最終目標はのんびり暮らすことです。

海里

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2章:いろんな人の、いろんな事情。

作戦を決行しよう ――6

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 魔法紙を取り出す。カイルも。彼は檻に入れられている子どもたちへ、できるだけ下がるように伝えて、風の魔法紙を破り、檻から子どもたちを救い出す。

 カイルに渡した魔法紙の威力は低そうだ。子どもたちに怪我はないみたいで、小さく息を吐く。

「なんなんだ、お前たちは!」
「なんなんだって言われてもね。ただの通りすがりだよ。通りすがりの貴族だよ。……教会って神聖な場所なんじゃないの? 裏でこういうこと平気でしているっておかしくない?」

 カツカツと足音をわざと響かせてシスターたちに近付く。そのシスターは、セシリアが怯えていた女性のようだ。男性のひとりが十代の少女の首に腕を回して締め付けた。

「ぐぅ……ッ!」
「近付くんじゃねぇよ、ガキが! こいつがどうなっても良いのか!?」

 苦しそうな声に、苦悶に満ちた表情の少女。そして、男性の放った言葉に、思わず失笑してしまう。男性はぎょっとしたようにオレを見た。

「な、なにがおかしい!」
「……だって、あまりにも三流の言い方だから」

 想像していた通りの行動に出てくれたのだから、ある意味助かった。カイルの魔法はまだ続いている。男性が少女に危害を加えようとしているところ、バッチリ撮れているだろう。

 光の魔法紙を素早く破る。ぎゅっと目を閉じて使ったのは大正解だったみたい。光が入らない地下に、眩しいくらいの光が満ちる。目への攻撃だ。

「ぎゃぁああッ!」

 あまり聞きたくない汚い叫び声が、耳に届く。そうっと目を開けて確認すると、一部闇が子どもたちの目を覆っていた。どうやらオレが光の魔法紙を使うことをカイルはわかっていたみたいだ。

 目の攻撃をまともに受けたのは大人たちだけ。男性たちもシスターも目を覆っていた。

 少女を拘束していた男性は、目を手で覆いふらふらしている。今がチャンスだと思い、素早く近付いて股間に思い切り蹴りを入れた。

「ぎゃあああああああっ!」

 男だからわかる。そこへの攻撃が一番のだと。

 子どもたちの目を覆っていた闇の魔法が消えた。地下から逃げるようにうながすと、困惑しているようだった。

 ふらふらしていた男性が近付いてくるのが見えて、叫ぶ。

「カイル! こいつらの動きを封じられるっ?」
「かしこまりました」

 カイルは魔法紙を破った。水の魔法紙のようだ。リング状になった水が、彼らを捕らえた。ひとまとめに捕らえたから、シスターも一緒だ。それを見た子どもたちは、じっとシスターを見てから地下から逃げていく。
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