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2回目:大胸筋マッサージと言う名の……
しおりを挟む「お待たせいたしました」
施術台のベッドに座って、ドキドキしながら施術者を待つ裕也。部屋には以前と同じアロマが焚かれていて、心を落ち着かせようと深呼吸を繰り返していると、施術者が部屋へ入ってきて裕也に声を掛けて来た。
上半身裸で、下はこの前と同じ小さいパンツを穿いている。乳首にはこの前の施術で渡されたニップルリングが嵌められて乳首は既に触れられたくてたまらないとばかりにぷっくりとしていた。
「ああ、使ってくれていたんですね」
嬉しそうに微笑む施術者に、裕也は視線を逸らして俯く。その様子に施術者は首を傾げて裕也の前まで行くと両ひざを床について、裕也の顔を覗き込む。何かを思い出して恥ずかしがっているような、そんな表情を浮かべる裕也に、施術者は「どうかなさいましたか?」と聞いたが、裕也はふるふると首を横に振るばかりだ。
とりあえず裕也を寝かせて、オイルを取り出す。たっぷりと手のひらに出して温め、裕也の大胸筋に塗り付けた。それだけでも、裕也の躰が跳ねる。既に、瞳が蕩け始めている。
「マッサージを始めますね」
一時間コースのうち、二十分は乳首に触れないように大胸筋マッサージをした。もじもじと股間を擦り合わせる裕也は、なにかを期待しているような熱い吐息を繰り返す。
「――前回と比べて、大分コリは良くなりましたか?」
施術者が裕也に尋ねる。裕也はとろんとした瞳を施術者に向けて、「はい、大分……」と答えた。もどかし気に躰を跳ねさせる姿は、中々にそそるものがあった。
「このニップルリングはどうでした?」
「……ぁ♡」
ようやく触ってくれたとばかりに裕也の口から甘い声が出た。ほんの少し、乳首を触っただけだ。クスリと笑う施術者に向かって、裕也が言葉を紡ぐ。
「内側の、トゲがチクチクして……気持ち良かったです♡♡♡」
「それは良かったです。他にも裕也さんに似合いそうなニップルリングがありますので、つけてみても良いですか?」
「……お願いします♡♡♡ んっ、ぁッ♡♡♡♡」
ニップルリングに触れてわざとゆっくり引き抜く。その感覚に裕也は腰を揺らして喘いだ。施術者はそれを棚の上に置き、代わりにベッドの下に置いてあるカゴからゆらりと揺れるタイプのニップルリングを取り出した。小さな鈴が付いていて、ちりんと可愛い音が出るタイプのもの。それを裕也の乳首に取り付けると、わざとらしく鈴を鳴らした。
「マッサージを受けてから、変わったことはございますか?」
「特には……♡♡♡ あっ、でも……」
「でも?」
「電車、で……痴漢……♡♡♡」
恐らく電車で痴漢に触られたのだろう。ぷっくりとした乳首を摘んで回すように動かせば、ニップルリングが揺れてちりん、ちりんと鳴った。
「それは大変でしたね」
労わるようにそう言えば、裕也は蕩けた表情を浮かべて「痴漢、に、触られるのが……きもちよくて♡♡♡♡」と言った。その言葉を聞いて、施術者は裕也の耳元に顔を近付けて囁く。
「……では、脳内でイメージしてみてください。いつもの時間に電車に乗り、吊革につかまって降りる駅までの時間――あなたの背後に男が立ち、背後からスーツの上着に手を入れてワイシャツの上からこんな風に乳首をカリカリと爪で引っ掻いたり、親指と人差し指できゅっと摘まんだり……」
「んぁ♡♡♡ あ、声出ちゃ……♡♡♡♡」
施術者が裕也の乳首の先端を爪でカリカリと引っ掻き、もう片方の乳首を言葉の通り摘んだり。こりこりとした乳首の感触を楽しむように揉んだりした。
「そのうちに、あなたの乳首に巻き付いているのに気付いて、ワイシャツのボタンをひとつずつ、丁寧に外して……息を飲むでしょうね。こんな可愛らしくてイヤらしいアクセサリーを乳首につけていたら」
ちりん、と鈴を鳴らす施術者に、裕也はもっと触ってとばかりに胸を突き出す。くすっと施術者が笑い、裕也の乳首をくにくにと揉み、ピンと弾く。弾いた時にやっぱり鈴が鳴り、それが裕也の興奮を高めていく。
「周りにいるひとたちも気づくでしょうね。裕也さんがこんなえっちなアクセサリーを付けているって」
「ぁ……♡♡♡♡」
周囲の人に見られたのを想像したのか、裕也が身を捩らせる。下半身へと視線を向ければ、裕也のペニスは先走りを流していて下着に染みを作っていた。
「次々に手が伸びて、あなたの肌を楽しみ、思い思いに動き、ベルトも抜かれて下着ごとズボンを下ろされて……反応したペニスを扱かれたり、臀部を撫でまわされたり、さらにはアナルに指を入れられたり……」
