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2章:いろんな人の、いろんな事情。

リンジーのこと。 ――1

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「ボクの半分は魔族の血だよ。だから、半分とはいえ同族はわかるんだ。それに、長く生きていればいろいろなコトを知るのさ」
「一体何歳だよ!?」
「さあ? なんせあまりにも長く生きすぎて、数えるのも飽きてしまったからねぇ」

 年齢を数えるのを飽きるくらい……? え、まさかオレが想像している年齢よりもかなり上だったりする? 見た目に反してリンジーって結構な年齢なの……? あれ、でも同じハーフエルフでもカイルは年齢と変わらない見た目だ。どういうことなの?

「ちなみに、エルフやハーフエルフは成人後から成長が緩やかになるよ」
「オレの疑問、読んでない?」
「さて、どっちだと思う?」

 質問を質問で返された。なんとなくからかわれているような気がして、じろりと彼を睨んだ。でも、リンジーはそんなこと全然気にしていないみたいに飄々ひょうひょうとしている。

「エリスさま、着替えましょうか」
「そうする」

 着替えるスペースもあるので、そこでパジャマに着替えた。脱いだ服を片付けようとすると、「それは私の仕事ですから」とカイルが止めた。てきぱきと丁寧に服をハンガーにかける。

 そういえば、魔族に光属性の魔法、使っても良かったのかな。

「なぁ、魔族に光属性の魔法って平気?」
「平気だとも。治療の魔法が聞いただろう?」
「……なんでそれ、知っているのさ……」
「ふふふ。それは秘密さ。すべてを知ってしまったらつまらないだろう?」

 ――絶対になにかを知っていてわざと話さないタイプだ、この人! 風のような人に感じる。掴みどころがない。オレに対してだけなのか、それともシェリルに対してもこんな感じなのか?

「じゃあ、召喚獣に関して知っていることは?」
「滅ぼすモノ、救うモノ、そのどちらでもないのが召喚獣さ」

 え? と目を大きく見開く。『災厄』と呼ばれた召喚獣は王都を滅ぼしていたけど……?

「武器と同じさ。使う人によって、それは善にも悪にもなる。召喚獣自体は善も悪も関係ないからね」

 召喚した人によって善性か悪性か決まるの? なんか、それもイヤだなぁ。召喚獣にそういう意識はあるのかな。イヤなことをさせられているとか、これは良いことをしたなぁとか。

「それじゃあ、カーティスの養父について知っていることは?」
「彼かい? そうだねぇ……外面は良いよねぇ」

 頬杖をしながらしみじみとそう言うリンジー。公爵のことを知っているのか、ちょっと意外。ああ、でも長生きしていたら、そりゃ知っているか。

「でも、内面はダメだね。野心に満ち溢れすぎている。もちろん、野心を持つのは悪いことではない。だが、彼はあまりにも――己に正直すぎる。あまり関わり合いになりたくないね、ボクは」
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