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2章:いろんな人の、いろんな事情。
今後の話し合い ――7
しおりを挟む「それじゃあ、あたくしとセシリアはお父さまたちに伝えて来るわ。エリスとカイル、悪いけど、シェリーとリンジーに説明をお願いね」
「わかった」
「かしこまりました」
「行きましょう、セシリア。大丈夫よ、お父さまたちなら、きっと力になってくれるわ」
「……うん、うんっ! 私、がんばって説明するよ!」
シェリルは椅子から立ち上るとセシリアに優しく声を掛ける。彼女はぎゅっと目を閉じてからなにかを決したように目をカッと開き、勢いよく立ち上がる。オレの部屋からふたりが出て行くのを見届けた。
「じゃあカイル、オレらも行こうか」
「私がふたりを連れてきますので……」
「ううん、オレが行く。ずっと寝たきりだったんだから、身体を動かさないと」
心配性なカイルの言葉に首を左右に振る。三日も動いていないのだから、少しでも身体を動かさないとな。
この時間ならたぶん、休憩室みたいなところにいるはず。屋敷内はリンジーの結界に守られているから、侵入者がいればすぐにわかるみたいだし、その侵入者をさくっと倒してしまう仕掛けらしい。
……いや本当、謎だよね、リンジー。
それはともかく、この二年間で屋敷の部屋は把握したし(いけるところだけ、だけどさ)、ふたりを探しに休憩室へ向かう。オレの部屋から近いんだよね、たぶん、オレが倒れやすいのが理由なんだろうけど。
「シェリー、リンジー、いるー?」
休憩室まで歩を進め、扉をノックすると「あら、エリスさま?」とシェリーの声が聞こえた。パタパタと足音が聞こえ、彼女が扉を開けてくれた。
「どうしました?」
首を傾げて不思議そうにオレとカイルを交互に見る。中にリンジーがいることも確認して、部屋に入れてもらった。
パタンと閉じる扉の音に、リンジーがちらりとこちらに視線を向ける。
「――頼みたいことがあるんだ」
開口一番、真剣な表情を彼らに向けた。「どういうこと?」とばかりに困惑した表情を浮かべるシェリーに、普段の笑みを消し真顔になったリンジー。
「……エリスさま、椅子にお座りください」
カイルが椅子に座るように促してきた。長い話になるだろうし、オレの体力もちょっと不安だったので、その言葉に甘えることにした。すとんと座ると、みんなも座ってどんな話なのかとこちらを見つめて切る。
「あのな――」
オレとカイルで、セシリアから聞いた話を伝えた。すると、シェリーはさめざめと顔を青ざめ、リンジーは面白くなさそうに眉根を寄せる。こんなに不快そうなリンジーを見るのは初めてかもしれない。
「それは、また……酷いことをするね」
「教会で、なんて……」
リンジーが「嘆かわしいね」と呟くのが、耳に届いた。
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