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1章:乙女ゲームの中に転生したみたい?

家族一緒に ――6

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 オレが怪訝な表情を浮かべているのに気付いたのか(帽子被っているのに)、カイルがこっそりと「女の子の格好ですから」と耳元で囁いた。ドクンと妙に心臓が高鳴る。なんでこんなに意識しているんだ、オレ!?

「おやつでも食べましょうか。今日は暖かいし、アイスなんてどうかしら?」
「わぁ、食べたいです、お母さま!」
「オレも!」

 広場につきベンチに座る。あの服屋から広場まで、そんなに長く歩いたわけじゃないのに、なんだかどっと疲れた。広場につくと、パンっと母さんが頬の横で叩いて提案した。

 疲れていたし、母さんの言った通り暖かい日だったから、甘くて冷たいアイスが食べられるのは嬉しいことだった。

「エリスも行くかい?」
「待ってて良いかな。この格好で動くのは、ちょっと」

 眉を下げて父さんに伝えると、父さんは「そっか」と呟いて帽子の上からぽんぽんと頭を撫でる。

「じゃあ、食べたい味はある?」
「さっぱりした味ならなんでも!」
「わかった。じゃあ行って来るね」

 近くのアイス屋に、父さんと母さん、シェリルと護衛数人が向かう。広場で遊んでいる子どもたちや、散歩をしている仲の良い親子を眺めてぼんやりとドレスを着ている女性はすごいな、と考えた。せめてポーラのように膝丈のスカートならまだ歩きやすいのでは?

 広場で遊んでいる子たちを眺めていると、ものすごい勢いで走ってくる子がいて、医師につまずいて派手に転んだ。顔からべしゃっといったから、たぶんすごく痛いと思う。帽子まで脱げちゃったみたいだし。むくりと起き上がって、「~~~~!!」と今にも泣きだしそうな表情を浮かべながら必死に耐えている姿は、なかなか根性があると感心した。子どもが痛みを耐えているをただ眺めるのは、ちょっと良心が痛む。

「カイル、オレのハンカチある?」
「はい、少々お待ちください」

 ハンカチをすぐに取り出してオレに渡す。カイルに「ちょっとあの子の様子を見てくる」と伝えてからベンチから立ち上がり、その子の元に向かう。その子はオレに気付いて見上げてきた。

 ふわふわの赤い髪に緑の瞳。男の子、だよな。ハーフパンツ履いているし。たぶん。勝手に男の子だと思っておく。目に涙が滲んでいるけれど、耐えているようだ。

「立てるか?」

 手を差し出すと、一瞬身体をびくりと震わせて、ちらちらとオレの顔と手を交互で見た。おずおずとオレの手を取り、立ち上がる。顔と膝が擦り剥けて痛そうだ。血も滲んでいるし。見ているこっちもなんだか痛くなってきた。
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