「ぁん♡♡♡♡ だめ♡♡♡♡ そんなに、されたら……♡♡♡♡」
無数の手が自分に伸びているのを想像してか裕也がうっとりと声を漏らす。実際触れているのは乳首だけだと言うのに、裕也の脳内では自分が痴漢たちの手によってドロドロに快感で溶かされているのだろう。
「ペニスの先端をぐりぐりと爪で刺激されたり、前立腺を重点的に押されたり……こうして乳首を引っ張られたり……裕也さんの躰は魅力的だから、きっと群がられるでしょうね」
「ぁ、ァァぁああああっ♡♡♡♡♡♡」
ぐんっと乳首を引っ張ると同時に、裕也の躰が弓なりにしなった。下着が裕也の精液を受け止める。想像と乳首だけで達した裕也に、施術者は唇を舌でぺろりと舐め、甘く、だがどこか責めるような口調で囁く。
「イってしまいましたね……。想像とは言え電車の中で。そんな人には……」
「……おしおき、してください……♡♡♡♡」
施術者がいう前に裕也自らが膝裏に手を回すと大きく開いて施術者を誘惑する。施術者はくくっと喉の奥で笑うと、濡れた裕也の下着を破りはっと息を飲む。裕也のアナルには、この前の施術で使ったアナルプラグが挿入されていたからだ。あの日、施術者が裕也に言ったのは平日三十分、休日一時間乳首を弄るようにということだけ。これは裕也が自ら望んで挿れたことになる。
「……気に入ったんですね、そのプラグ」
「ふぁっ♡♡♡ あ、そんなにうごかしちゃ……♡♡♡♡」
施術者がプラグの取っ手に指を這わせてから掴み、ぐちゅぐちゅと音を立てて裕也のナカを刺激する。裕也はビクビクと腰を揺らして嬉しそうに啼いた。もう充分に解れているようで、施術者はアナルプラグをゆっくり、焦らすように抜いていく。全て抜き終わり、くぱっと開いたままのアナルに口角を上げて、自身のベルトを引き抜き下半身を露出させペニスを一気に挿れた。
「んぁぁあああッ♡♡♡♡」
裕也の口から嬌声が上がる。ナカをきゅうきゅうと締め付けて、美味しそうに施術者のペニスを食む。挿れただけで動かない施術者に焦れたように裕也が腰を振る。そのたびに乳首を飾るニップルリングも揺れて鈴が鳴り、ごくりと施術者が喉を鳴らして唾を飲み込み、裕也の腰を掴むとぐっと奥を亀頭で突いた。
「ぁッ♡♡♡♡ そこぉ♡♡♡♡」
「ナカ、とてもトロトロしていて気持ち良いですよ……ッ」
うっかりしているとすぐに達しそうだと思い、施術者は腰を動かして裕也の奥を突く。淵ぎりぎりまで引き抜き一気に挿入するを繰り返すと、裕也の口からは甘い声ばかりが舞う。施術者の腰の動きに合わせるように動く腰。揺れるニップルリングとちりんちりんと音を鳴らす鈴。
「もっと♡♡♡♡ もっとくださ……♡♡♡♡ んぁ、はっ、ぃぃ、きもちいいからぁ……♡♡♡♡」
施術者の思惑よりもずっとずっと、裕也は性へ翻弄されているようだ。施術者は歪んだ笑みを浮かべると言葉を落とす。
「……自分からねだるなんて、えっちな人ですね」
そう仕向けているのは自分であると理解しながらも、紡がれるのは裕也がこれを望んだと言い聞かせるような口調だ。パンパンパンと肉のぶつかり合う音を響かせながら、裕也を絶頂へと追い込む。
「ほら、イきなさい。電車の中で犯されるのを想像しながら!」
「ふぁ、ァああッ♡♡♡♡」
ガンガンと奥を突いてやれば裕也はあっさりと白濁の液体を放った。自身の腹を濡らし、うっとりと恍惚の表情を浮かべる。
「まだ付き合ってもらいますよ」
「ァん♡♡♡♡ お、れ、いまイったばっか……んァァああっ♡♡♡♡」
言葉で制しようとしても、ナカを擦られると堪らず高い声が出る。ナカを締め付けて施術者が「くっ」と短く喘ぎ、ドクドクと注がれる精液に、裕也は蕩けた表情で笑った。予約した一時間は既に過ぎていたが、ふたりともなにも言わずにただ互いの躰を貪りあっていた。
その日、終電で帰り前回と同じようにシャワーを浴びに行く。鈴のついたニップルリングを貰い、アナルプラグは一回り大きいものを挿れられ、電車の中でも気持ち良くなってしまった。人がまばらすぎて痴漢されることはなかったが、もどかしさだけが裕也の躰を襲う。
(……もっと、もっと……乱れたい……)
裕也の心に、そんな灯火が宿った。
『次回は是非、お友達を連れてきてください。友達紹介としてクーポンの特典があるので。次回〇月〇日、午後八時からの下半身一時間コースでお待ちしております』
シャワーを浴びた後にそんなメールが届いているのに気付いて、裕也の瞳が暗く光った。
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