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1章:乙女ゲームの中に転生したみたい?

爵位について ――1

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「エリスは爵位について、どのくらい知っている?」
「えっと、男爵、子爵、伯爵、侯爵、公爵……?」

 指折り数えてみると、ユーインさんが微笑ましそうにオレを見ていた。

「それから騎士もだね」
「あれ、じゃあ魔導士はどうなんですか?」
「魔導士は別枠って感じかな。魔導士は自分の研究のために魔塔に居るのが主だから。そういえば両立している人のほうが珍しいかも」

 ふふ、と笑うユーインさんに、オレは軽く頬を掻いた。じゃあ、うちに居る騎士団の団員も貴族だったのか。

「騎士は領地を持たない貴族です。そういう人たちはたくさん居ますよ」

 付け足すようにカイルが教えてくれた。

「ついでに言えばお金で爵位を買う人も居るんだよ」
「爵位って買えるんですか?」

 思わず声がひっくり返った。だって、爵位って王さまにもらうイメージのほうが強いから。

「高いけどね。でも、貴族と言う身分があれば結構便利なときもあるから。お金を持っている平民は買う人が居るよ」

 お金を持っている平民ってどんな人なんだろう? でもまぁ、確かにそんなにお金を持っているのなら買う人も居るか。……爵位っていくらするんだろう。ちょっと気になるけど聞くのが怖い。

「……あれ、じゃあカイルも騎士?」

 隣に居るカイルに視線を向けると、カイルは緩やかに首を振った。

「カイルは騎士ではないかな」
「へぇ……」
「どちらかと言うと魔導士のほうだもんね?」
「……そうですね、確かに」
「え、そうだったんだ」
「あと騎士になるのは四年くらい早いかな」

 四年? と首を傾げるとユーインさんはちらりとカイルに視線を向けてから軽く手を広げた。

「十六歳の成人の儀のあと、騎士になれるんだ」

 十六歳で成人!? 十五歳や二十歳じゃなくて? と目を丸くしてしまった。オレの知っている常識とはやっぱり違うんだな。そう感じて、なんだか心が痛くなった。思わず心臓の上の服を掴むと、心配そうにこちらを見ているユーインさんに気付いて、慌てて服から手を離してなんでもないですよ、と軽く手を振った。

「成人の儀ってなにをやるんですか?」
「陛下に謁見して、次期当主が誰になるのか紹介したり、パーティーを開いて招待客と過ごしたり……まぁ、家に寄るけどね?」

 じゃあ、オレとシェリルが成人したら陛下に会えるんだ。どんな人なんだろう、この国の王様って。

「とはいえ、当主になるのは当代の爵位を持つ者が死んだり、老衰で動けなくなったりしたり、私のように早々に爵位を譲渡される場合になる」

 確かにユーインさん若そうに見えるもんなぁ。
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