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1章:乙女ゲームの中に転生したみたい?
この世界の年齢ってさっぱりだ! ――1
しおりを挟む「ありがとう、エリス。シェリルを気遣ってくれて」
ユーインさんに柔らかく微笑みを向けられて、眉を下げて微笑む。気遣ったわけじゃないんだ。お腹が空くと、思考は悪いほうにいくからな。それにカイルが持っていけば、シェリルだって素直に受け取るだろう、たぶん。
そこからは三人で食事をすることになった。食べられる量はやっぱり少ないから、スープ一杯をゆっくりと食べた。もっと食べられるようになったら体力作りも始めよう。
まずはウォーキングから始めるべきかな。それからジョギング。あ、そういえばカイルって剣を携えていたっけ。剣術を習うのもいいかもしれない。オレに持てる剣があれば、だけど。
「味はどうかな?」
ユーインさんがそう聞いてきたので、オレは「美味しいです」と答えた。とはいえやっぱりスープ一杯で限界。コンソメスープなのかな、優しくて美味しい。なんか安心できる味。
「そうか、よかった」
「たくさん食べて、栄養を摂らないとね」
ユーインさんとキャサリンさんと、今日のことを話す。スープを食べ終わったオレは、水を飲みながら談笑していた。女神の祝福を受けて、どの光を見たのかを話すと、「エリスも二属性か!」と驚きつつも喜んでくれた。
そして、お腹がいっぱいになったからか眠くなり、うとうとし始めるとポーラが近付いて来て、オレをおんぶしようとしたから「自分で歩くよ」と伝えた。
残念そうにポーラの耳が垂れたのを見て、可愛いなと思ってしまう。耳と尻尾で喜怒哀楽がバレバレだ。
「部屋まで手を引いてくれる?」
「はいっ! お任せください!」
今度はぱぁっと明るい表情になって、どうぞとばかりに差し出された手を取り、椅子から立ち上がる。ユーインさんとキャサリンさんに、「それじゃあ、失礼します」と軽く頭を下げてから食堂を出る。
廊下を歩きながら、彼女を見上げてふと気になったことを口にする。
「ねえ、ポーラは元からオレ付きの人だったの?」
「そうですよ! エリス坊ちゃんが赤ちゃんの頃からです!」
「ええ、ポーラってすごく若いよね!?」
だって猫耳少女じゃん! 見た目! 十代じゃないの!? オレが驚いていると、ポーラはくすくすと笑いながら言葉を紡いだ。
「こんな見た目ですが、私は二十歳ですよ。私の種族は背が小さいんです」
「え、でもそうだとしても十歳の頃からオレの付き人だってことになるよね、早くない?」
「そうですか? 私はとにかく早く働きたかったので、ちょうど良かったですよ!」
十年の付き合いなのか~……。だから目覚めたときにあんなに嬉しそうだったんだ。ちょっと納得。
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