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2章:いろんな人の、いろんな事情。

そして、それから。 ――11

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「うーん、じゃあ、手を繋いで一緒に寝る? あ、でも、オレの寝相そんなに良くないから外れちゃうかな」
「でしたら、こういうのはどうでしょう?」

 カイルは懐からリボンを取り出すと、器用にオレとカイルの手首に巻いた。確かにこの方法ならずっと手首は触れ合っているけど、オレはともかくカイルは動きづらくないのだろうか。

「動きづらいんじゃ?」
「大丈夫ですよ。リンジー卿からもらった魔法紙もありますし」

 器用に片手で魔法紙を取り出す。……いや、本当に器用だな?

「それに、彼の結界がある限り、ルトナーク家は王城よりも安全ですよ」

 どんだけすごいんだ、リンジー。

 そういえば、陛下とリンジーも顔見知りっぽい感じだったな。真っ白だったけど、リンジーのことを知っているように見えた。

「そういえば、カイルの髪は黒いままなんだな」

 繋がれていないほうの手で、カイルの髪を摘まむ。そのことに今気付いたのか、目を伏せると元の銀髪になった。髪を染めたのも魔法なのか、もしかして。便利な世界だなぁ。

「リンジーと話し合っていたの?」
「はい。……というか、リンジー卿からの提案です。色を交換してみよう、と」
「……なんかリンジー、楽しんでないか……?」

 カイルはなにも言わずに眉を八の字にして微笑んだ。あ、これオレと同じ意見だな。リンジーは今回の事件のこと、どう思っているんだろうなぁ。彼の視点だと、人間がなんかやってるなぁって感じなのか?

「とりあえず、今日からこの方法を試してみても良いですか?」
「まぁ、試してみるだけなら……」

 あまりにも真剣なまなざしに、思わずうなずいてしまった。

 とはいえ、今からこの状態なのは動きづらいのでリボンは解いてもらった。

「それにしても、よくそんなリボン持っていたな?」
「いろいろ持ち歩いていますよ。なにが必要になるかわかりませんから」

 飴を持ち歩いているのは知っているけど、そんなにいっぱい持ち歩いていたのか? と目を丸くする。

「飴以外はなにを持っているのさ?」
「飴はエリスさまの魔力を回復するのに必要でしょう? その他は、先程のリボンやハンカチ、小型のナイフに包帯……」
「待って、どっから出してるの!?」

 ひょいひょいと物を取り出すカイル。ポケットに手を入れるわけでもなく、むしろどっちかっていうとなにもないところから次々と物が出て来ているような!?

「あ、これも無属性魔法のひとつです」
「便利!」
「はい、とても。あまり知られていないので、秘密ですよ?」
「そうなんだ」

 この世の中に無属性の魔法を使える人は、どのくらいいるんだろう? カイルはいろんなものを持ち歩いているというか、無属性魔法で収納しているようだった。これ、オレも使えたら便利なんだけどなぁ。

 一通り見せてもらってお礼を伝えると、カイルは取り出したものすべて無属性の魔法で飲み込んだ。……いい魔法だなぁ、アレ。
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