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2章:いろんな人の、いろんな事情。
対応策 ――4
しおりを挟むその間に手紙を書いておこう。ベッドを抜け出して椅子に座り、テーブルにカーティスの手紙を置いた。あれ、下のほうに小さく『ぬいぐるみ、ありがとう』とも書かれていた。彼が健やかに過ごせることを祈るしかないな。
ポーラがサクサクと返信のために必要なものを用意してくれて、カーティスに手紙を書く。
とても短い手紙だが、オレとカーティスの仲ならこんなもんじゃないだろうか。
オレは友達のつもりだけど、彼はどう思っているのかさっぱりだ。友達といえば、アランはどうなったかな。かといって、彼に手紙を書くわけにもいかないし。うーん、アランと簡単に連絡が取れる方法があれば良いのだけど。スマホみたいな。
そして書き終えたのは良いけれど、カーティスは苗字名乗ってなかったな、って今更気付いた。
名前だけしか教えてもらえなかった意味を考える。
苗字を名乗りたくなかったか、名乗るなと言われたか。憶測でしかないけど、後者のような気がする。そして、彼もやっぱり『人形』なんだろうか。養父である公爵は『人形』であると思いたい。
だって、大人が子どもを傷つけるんだぜ? 『人形』だから世界に操られていると考えたいじゃん。
カーティスのことも気になるけれど、セシリアの様子も気になる。あのとき、怯えていたように見えたから。
シェリルはあとでね、って言っていたし、そのうち話せるだろう。
そのときにいろいろと情報交換をしないとな。
「……ところでポーラ、オレ、寝込んだの一日?」
「いいえ、三日間です」
あれから三日も経ってんの!?
ぎょっとして目を丸くすると、ポーラはオレの耳に顔を近付けて教えてくれた。
「カイルが一睡もしないで看病していたんですよ」
「えっ」
おっと、と口元を両手で押さえる。せっかく気持ちよさそうに眠っているのだから、起こしたくはない。しかも、三日間一睡もしないで……って。まだ子どもなのだから、無理はしないで欲しい。
「ポーラ、この手紙を友達に出したいんだけど」
「かしこまりました。すぐに送りますね……えっと、どちらまで?」
「フォスター公爵家まで。フォスター家のカーティスと友達になったんだ」
カーティスの姿を思い浮かべながら手紙をポーラに差し出す。すると彼女は目を丸くして、オレと手紙を交互に見てから両手でしっかりと手紙を受け取った。
「では、早速出してきますね」
「うん、お願い」
足音を立てないように部屋から出て行く。パタン、と扉が閉まり、すっかり冷めたお茶を一気に飲み、ゆっくりと息を吐く。
カーティスからの手紙をもう一度読み返し、丁寧に折りたたみ、封筒に戻す。勉強用の机に向かい手紙を机の引き出しにしまい、カイルに近付いた。
すぅすぅと穏やかに寝息を立てるカイル。三日も徹夜すれば、そりゃ眠くなるだろう。
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