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2章:いろんな人の、いろんな事情。
作戦を決行しよう ――1
しおりを挟むその日からリンジーが帰って来るまでの数日間、オレたちは作戦を練りに練って、父さんたちにも助力を求めた。
母さんは心配そうにしていたけど、教会の子どもたちが受けている仕打ちについて、セシリアが涙ながらに話すと、協力してくれることになった。
「それにしても、いろいろ話してくれて良かったよ。子どもたちだけで、なんてことになったら……」
父さんが苦々しく笑みを浮かべて、肩をすくめる。母さんもそれに同意するようにうなずく。オレはじっと父さんを見つめると、「ん?」と視線で問われる。
「いや、案外父さんたちも度胸あるなぁと思って」
「ははは、まぁね。大人の汚いところを、子どもたちに見せるのはどうかと思うが……、『救いたい』という強い気持ちは伝わってきたからね。ただ、救うだけでは終わりではない。それをわかっているね?」
こくりとうなずいた。一時的な救いじゃ、意味がない。助けた子どもたちが安心して過ごせるようにしないと。そのための案も、シェリルたちと話し合っていた。
「父さんたちもがんばるから、みんなはみんなで思い切りやってきなさい」
「……ありがとう、父さん」
オレたちのことを信用してくれているのか、それともなにか考えがあってのことかはわからないけれど、思い切り暴れても良いってことだよな。
翌日、リンジーが帰ってきた。いつものように飄々とした笑顔を浮かべながら。
オレたちと話す前に、父さんに伝えることがあると言ってふたりで話すことになったみたいだ。もしかしたら、オレらが考えている以上に、事は深刻なのかもしれない。
そのあと、すぐにリンジーはオレらのところに来て、今回の作戦について話し出した。
前に考えていた通り、教会に乗り込むのはオレ、カイル、リンジー、そしてセシリアだ。シェリルが唇を尖らせて、
「うー、あたくしだけ蚊帳の外……!」
と、悔しそうに表情を歪める。
「仕方ないだろ、シェリルは次期後継者なんだから。危ないことをしちゃいけません!」
「でもっ!」
「こういうのは男のオレに任せなって」
シェリルの心身を傷つけるわけにはいかない。危ないことだという自覚はあるんだし、できれば彼女にはこのまま『家』になって欲しいと願っている。
帰る場所があるって、大事だからさ。彼女自身がこのルトナークを愛しているのは知っているし、そうなってくれたなら、オレも安心できる。
二年後に通う学園で、どんなことが起きるのかわからないけど、シェリルはもう『人形』ではないのだし、断罪されることをするとは思えない。
だからこそ、彼女は彼女のまま、自分の道を歩いて欲しいと考えているんだ。
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