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2章:いろんな人の、いろんな事情。

再び、王城へ ――1

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 招待状の中身は、陛下が保護した子どもたちのことについて、だった。カイルも同じ内容のようだ。

「王宮から迎えが来るみたい」
「どのくらいいるつもりかい?」

 招待状が届いたことを父さんに報告すると、そう問われた。

「んー、様子を見たいからなぁ。そんなに長居はしないと思うけど」
「そうか、戻ったらどんな感じだったのか、父さんに教えてくれよ?」
「もちろん!」

 セシリアとリンジーはもう王宮に行っているかな? とりあえず数日分の荷物をまとめておこうと自室に戻る。

 カイルに手伝ってもらいながら荷物をまとめていると、彼がこちらを見ていることに気付いた。

「どうした?」
「いえ、体調は平気でしょうか?」
「うん。身体が軽いくらいだよ」

 元気だとアピールするようにぴょんぴょんとその場で跳ねる。その様子を見て、カイルはどこか安堵したように表情を緩めた。

「この招待状にはいつ迎えが来るとは書いてないけど、いつ来るんだろう?」
「案外、今すぐだったりして――」

 カイルでも冗談を言うのかと思ったら、タタタッと廊下を走る音が聞こえて、ノックもなしにバーンっと勢いよく扉が開いた。

「迎えが来たわよっ!」

 扉を開けたのはシェリルだった。なんとカイルの言葉が本当になったようだ。

「まさかこんなにすぐに迎えが来るなんてね」
「陛下、素早いなぁ」
「ちなみにこの前と同じ人だったわよ」
「……わー、かわいそー……」

 アレン殿下の誕生日パーティーのときに、ルトナークから王城へ転移の魔法を使ってくれた魔導師の顔を思い浮かべて、思わず心の声が漏れた。

「とはいえ、今はお父さまとお話ししているから、ここで待ってて、ですって」
「父さんからの伝言?」

 首を縦に動かすシェリル。彼女は扉を閉めるとこちらに近付き、椅子に座ってオレとカイルを交互に見た。

「ねえ、あの子は大丈夫なの?」
「あの子って、セシリア?」
「ええ。王宮なんて行く機会、滅多にないじゃない? 戸惑ってないと良いんだけど」

 セシリアのことを気に掛けてくれているのか。その心が嬉しくて、思わず頬が緩む。

「大丈夫だと思うよ。セシリア……沙織サオリはオレらよりずっと年上だからな」

 確か日本の女性の平均寿命は大体八十代後半。老衰で亡くなったらしいから、きっとそのくらい。

 前世の記憶が残っているのなら、セシリアにとって教会の子どもたちは孫も同然だろう。たぶん、だけどさ。そして、子どもたちも彼女のそんな雰囲気に助けられていたのだろう。

 だからこそ、決定権をセシリアに委ねた。
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