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1章:乙女ゲームの中に転生したみたい?

カイルと一緒に ――1

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 そのうちにシェリルが「カーメルおばさま、一緒に話しましょ!」とオレの部屋まで来て連れて行った。一瞬視線が交わったけど、べーっと舌を出した。子どもっぽいことをするなぁ、と肩をすくめたけど、考えてみれば十歳の少女だ。子どもっぽいではなく、子どもだった。

「シェリルさまは相変わらずですね」
「そーだね」

 さすがに慣れてきたけど。部屋にカイルとふたりきりになり、カイルがどこか呆れたように乾いた声を出す。彼女の『エリス嫌い』という態度は日に日に悪化しているような気もするが、それと同時に人を傷つける言葉や態度に戸惑っているようにも見えた。しまった! って顔をするんだよな、シェリル。

「なんというか、言動がちぐはぐしているように見えるんだよなぁ」

 ぽつりと言葉をこぼすと、カイルがオレに顔を向ける。そして、真剣な表情を浮かべて仮説を立てた。

「心からエリスさまのことを、嫌いにはなっていないようでしたよね」
「カイルにもそう見えるんだ?」
「はい。思ってもいないことを口にして、後悔しているように見えました」

 カイルにシェリルのことを打ち明けてから、彼はシェリルのことを観察していたようだ。そして、オレと接するときと他の人と接するときでは態度がまったく違うことに気付き、それからずっとシェリルの言動について考えていたみたいだ。

「まぁ、今はカーメルさん相手してくれているから、オレらは遊ぼうか」
「なにして遊びますか?」
「んー、なんにしようかなぁ」

 最近はカイルと一緒に散歩をしたり、遊んだりしている。カイルが持ってきたパズルで遊んだり、本を読んだりして過ごしていたんだ。ただ、カイルが持ってくるパズルと本が難しいものだったので、両親が教育に力を入れていたのだろうかと悩んだ。

「なぁ、ミルクパズルや神話系の本って、どこで手に入れたんだ?」

 真っ白なピースをくっつけていくミルクパズル。かなり難しかった。ちなみにほとんどカイルが組み立てた。神話系の本は分厚く、読むのに苦労した。カイルに解説してもらいながらなんとか読み進めたが、数ページ読むと眠気が襲ってくる本だった。そしてふと、文字は読めるけれど書けるのだろうかと試してみたら見事にミミズ文字だったので、カイルに文字の書き方を教わったのだ。

「誕生日プレゼントでもらったものです」
「え。大事なものじゃ…?」

 誕生日プレゼントでもらった大事なものを、と彼を見るとキョトンとした表情でオレを見ていた。
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