由なんて他にあるわけがない。
「……アレク、真面目に店番してくれるのはうれしいですが、トイレくらい行ってよかったんですよ?」
今度は哀れみの目で……くそ、なんでこんなことに。
俺が何も言い返せず立っていると、ズボンの裾からチョロチョロと水が漏れてきて、床を濡らし始めた。
――おい、もしかして水の量が増えてきてないか⁉
「あ、アレク⁉」
ジェルの目がまん丸になってる。
そりゃそうだよな。目の前で俺がチョロチョロお漏らししてんだもん。
「あ、あの。ジェル。えっと、これはだなぁ……」
「…………」
ジェルは黙って俺の足元に広がっていく水溜りをじっと観察している。
その間もズボンの裾から流れる水の量は増えていて、どんだけ俺漏らしてんだよって量になりつつあった。
「アレク。その、本当にそれは尿なんですか? なんだか磯臭いですよ?」
ジェルは広がっていく水溜りを見て困惑している。さすがにこれはごまかしきれねぇか。
「えっと、実は……」
俺は観念して、ポケットから玉を取り出した。
玉からは水道の蛇口を少し開いた程度の海水がチョロチョロと出ている。
「あ……、それは潮満珠じゃないですか‼ 触っちゃだめって言ったのに‼」
「うん、言ってたな……」
「と、とりあえずバケツと雑巾を持ってきますから‼」
ジェルは大急ぎで倉庫へバケツと雑巾を取りに行った。
俺は玉を握りながら「水出るな! 止まれ!」と言ってみたが、水は一向に止まる気配が無く、ずっと出続けていた。
「くそ。だめかぁ……」
「アレク! このバケツに入れて、ひとまず洗面所へ運びましょう!」
ジェルが持ってきたバケツに入れて運び、洗面台に玉を置いた。これなら水が出ても排水されるのでとりあえずは大丈夫そうだ。
俺とジェルは同時にふーっと息を吐いた。
「とりあえずアレクはシャワーで海水を流して、着替えてきなさい。ワタクシは床の掃除をしてきます」
「あ、うん。ごめんな」
「…………」
「ジェル?」
「あっ、はい」
ジェルは俺が騒動を起こしたというのにあまり怒らず、謝ってもなぜか上の空だった。
何か気になることであるんだろうか?
俺が着替えて店に戻ると、ジェルは掃除を済ませてどこかに電話をしていた。
「えぇ。お手数ですがすぐ来ていただけると。えぇ、お願いします。ではまた」
「ジェル、どこに電話してたんだ?」
「白ノ守神社ですよ。ワタクシの手に負えないのでシロに来てもらうようにお願いしました。スサノオ様も来てくださるそうですよ」
シロは俺たちの友達で、見た目は子供だけどこの地域を守る氏神様だ。
スサノオはシロの上司みたいなもんで、すげぇ偉い神様らしい。
つまりこれはそんな偉い神様がでてくるレベルの出来事ってことか。
「もしかして俺、とんでもないことしちゃったのかな……?」
その時、店の奥から足音がした。
やべぇ! ジェルが戻ってきた! 勝手に触ったのを見つかったら叱られるぞ、どうしよう……
俺はとっさにショーケースを閉めて、水が滲んで湿った玉をズボンの前ポケットに隠した。
同時に店と俺たちの家を繋ぐドアが開いて、ジェルが入ってくる。あぶねぇ、間一髪ってやつだな。
「アレク。ちゃんと店番できてますか?」
「あ、うん。大丈夫だぞ。何も無いぞ」
「ふふ、それはよかったです」
ジェルは俺が脱走していなかったので安心したのか、とても機嫌が良さそうだ。
どうやらこれなら見つからずに済みそうだな。
「急に店番をお願いしちゃってすみません。どうしても調べたいものがあったので」
「ん。あぁ、いいんだよ。……お、俺もちょうどヒマだったし……ひゃっ」
――あっ、今ちょっとズボンに冷たい感触が……もしかしてパンツに染みてきてるのか。
これひょっとしてヤバくねぇか?
