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season1
27話:海の水が出る不思議な玉
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青い空、白い雲。遠くからチチチと楽しそうな鳥の声も聴こえてくる。
あ、今ちらっと風に舞い上がったのって桜の花びらじゃねぇか? いいなぁ、お花見行きてぇなぁ。
「はぁ、こんな良い天気なのに店番しなきゃいけねぇのか……」
窓から見える空を見て、俺は口を尖らせた。
でも不満を言ったところでそれに応える人は誰もいない。
弟のジェルは、調べ物があるからと先ほどからずっと自分の部屋で引きこもっている。
俺はアンティーク雑貨に囲まれた店内のカウンターに座って、ぼんやりとジェルの言葉を思い出していた。
「アレク、いいですね? おとなしく店番してるんですよ? ……絶対ですよ⁉」
ジェルのやつ、眉間にしわなんか寄せちゃって、絶対ですよって念押してたっけ……もしかして前に俺が店番サボって脱走したこと根に持ってんのか。
でもさぁ、俺はジェルみたいにおとなしく読書しながら店番するのなんてムリなんだよなぁ。
そもそもうちの店ってお客さんめったに来ないんだし、一日くらい店閉めちゃってもいいんじゃねぇかなぁ。
うん、そうだよ。今日はお店閉めて遊びに行こう。そうしよう。
「どこに行こうかなぁ……」
――俺は勢いよく立ち上がってドアの方へ向かおうとしたが、その時ショーケースの中でキラリと光る物があるのが目に留まった。
ピンポン玉くらいの透明な玉が、窓から差し込む光を反射してキラキラさせている。
えっと……これはなんだっけ。
俺はショーケースを開けて玉を手にとってみた。
ひやり、と冷たくてガラスみたいな硬い感触。
離れて見た時は透明だったけど、顔を近づけてじっと覗き込むとサンゴ礁らしき岩肌が見える。どうやら海の中らしい。
その景色を見て、俺はジェルがこの玉について言っていたことを思い出した。
『いいですか、アレク。この球は潮満珠と言って、海の水が出る不思議な宝玉なのです。……絶対に触っちゃいけませんよ?』
「絶対に触っちゃいけませんよ……って、もう触っちゃったぞ?」
実は俺とジェルが経営する店『蜃気楼』はただのアンティークの店じゃねぇんだ。
ごく普通のアンティーク雑貨の他に、錬金術師であるジェルの錬金術や魔術関連のコレクションや、俺が世界中を旅して集めた珍しい物を売っている。
その中には珍しいってレベルを通り越して神話クラスのとんでもないお宝も混ざっているらしい。
たぶん、この玉もそのひとつなんだろう。
でも触っただけでは別に何も起きなくて、ただの綺麗な玉だなぁとしか感じない。海の水が出るって本当なんだろうか?
「……海の水、でろ!」
俺はキラキラ光る玉を握って軽く振ってみた。
うん、やっぱり水なんて出ねぇよなぁ。
「こいつニセモノなんじゃ……」
――そう思った矢先に手にじわっと湿った感触がして、あわてて手のひらを開いて見てみると玉から水が滲みだしていた。
あ、今ちらっと風に舞い上がったのって桜の花びらじゃねぇか? いいなぁ、お花見行きてぇなぁ。
「はぁ、こんな良い天気なのに店番しなきゃいけねぇのか……」
窓から見える空を見て、俺は口を尖らせた。
でも不満を言ったところでそれに応える人は誰もいない。
弟のジェルは、調べ物があるからと先ほどからずっと自分の部屋で引きこもっている。
俺はアンティーク雑貨に囲まれた店内のカウンターに座って、ぼんやりとジェルの言葉を思い出していた。
「アレク、いいですね? おとなしく店番してるんですよ? ……絶対ですよ⁉」
ジェルのやつ、眉間にしわなんか寄せちゃって、絶対ですよって念押してたっけ……もしかして前に俺が店番サボって脱走したこと根に持ってんのか。
でもさぁ、俺はジェルみたいにおとなしく読書しながら店番するのなんてムリなんだよなぁ。
そもそもうちの店ってお客さんめったに来ないんだし、一日くらい店閉めちゃってもいいんじゃねぇかなぁ。
うん、そうだよ。今日はお店閉めて遊びに行こう。そうしよう。
「どこに行こうかなぁ……」
――俺は勢いよく立ち上がってドアの方へ向かおうとしたが、その時ショーケースの中でキラリと光る物があるのが目に留まった。
ピンポン玉くらいの透明な玉が、窓から差し込む光を反射してキラキラさせている。
えっと……これはなんだっけ。
俺はショーケースを開けて玉を手にとってみた。
ひやり、と冷たくてガラスみたいな硬い感触。
離れて見た時は透明だったけど、顔を近づけてじっと覗き込むとサンゴ礁らしき岩肌が見える。どうやら海の中らしい。
その景色を見て、俺はジェルがこの玉について言っていたことを思い出した。
『いいですか、アレク。この球は潮満珠と言って、海の水が出る不思議な宝玉なのです。……絶対に触っちゃいけませんよ?』
「絶対に触っちゃいけませんよ……って、もう触っちゃったぞ?」
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「……海の水、でろ!」
俺はキラキラ光る玉を握って軽く振ってみた。
うん、やっぱり水なんて出ねぇよなぁ。
「こいつニセモノなんじゃ……」
――そう思った矢先に手にじわっと湿った感触がして、あわてて手のひらを開いて見てみると玉から水が滲みだしていた。
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