最終目標はのんびり暮らすことです。

海里

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1章:乙女ゲームの中に転生したみたい?

家族一緒に ――4

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「あのね、やりたいことがあるの」
「やりたいこと?」

 シェリルはニヤリと笑い、近くに店員を呼んで屈ませ、ひそひそと耳打ちする。店員は視線をオレとシェリルを交互に見て、にっこりと「お任せください」と胸元を叩く。それから五分もしないうちに数着の服を持ってきた。

「こちらはいかがでしょうか」
「うん、良い感じ! 着替えてみるわ!」

 シェリルは服を受け取ると、一着をオレに渡した。……なぜか、ワンピースを。

「あの、シェリルさん? これ、女の子の服なんですが」
「ええ、エリスにぴったりサイズのはずよ!」
「……着ろって?」

 にっこり笑ってうなずかれた。オレに女装の趣味はないんだが!? と心の中でツッコミを入れた。真っ白なワンピースにはピンク色の花の刺繍がされていて、シンプルだけど可愛らしい雰囲気だ。……これを着ろって? 目を輝かせるシェリルに押されて、しぶしぶ了承してしまった。

「あたくしはこっちを着るの!」

 と、見せてくれたのはオレが着ているようなモノクロの服。

「それ、男物だよ」
「知っているわ、良いの!」

 ふんふーん、とよくわからない鼻歌を歌いながら、シェリルは着替えを手伝ってもらうために店員を呼ぶ。オレに「手伝いますか?」と聞いてきたので、首を左右に振って断った。くるりとシェリルと背を向かい合わせ、服を着替えようとした。一度着てみたら、シェリルの気も済むだろうし。なにが楽しいのかわからないけれど、彼女は上機嫌だ。っていうかさ、まさか文化祭でもないのに女装することになるとは、思わないよな。

 高校の文化祭のときに余興として女装する男子が居た。もちろんオレはしていない。断固拒否した。女子が「えー」と渋られたけどね。ちなみに女装した人数は結構いて、女子が張り切ってメイクをしていた。なんであんなにノリノリだったんだろうなぁ。あれも一種の若気の至り? なんか、年寄りっぽくないか、オレの考え方。

「って、あれ、これどうやって着んの!?」
「背中にジッパーがあって……」

 さすがに女物はひとりじゃ無理だ! っていうか本音を言えば着たくない。だけど、パンツ一丁でいるのもイヤだし……仕方ない、仕方ないと心の中で呟いた。

「背中のジッパーは上げてあげるから、とりあえず着て」
「あ、はい」

 とりあえず着てみる。シェリルに声を掛けて、背中のジッパーを上げてもらい、鏡を見ると、なんとも言えない女装姿のオレがいた。

「フーン、悪くないんじゃない?」
「イヤどう見ても変だよ、似合わねー!」
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