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season1
5話:お客様は神様です!?
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その日、ワタクシは人のいないアンティークの店『蜃気楼』で大声を張り上げて接客の練習をしていました。
「まず元気な声で……イラッシャアセェェッ!」
海外に仕入れに出かけている兄のアレクサンドルが置いていった『声に出したい完全接客マニュアル決定版!』という本を読んで、感銘を受けたのです。
本の中では『お客様は神様だと思って丁寧におもてなししましょう』と書かれてあります。
「なるほど。神様だと思ってですか……日本の接客はハイクオリティだと常々思っていましたが、これほどまでとは。ワタクシも見習わないといけませんね」
おそらく先ほどの『イラッシャアセェェッ!』というのも神への敬意の表れなのでしょう。そういえば近所のコンビニの店長さんもこんな感じでした。
「ええっと、次は……オトゥシハイリマァァァァス!」
お通し? これは……なんですかね。
あぁ、きっと業界用語というやつですね。たぶん音の響き的に不審者が来店した時の報告でしょうか。
「えっと、その次は……ナマイッチョウ!」
生一丁……これはどこかで聞いた言葉ですね。なんでしたっけか。
確かアレクとテレビを観ている時に……
「――ねぇ。ねぇってば。アンタ。ちょっと、聞いてる?」
「……え、うわぁぁぁぁぁっ! お、オトゥシハイリマァァァァス!!」
「はぁ? 何言ってるの……」
「え、あ……? もしかしてお客様で?」
「まぁ、そうなるのかな」
目の前の少年は、呆れた表情で答えました。
見た感じ12,3歳といったところでしょうか。短髪の黒髪、白い着物に薄紫の袴で神社の神主を思わせるような格好をしています。
「えっと、どちら様で?」
「神様だよ」
「えぇ、そうです。お客様は神様で……えぇ⁉」
――お客様は神様ってそういうことでしたっけ?
「……えーっと、どういうことでしょうか?」
「どういうことも何も、僕はこの地域の氏神だよ」
氏神、要はこの土地の守り神ということですか。
まさかこんな子供が……?
「僕、これでも495歳なんだよ。最近ここに配属された新米だけど、見た目で判断してもらっちゃ困るな」
「は、はぁ……」
「僕の管轄区域に変な空間があったんで、様子見に来たんだけどまさかこんな店があったとはねぇ……皆気づかなかったのかな」
「気づかれないように魔術で結界を張ってますからね」
ワタクシがそう言うと彼は笑いました。
「あの西洋の結界、アンタが張ったのか。僕のお使い番の犬は入れなかったから、ちゃんと役目は果たせてると思うよ。でも神である僕にとっちゃ、あんなの無意味だね」
どうやらワタクシが使う魔術のことまでお見通しのようです。
これは本当に、彼がこの土地の氏神であるということでしょうか。
「まず元気な声で……イラッシャアセェェッ!」
海外に仕入れに出かけている兄のアレクサンドルが置いていった『声に出したい完全接客マニュアル決定版!』という本を読んで、感銘を受けたのです。
本の中では『お客様は神様だと思って丁寧におもてなししましょう』と書かれてあります。
「なるほど。神様だと思ってですか……日本の接客はハイクオリティだと常々思っていましたが、これほどまでとは。ワタクシも見習わないといけませんね」
おそらく先ほどの『イラッシャアセェェッ!』というのも神への敬意の表れなのでしょう。そういえば近所のコンビニの店長さんもこんな感じでした。
「ええっと、次は……オトゥシハイリマァァァァス!」
お通し? これは……なんですかね。
あぁ、きっと業界用語というやつですね。たぶん音の響き的に不審者が来店した時の報告でしょうか。
「えっと、その次は……ナマイッチョウ!」
生一丁……これはどこかで聞いた言葉ですね。なんでしたっけか。
確かアレクとテレビを観ている時に……
「――ねぇ。ねぇってば。アンタ。ちょっと、聞いてる?」
「……え、うわぁぁぁぁぁっ! お、オトゥシハイリマァァァァス!!」
「はぁ? 何言ってるの……」
「え、あ……? もしかしてお客様で?」
「まぁ、そうなるのかな」
目の前の少年は、呆れた表情で答えました。
見た感じ12,3歳といったところでしょうか。短髪の黒髪、白い着物に薄紫の袴で神社の神主を思わせるような格好をしています。
「えっと、どちら様で?」
「神様だよ」
「えぇ、そうです。お客様は神様で……えぇ⁉」
――お客様は神様ってそういうことでしたっけ?
「……えーっと、どういうことでしょうか?」
「どういうことも何も、僕はこの地域の氏神だよ」
氏神、要はこの土地の守り神ということですか。
まさかこんな子供が……?
「僕、これでも495歳なんだよ。最近ここに配属された新米だけど、見た目で判断してもらっちゃ困るな」
「は、はぁ……」
「僕の管轄区域に変な空間があったんで、様子見に来たんだけどまさかこんな店があったとはねぇ……皆気づかなかったのかな」
「気づかれないように魔術で結界を張ってますからね」
ワタクシがそう言うと彼は笑いました。
「あの西洋の結界、アンタが張ったのか。僕のお使い番の犬は入れなかったから、ちゃんと役目は果たせてると思うよ。でも神である僕にとっちゃ、あんなの無意味だね」
どうやらワタクシが使う魔術のことまでお見通しのようです。
これは本当に、彼がこの土地の氏神であるということでしょうか。
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