【本編完結】一夜限りの相手に気に入られています!?

海里

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3章 偶然の再会

偶然の再会 17-1

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 一日にDVDとは言え映画を三本も見たのも、初めてだった。ミステリーはアクション要素も多くて見応えがあり、内心ハラハラしながらノートパソコンに釘付けになっていた。

 お菓子と飲み物、どちらも空っぽになるまで食べて、ハッとした。今日、一度も料理をしていないということを……! せめて夕食は作らなくては、と思ったが、さっきまでお菓子をつまんでいたからそんなにお腹は空いていない。たぶん、陸矢りくやもそうだろう。それでも、このままだとちょっと……いや、『家政夫』としてはダメだろう。

「よっと」

 とりあえず、立ち上がる。ああ、うん。もう大丈夫そうだ。良かった。

 ほっと安堵の息を吐いて、食べ終えたお菓子の袋を集め始める。陸矢も手伝ってくれた。

「腹減ってないだろうから、軽いものにするけど、構わないか?」
「もちろんです」

 今ある食材を頭に思い浮かべて、なにを作るのかを考える。そうめんがあったから、にゅうめんにするか。

 麺類ならきっと、つるっと食べやすいだろうし。それにしても、本当、こんなになにもしない日って珍しいよなぁなんて思いながら。

 とりあえず朝よりも体力は回復したけれど、まだ本調子というわけではないから、陸矢にも協力してもらおう。そう思って俺が頼むと、陸矢はぱぁっと表情を明るくさせて、
「わかりました!」と元気に返事をしてくれた。

 それからふたりでにゅうめんを作って、食べて、お風呂に入って、そのまま眠りに入った。……風呂はいつの間にか陸矢が掃除してくれていた。結構な時間寝ていたんだな、と思った。……ただ、なんだか一日穏やかに過ごせて、リフレッシュできた気がする。陸矢の気遣いに感謝しながら、ベッドに潜り込んで目を閉じた。睡魔はすぐに訪れた。

☆☆☆

 ――翌朝、むくりと起き上がって手を組んで伸びる。うーん、よく寝た。身支度を整えて、朝の準備をする。……あ、そう言えば米を炊くの忘れていた。

 ちらりと時間を見て、ホッとした。この時間なら、陸矢が起きるまでに炊けるだろう。

 エプロンを身に付けて、食事の準備を始めようとキッチンに向かう。今日はとても晴れていて、なんだか気分がいい。天気がいいとなんで心も晴れやかになるんだろう? ……いや、さすがに夏の晴天はきついけど。夏の猛暑はいろんなところをむしばむ気がして……晴天を見るなら春や秋、冬がいい気がする。

 さて、今日はどんな朝食を用意しようかな。

 昨日はたくさんお菓子を食べたから、和食がいいだろう。冷蔵庫の中のものを思い浮かべながら、とりあえず米を研ぐことから始めよう。

 そして、美味しい朝食を、陸矢に食べてもらおう。

「よし、やるか」

 気合いを入れるように、小さく呟いた。
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