98 / 100
4章 禍を転じて福と為す
禍を転じて福と為す 9-2
しおりを挟む突かれるたびにぐちゅぐちゅという水音が室内に響く。止めなくて良いと言ってしまった手前、イったからちょっと待って、とも伝えられなくて、陸矢が最奥を突くのと同時に何度もイきっぱなしになっているような、感覚。
「ふぁ、ぁ、ァアアッ」
「ふふ、流羽さん、気持ちよさそう」
掴んでいた足を下ろして、腰を掴むと動きを早くさせた。
「あっあっあっ」
陸矢の動きに合わせるように喘ぎ声が出る。陸矢はそれをうっとりとした表情を浮かべながら聞いていて、「もっと声、聞かせてください」なんて言われた。俺の声で陸矢が興奮するのを知っている。――いや、むしろこれは教えられた、と言っていいのではないだろうか? 俺は、陸矢に向けて手を伸ばした。
彼はそれに気付くと、深く繋がったままぎゅっと抱きしめてくれた。肌と肌が密着して、互いの体液が混ざり合う。
「りくや、りくや……ッ、好き、だいすき……っ」
「……ッ、流羽さん……!」
ぎゅうっと陸矢に抱きついて、熱に浮かされるように言葉を出すと、陸矢のモノが大きくなって、ビュクビュクと熱い液体がナカに放たれた。
その感覚に「ぁ……」と甘い息が漏れる。抜こうとする陸矢の躰に足を回す。少し驚いたように、「流羽さん?」と声を掛けられたけど、俺は陸矢に抱きついたまま、
「まだ、抜かないで……」
と、小声で伝えると、陸矢は俺を抱きしめる力を強めた。
「……そんなに可愛いこと言われると……」
困ったように言葉をこぼす陸矢。その理由はすぐにわかった。ナカで、ぐんと陸矢のモノが大きくなった。久しぶりの行為だから、まだ足りないのだろう。
「……もっと、しよ?」
「――大丈夫ですか?」
「陸矢なら、へいき……。もっと、陸矢と気持ち良くなりたい……ッ、ァァああっ!」
ぐいっと躰を引き寄せられて、対面座位の形になると同時に、自分の体重で陸矢のモノがさらに深く貫かれ、背中が弓のようにしなって達してしまった。
「はぁ、ん……ッ、ぁ、きもちい……」
ゆるゆるとナカを刺激されて、気持ち良さとともにいろんなものが込み上げてきそうだった。
「流羽さん、涙が……」
すい、と俺の目尻をなぞる陸矢に、自分が泣いていることに気付いた。
「どうしよう、陸矢……」
心配そうな陸矢に、甘えるような声が出た。
「幸せすぎて、涙出てきた……」
恋人に大切にされること。当たり前のことなのかもしれないけれど、俺にはなかったこと。陸矢が俺に優しくしてくれるから、その優しさが心に沁み込んで、幸せを感じるんだ。
「……流羽さんはこれからもっと幸せになるんですから、覚悟していてくださいね」
柔らかく微笑む陸矢の姿が、涙で滲む。
――ああ、なんて幸せなんだろう。
幸せな気持ちのまま、陸矢に何度も抱かれた……と思う。途中から気を失ってしまい、覚えていない。
起きたら躰が綺麗になっていたから、陸矢が世話をしてくれたことだけはわかった。
15
お気に入りに追加
244
あなたにおすすめの小説
王太子からは逃げられない!
krm
BL
僕、ユーリは王家直属の魔法顧問補佐。
日々真面目に職務を全うしていた……はずなのに、どうしてこうなった!?
すべては、王太子アルフレード様から「絶対に逃げられない」せい。
過剰なほどの支配欲を向けてくるアルフレード様は、僕が少しでも距離を取ろうとすると完璧な策略で逃走経路を封じてしまうのだ。
そんなある日、僕の手に謎の刻印が浮かび上がり、アルフレード様と協力して研究することに――!?
それを機にますます距離を詰めてくるアルフレード様と、なんだかんだで彼を拒み切れない僕……。
逃げられない運命の中で巻き起こる、天才王太子×ツンデレ魔法顧問補佐のファンタジーラブコメ!
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

視線の先
茉莉花 香乃
BL
放課後、僕はあいつに声をかけられた。
「セーラー服着た写真撮らせて?」
……からかわれてるんだ…そう思ったけど…あいつは本気だった
ハッピーエンド
他サイトにも公開しています
お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら
夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。
テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。
Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。
執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
溺愛極道と逃げたがりのウサギ
イワキヒロチカ
BL
完全会員制クラブでキャストとして働く湊には、忘れられない人がいた。
想い合いながら、…想っているからこそ逃げ出すしかなかった初恋の相手が。
悲しい別れから五年経ち、少しずつ悲しみも癒えてきていたある日、オーナーが客人としてクラブに連れてきた男はまさかの初恋の相手、松平竜次郎その人で……。
※本編完結済。アフター&サイドストーリー更新中。
二人のその後の話は【極道とウサギの甘いその後+ナンバリング】、サイドストーリー的なものは【タイトル(メインになるキャラ)】で表記しています。
有能社長秘書のマンションでテレワークすることになった平社員の俺
高菜あやめ
BL
【マイペース美形社長秘書×平凡新人営業マン】会社の方針で社員全員リモートワークを義務付けられたが、中途入社二年目の営業・野宮は困っていた。なぜならアパートのインターネットは遅すぎて仕事にならないから。なんとか出社を許可して欲しいと上司に直談判したら、社長の呼び出しをくらってしまい、なりゆきで社長秘書・入江のマンションに居候することに。少し冷たそうでマイペースな入江と、ちょっとビビりな野宮はうまく同居できるだろうか? のんびりほのぼのテレワークしてるリーマンのラブコメディです
幼馴染は僕を選ばない。
佳乃
BL
ずっと続くと思っていた〈腐れ縁〉は〈腐った縁〉だった。
僕は好きだったのに、ずっと一緒にいられると思っていたのに。
僕がいた場所は僕じゃ無い誰かの場所となり、繋がっていると思っていた縁は腐り果てて切れてしまった。
好きだった。
好きだった。
好きだった。
離れることで断ち切った縁。
気付いた時に断ち切られていた縁。
辛いのは、苦しいのは彼なのか、僕なのか…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる