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1章:乙女ゲームの中に転生したみたい?

転生!? ――3

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 ――あれ? と思って目をパチッと開く。オレ、死んだんじゃなかったのか……? と辺りを見渡すと、オレの部屋じゃないことがわかった。

 見慣れない天井に、ベッドの硬さが違う。恐る恐る自分の手を動かしてみると、動いたけれど動きが鈍い。のろのろと起き上がって自分の手を見ると、小さかった。なんだこれ、どうなっているんだ? 困惑していると扉がノックされて、返事をする前に扉が開いた。

「失礼します、着替えを替えにまいりました――……ぼ、坊ちゃん! 目が覚めたのですか!?」

 メイド服の女の子が入って来た。――誰? うわぁ、猫耳がついてる。コスプレ? あれ、でもぴくぴく動いている……作りものだとしたら相当凝っているよな。じぃっと耳を見つめていたら女の子がハッとしたように耳をピンと立たせる。本物のように見える。

「……ええと、きみは誰?」
「えっ!? た、大変です! すぐに旦那さまたちをお呼びしてきますー!」

 猫耳少女はオレの問いにこれ以上ないほど目を大きく見開いて、慌てたように駆け出した。だんなさまたち? と首を傾げたが、とりあえずベッドから降りてみる。部屋をぐるりと眺めて、肩をすくめた。

 部屋の様子は絢爛豪華と言っていいだろう。とにかく広いし、ベッドの近くに置いてある花瓶はすごく細かい細工だし、照明はシャンデリアのようだし。ちなみに花瓶にはピンク色の可愛らしい花が活けられていた。

 ……っていうか、さっきから思っていたんだけど、背が縮んでいる気がする。手も小さかったし! どこかに鏡がないかと辺りを見渡すけれど、なさそうだ。無駄に広い部屋の中、部屋が広いからか窓も大きい。窓のそばまで歩き、カーテンをそっと開けて外を見てみる。

 ――ああ、やっぱりここは、オレが十七年間生きていた日本ではなさそうだ。そう思って目元を細める。すると、バタバタバタって騒がしい足音が聞こえた。

 猫耳少女は扉を閉めないで行ったみたいで、見慣れない人たちがぞろぞろと部屋の中に入ってきた。立っているオレに、金髪の女性がうるりと涙を浮かべ、口元に両手を添えた。そして、ゆっくりと近付いてくる。

「……目が覚めたのですね、エリス!」

 ――いや、だから誰だよ……。エリスって呼ばれたのはオレか? 首を傾げると、恐らく三十代前半くらいの女性が後ろを向いた。そして、彼女と同じくらいの年齢だろう男性がオレの前に立ち、視線を合わせるようにしゃがみ、肩に手を置いた。

「エリス、よく目覚めてくれた……!」

 この男性も瞳に涙を浮かべている。声も、震えていた。……やはりエリスと呼ばれたのはオレだよな……? どういうことだ、ここは本当にどこなんだ。っていうかオレ、死んだんじゃなかったのか……? 混乱していて、なにも言えなかった。そんなオレをじっと見つめる人たちに、ようやく口を開く。

「あの」
「なんだい、エリス」
「……あなたたちは、誰ですか?」

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