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1章:乙女ゲームの中に転生したみたい?
転生!? ――12
しおりを挟むキャサリンさんの提案は、オレにとってもとても大事なものに感じた。だからこくりうなずいてふと窓の外を見る。
「キャサリンさん、せっかくなので、外で話しませんか?」
「外で?」
「はい。今日は天気も良いし、ここから見える中庭の花が綺麗だったので」
にっこり笑ってそう言うと、彼女は「そうね」と笑ってくれた。……とはいえ、中庭までの道、オレは知らないけどな!
そんなわけでキャサリンさんと一緒に中庭まで歩く。ちらりと彼女を見上げると、ぱちっと視線が合った。優しく微笑む彼女はまるで女神のように神々しい。
中庭につくと、キャサリンさんが「エリスは、花を見てどう思う?」と尋ねられて、綺麗に咲いている花とキャサリンさんを交互に見て少し考えてから答えた。
「きれいだな、と思います。でも、こうしてきれいに咲くのは、ここを任されている庭師たちのおかげですよね」
丁寧に手入れされているから、こんなにもきれいに咲くのだ。オレの答えに、キャサリンさんは目を見開いて、それからじわりと涙をにじませた。ぎょっとして「キャサリンさん?」と彼女の名を呼ぶと、緩やかに首を左右に振る。それから、中庭に用意されているテーブルと椅子に向かい、椅子に座ると彼女を見上げる。彼女はオレの隣に座って、そっとオレの手を包み込むように両手を重ねた。
「エリスが幼い頃にも、同じことを言っていたのよ」
そのときのことを思い出したのか、キャサリンさんは懐かしむように目元を細め、ゆっくりと深呼吸をしてから、真剣なまなざしでオレを見た。
「十年前、あなたとシェリルが生まれました。とても可愛い私たちの子。あなたたちは仲が良くてね、赤ちゃんの頃はずっと手を握っていたのよ。一度手が離れてしまうと大泣きしてしまうくらいに。それがだんだんと……シェリルがエリスに、きつく当たるようになってしまった……」
しょんぼりって言葉がぴったりなくらい、キャサリンさんの肩が落ちた。シェリルがきつく当たっているのはオレだけなのか? そこが少し気になる。
「あんなに仲の良い双子だったのに……。三歳の頃なんて、『シェリルはエリスと結婚するの!』って言っていたくらいなのよ?」
「え。それ、オレはなんて返したんですか?」
「意味がわかっていなかったみたいで、にこにこしていただけよ」
なにも言ってなかったのか。まぁ、三歳の子に『結婚』がわかるかどうかも怪しいもんだしな。しかし……全然記憶にないや。やっぱり、『エリス』の身体を乗っ取っちゃんじゃ……? もしそうだとしたら、オレが乗っ取ったこの子の魂は、どこに行ったんだ?
「五歳の頃からかしら。シェリルが一方的にエリスを嫌って……、エリスは寂しそうな顔をしていたのだけど、どうすることもできなくて……」
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