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1章:乙女ゲームの中に転生したみたい?
そして現在 ――6
しおりを挟むまず喉の渇きを潤すために水を持って来てくれた。ごくごくと一気に飲み込んで、ふぅと息を吐く。水分が全身に巡る感じが心地よい。喉を潤したあとすぐに、「お風呂の準備が出来ました」と言ってくれた。
「もう?」
「手伝ってもらいました」
温かな湯気が見える。お風呂に入ろうとすると「手伝います」と言われたけれど、断った。服を脱いでまずはシャワーで汗を流す。髪を洗って、身体も洗って、浴槽に入り「あ~……」と声が出る。温かいお湯に全身浸かるのって、どうしてこんなにリラックスできるのかな。
二十分くらい浸かり、お風呂から上がる。バスタオルで全身を拭いて、カイルが「こちらを」と保湿用のクリームを差し出した。黙って受け取ってとりあえず保湿をしてみる。他の人たちも使っているのかも?
「エリスさま」
パジャマに着替えてカイルの前に出ると、ふわりとタオルを頭に乗せられた。優しい手つきで髪の水分をタオルに吸わせる。ふわふわのタオルが水分を吸って濡れていくのを感じた。
「髪を乾かしたら、ホットミルクをお持ちしますね」
「ホットミルク?」
「ええ。よく眠れるように」
「……ん、じゃあお願いするよ」
カイルの手つきがあまりにも優しいから、なんだかホッとする。タオルを頭から外すと、いつの間にか乾いていた。
「では、ホットミルクを作ってきますね」
「うん、カイル、ありがとう」
お礼の言葉を口にすると、カイルは目を丸くして、それからふっと微笑みを浮かべて「どういたしまして」とオレの頭をぽんぽんと撫でてからホットミルクを用意しに行った。
浴室から出て自室に向かう。身体はぽかぽかとしていて、眠れるかどうか心配だったけど、大丈夫そうだ。
部屋まで戻り、ベッドに腰かけてぼんやりしていると、カイルがホットミルクを持って来てくれた。カップを受け取りほんのりと口をつける。ほんのり甘いホットミルクを飲むと、なんだか心が和んだ。自分が思って以上に、心は疲れていたのかもしれない。
「眠れそうですか?」
「……ん、なんか眠くなってきた。カイルも休んで」
「エリスさまがお休みになってから、休みますよ」
じゃあさっさとオレが休まないといけないな。ホットミルクを飲み干して、カイルに「おやすみ」と伝えると、カイルも「おやすみなさい」と返してくれた。
ベッドに横になって目を閉じると、急に睡魔が襲ってきた。三秒もかからず眠りに落ちる。きっと、明日はスッキリとした気分で目覚められるだろう。
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