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3章 偶然の再会
偶然の再会 24-2
しおりを挟む玄関を開けるとすぐに、車があり、陸矢の存在に気付くと後部座席のドアを開けてくれた。そのまま俺を乗せて、その隣に座りシートベルトをする。俺のシートベルトも。情けないことに、今頃躰が震えてきた。
「俺の家に」
「かしこまりました」
陸矢の家に帰る。俺が震えていることに気付いた陸矢が、そっと俺の手を握ってくれた。陸矢を見て、殴られたところが段々と痛々しい色に変化していくように見えて、
「びょ、病院、陸矢、病院行ったほうが――……」
「うん、あとでね。今は、流羽さんの安全のほうが大事だから」
優しくそう言われて、俺は俯いた。案じてくれているのが嬉しい。それと同時に、申し訳なく思う。しばらくそうしていると、陸矢の家についた。
運転手がドアを開け、陸矢がシートベルトを外し、先に外に出た。俺へ手を差し伸べる。
その手を取って、車の外に出た。陸矢が鍵を取り出し、ガチャリと開錠の音が聞こえ、中へ入るように促される。家の中に入ると、ホッとした。
「――それじゃあ、あとは任せた」
「はい。かしこまりました」
運転手と陸矢がなにか話しているようだった。俺がじっと彼らを見ていると、運転手はぺこりと一礼してから車に乗り込み、ここから去って行った。陸矢は「ほら、流羽さん。こちらへ」と自分も家の中に入り、ぱたんと玄関の扉を閉めて、陸矢は俺の手を取って歩き出す。
「まずは、シャワーを浴びてください。着替えは俺が用意しますから」
「……ん……」
俺を脱衣所に押し込めて、「ゆっくり温まってくださいね」と優しく言われてこくりとうなずいた。陸矢の言葉に甘えて、シャワーを浴びさせてもらおう。
陸矢がバスタオルや着替えを用意するために脱衣所から出て行く。俺は、陸矢が羽織らせてくれた上着を脱いで、バスルームに入り、シャワーを浴びる。
温かいシャワーが肌に当たり、目を閉じると同級生たちに触れられたことを思い出してぞわりと悪寒が走った。触れられた場所を何度も洗う。洗いながら涙が再び込み上げてきて、その涙が枯れるまで、俺はずっと躰を洗っていた。
山村たちは、なにを思ってこんなことをしたのだろうか。彼女に振られた八つ当たりなのだろうか。
小学生の頃から、山村は同級生たちのリーダーのような存在で、彼が俺の目つきのことを悪く言い出してから、いじめのようなものが始まったことを覚えている。
大人になり、子どもの頃のことを反省したのかと思ったが、人の性格はそう簡単に変わるものではないらしい。
そして、それは山村を取り巻く人たちもそうなのだろう。
……そういえば、どうして陸矢は山村の名前を知っていたんだ……?
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