最終目標はのんびり暮らすことです。

海里

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1章:乙女ゲームの中に転生したみたい?

転生!? ――7

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 扉が開き、入ってきたのは銀髪の青年だった。銀色の髪を首の後ろでひとつに結び、左目にモノクルをしている。瞳の色はワインレッド。

 うわ、イケメン。この人のほうが攻略キャラだと言われても納得できる。オレをじっと見て、ハッとしたようにユーインさんの元に行き、耳元でささやく。聞き取れなかったが、ユーインさんがイヤそうに眉をひそめたのが見えた。どうしたんだろう?

「すまない、エリス。ちょっと客が来たみたいだ」

 来客のようだ。オレのことは気にしないでいいので、と思いながら言葉を紡ぐ。

「いいえ、いろいろありがとうございました、ユーインさん」

 名前で呼んだからか、ユーインさんは悲しそうに眉を下げ、しぶしぶと言うように立ち上がってオレの頭を苦シャリと撫でてから部屋を出て行った。銀髪の青年は、驚いたようにオレを見ている。

「ヒュー、お仕事は終わったの?」

 ソファから立ち上がってシェリルが銀髪の青年に駆けていく。ヒューって名前なのだろう。彼はこくりとうなずいた。言葉を発しないのはなぜ? シェリルは表情を明るくして彼に話しかけている。

 どうやら彼に懐いているようだ。

「キャサリンさん、少し疲れたので、部屋に戻ってもいいですか?」
「え、ええ。それでは、わたくしが……」
「ううん、ポーラだっけ? 案内してくれる?」
「か、かしこまりました、坊ちゃん」
「あ、ちょっとあんた、どこに行くつもりよ!」

 シェリルの言葉は無視して、オレは部屋から出て行った。三年間ベッドの上で寝ていたわりには結構歩けるもんだな。でも、筋力はなさそうだし……まずは体力をつけないといけないか。ポーラは猫耳をぴくぴくと動かしながら部屋まで案内してくれた。

「オレ、ちょっと休むからポーラも休んで」
「えっ、あの、坊ちゃん?」
「女の子がひとりで男の部屋に入っちゃだめだよ。あ、それと鏡ありがとう」

 持ったままだった手鏡を返して、ポーラに礼を伝える。彼女はぽかんと口を開けた。そんなに驚くことなんだろうか? とりあえずさっきまで寝ていた部屋に戻ってベッドに潜り込む。

 ……沙織と両親、どうなったんだろう。気になるけれど、調べるすべがない。ここが本当に沙織の言っていた乙女ゲームの世界だとしたら、どうしてオレが攻略キャラの『エリス』になったんだ?

 考えても考えてもわからなくて、小さく息を吐いて頭まですっぽりと布団をかぶる。目を閉じるとどんどんと眠気が襲ってきた。

 目覚めたばかりだというのに、あっさりと眠りに落ちた。
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