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3章:攻略キャラ、大集合?

彼の秘密。 ――3

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 翌日、やけに身体が軽かった。目を開けると眩しい日光が視界に入り、思わず目を細める。

「やぁ、おはよう、エリスくん」

 リンジーが椅子に座り、足を組んで良い香りのするコーヒーを啜っていた。……なんでリンジーがこの部屋に?

 あっ、と慌てて身体を起こし、リンジーに詰め寄った。

「昨日の話! あれ、どういうことだよ!」
「それについては、沙織サオリも呼んで話そうと言ったじゃないか」

 にこりと微笑む。やっぱり、セシリアのことを『沙織』と呼んでいる。知り合いだったのか? と怪訝そうに彼を見ると、「まぁ、座りたまえ」と空いている椅子を指した。

 これ以上なにを聞いても教えてはもらえなさそうだと感じ、素直に椅子に座ると、扉をノックする音が聞こえた。

「どうぞー」

 部屋に入るようにうながすと、カイルがトレイを持って部屋に入ってきた。沙織……じゃなくて、セシリアも一緒だ。

「おはようございます、エリスさま。軽く食べられるものを用意しました」
「ありがとう。ミルク粥?」
「そうだよ。ワガママ言って、私が作ったんだ」

 セシリアが照れたようにはにかみながら、ミルク粥を指した。

「ありがとう、いただくよ」

 スプーンを手に取って、一口食べる。パン粥だ。はちみつの甘さを感じるミルク粥で、食べやすかった。

 綺麗に食べ終えセシリアに「美味しかったよ、ありがとう」と伝えると、彼女はぱぁっと表情を明るくして「良かった!」と声を弾ませた。

 優雅にコーヒーを飲んでいたリンジーがカップを置いて、「さて」と言葉を紡ぐ。

「――カイル、鍵を掛けてくれるかい?」
「はい」

 オレが食べ終わるのを待っていたらしい。カイルが部屋の鍵を掛け、リンジーが魔法を展開させる。防音の魔法だ。

「この防音魔法は、『世界』にも聞こえないほど強力なものなんだよ」
「……あの、本当にリンジーさんが一希イツキさんなの?」

 セシリアとカイルが椅子に座る。そして、期待半分、不安半分って感じのまなざしをリンジーに向けた。どうやら昨日、彼女たちは会話をしたみたい?

「そうだよ、沙織。日本でよく家族旅行したよね。特に海に行ったときなんて、子どもたちよりもはしゃいでいたなぁ」
「その話はやめてっ。子どもたちにだって毎年海の時期になるとからかわれたんだからっ!」
「えっと……?」

 ふたりの会話についていけないオレとカイルは、首を傾げる。

「ああ、ごめん、お兄ちゃん。あのね、リンジーさんは日本で、私の夫だった人なの」

 なんとなく、そんな予感はしていた。セシリアの言っていた『確かめなきゃ』って言葉や、リンジーが彼女のことを『沙織』と言っていたから。まさかこの世界で再会するとは思わなかっただろう。

 リンジーに関しては、セシリアが『沙織』だとすぐに気付いたらしい。あのお祭りの日に。ただ、彼女はそのときそれどころではなかったから、彼女の都合を優先したとのこと。
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