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1章:乙女ゲームの中に転生したみたい?
家族一緒に ――3
しおりを挟むそして原色の布で作られたドレスを着ていたのは、彼女の意思じゃなかったのか。こういうのも自分の考えとは関係ないとは。オレが持っていたパステルカラーの服、全部あげたい。あ、でも三年の差って結構あるみたいで、オレよりもシェリルのほうが背が高いんだよなぁ。
「どんな服でもシェリルなら着こなせそう」
「あら、そーぉ? ふふん、そうでしょうとも!」
どうやら自信家なところは素らしい。ま、確かに客観的に見れば美人だから、自身がないよりは良いのかもしれない。知らないけど。
「それにあたくし、ちょっと面白いことを考えたのよね」
腕を組んで自信満々に言う姿は、なぜかキラキラと輝いていた。一体なにを考えたというのか。「あとで教えてあげる」とウインクする彼女に、みんなで首を傾げた。ただひとり、カイルだけは傾げていなかったから、シェリルから聞いているのかもしれないな。カイルはオレの視線に気付いて、ぱちっと視線が合って柔らかく微笑まれた。
――美少年の笑顔は、心臓に悪いなぁ……!
「カイル、エリスがどの服屋で買ったのか、店の場所は覚えているかい?」
「はい、旦那さま。あちらです」
馬車に乗っている間に、父さんがカイルに尋ねる。カイルが窓の外に視線を向けて、場所を指す。その場所に馬車を向かわせた。
店の前に馬車を止め、馬車から降りる。シェリルは早速とばかりにその店まで向かう。素早い。母さんが頬に手を添えて、「あらあら」と微笑ましそうに彼女を見ていた。止めなくて良かったのかな。店の中に入ると、シェリルがじぃっとドレスを選んでいた。
「いらっしゃいませ」
「やぁ、お邪魔させてもらうよ」
「ごゆっくりどうぞ!」
以前接客してくれた人だった。オレに気付いて、ニコッと微笑んでくれたので、オレも微笑みを返した。
シェリルは気に入ったドレスを片っ端から試着しているみたいだ。着替えるたびに「どう!?」聞いてくる。かわいいかわいい。
「心がこもってない!」
「何十着、試着する気だよ……」
ああ、でもなんか懐かしい。沙織と出掛けたときも、試着に時間を掛けていたっけ。辺りを見渡していると、母さんがオレに声を掛けてきた。
「エリスも欲しい服があれば言ってちょうだいね」
「あ、ありがとう」
「ねー、ちょっとエリス! こっち来て!」
シェリルに呼ばれて試着室に近付くと、試着室に引っ張り込まれた。女の子がそんなことをしてはいけません! オレがそう怒ると、シェリルはキョトンとした表情でオレを見ていた。
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