こうしてる間にもジェルはニコニコしながら近づいてきて俺に話しかけてくる。
「でも、誰も来ないから退屈だったでしょう?」
「あ、あぁ……」
――うわ、水がじわじわ染みてきて股間が冷たい。頼む、ジェル。早く部屋に戻ってくれ。
「そうですよね。もう調べ物も終わったので、ワタクシも一緒に店番しますね!」
「えぇぇぇぇぇぇぇ⁉」
「え、どうしたんですか?」
「い、いや。なんでもない‼」
「……アレク?」
やべぇ、ジェルの視線が俺の下半身に集まってるぞ……!
「アレク、なんだかズボンが濡れてませんか?」
「こ、これはだなぁ……」
えっと、えっと……くそ、いい言い訳が思いつかないぞ。
「お、お兄ちゃん、しょんべん漏らしちまったんだ!」
…………。
――ジェルが『信じらんねぇコイツ』って目で見てる。
だってしょうがないだろ。
ただ普通に店番してるだけなのにズボンが濡れる理由なんて他にあるわけがない。
「……アレク、真面目に店番してくれるのはうれしいですが、トイレくらい行ってよかったんですよ?」
今度は哀れみの目で……くそ、なんでこんなことに。
俺が何も言い返せず立っていると、ズボンの裾からチョロチョロと水が漏れてきて、床を濡らし始めた。
――おい、もしかして水の量が増えてきてないか⁉
「あ、アレク⁉」
ジェルの目がまん丸になってる。
そりゃそうだよな。目の前で俺がチョロチョロお漏らししてんだもん。
「あ、あの。ジェル。えっと、これはだなぁ……」
「…………」
ジェルは黙って俺の足元に広がっていく水溜りをじっと観察している。
その間もズボンの裾から流れる水の量は増えていて、どんだけ俺漏らしてんだよって量になりつつあった。
「アレク。その、本当にそれは尿なんですか? なんだか磯臭いですよ?」
ジェルは広がっていく水溜りを見て困惑している。さすがにこれはごまかしきれねぇか。
「えっと、実は……」
俺は観念して、ポケットから玉を取り出した。
玉からは水道の蛇口を少し開いた程度の海水がチョロチョロと出ている。
「あ……、それは潮満珠じゃないですか‼ 触っちゃだめって言ったのに‼」
「うん、言ってたな……」
「と、とりあえずバケツと雑巾を持ってきますから‼」
ジェルは大急ぎで倉庫へバケツと雑巾を取りに行った。
俺は玉を握りながら「水出るな! 止まれ!」と言ってみたが、水は一向に止まる気配が無く、ずっと出続けていた。
「くそ。だめかぁ……」
「アレク! このバケツに入れて、ひとまず洗面所へ運びましょう!」
ジェルが持ってきたバケツに入れて運び、洗面台に玉を置いた。これなら水が出ても排水されるのでとりあえずは大丈夫そうだ。
俺とジェルは同時にふーっと息を吐いた。
「とりあえずアレクはシャワーで海水を流して、着替えてきなさい。ワタクシは床の掃除をしてきます」
「あ、うん。ごめんな」
「…………」
「ジェル?」
「あっ、はい」
ジェルは俺が騒動を起こしたというのにあまり怒らず、謝ってもなぜか上の空だった。
何か気になることであるんだろうか?
俺が着替えて店に戻ると、ジェルは掃除を済ませてどこかに電話をしていた。
「えぇ。お手数ですがすぐ来ていただけると。えぇ、お願いします。ではまた」
「ジェル、どこに電話してたんだ?」
「白ノ守神社ですよ。ワタクシの手に負えないのでシロに来てもらうようにお願いしました。スサノオ様も来てくださるそうですよ」
シロは俺たちの友達で、見た目は子供だけどこの地域を守る氏神様だ。
スサノオはシロの上司みたいなもんで、すげぇ偉い神様らしい。
つまりこれはそんな偉い神様がでてくるレベルの出来事ってことか。
「もしかして俺、とんでもないことしちゃったのかな……?」
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