【本編完結】一夜限りの相手に気に入られています!?

海里

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3章 偶然の再会

偶然の再会 8-1

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 陸矢りくやはメニューを手に取って、ぱらりと開く。一通り見てから、俺のほうに差し出した。それを受け取り、俺もメニューを見る。さまざまなメニューがあって、どれもおいしそうだった。

 ポップコーンを食べたとはいえ、メニューの写真を見ているとなんだかお腹が空いてきた。どれにしようかとメニューを眺めていると、メニューに一番人気と書かれているものを見つけて、これにしようと決める。一番人気なのだから、間違いないだろう。

「決まりましたか?」
「ああ。このハヤシライスにする」
「オレはミックスサンドで。飲み物はコーヒーで良いですか? オリジナルブレンドが人気みたいですよ」
「そうなんだ。じゃあ、コーヒーはそれで」

 陸矢は素早くカフェの店員を呼んで注文を済ませた。コーヒーは食前に持って来てもらうことになり、注文して数分でコーヒーが来た。ひと口飲んでみて、砂糖とミルクは入れなくてもいいな、と判断。飲みやすいコーヒーだ。苦味もあるが酸味とコクのバランスが良い。

「美味しいな」
「ええ。こだわりを感じますね」

 コーヒーを飲んでそんな感想を口にすると、陸矢もこくりと飲んでその美味しさに目をみはったようだった。

「映画館の近くにこんなカフェがあったんだなぁ……」
「カフェって居心地が良い場所だとつい長居しちゃいませんか?」
「……俺、あまりカフェに入ったことないんだよね……」

 軽く頬を掻いてそう言うと、陸矢は「そうなんですか?」と驚いていた。なんでそんなに驚くんだ?

流羽るうさん、食べ歩きが趣味なのかと思っていました」
「美味しいものを食べるのは好きだけど……」

 休日は大体レシピ本に載っている料理を作るのが主だった。あと、溜まりに溜まった家事。掃除や洗濯なども休日にまとめてやるのが普通だったから、こうして陸矢の家で『家政夫』として雇われることになってからはかなり適当な家事だったと自覚している。

「作るほうが好きだから」
「……流羽さんって、本当に料理が好きなんですね」

 感心したような陸矢の言葉に、そりゃあ、とうなずく。なにかを刻んでいるときはなにも考えなくて良いし、料理が出来上がっていくのを見るのは達成感があるし、食べると美味しいから。

「……オレは、食事って食えたらいいやって思っていたんです」
「え?」
「それこそ栄養補助のゼリーとかでも構わなかった。レトルト食品も便利でしたし」

 レトルト食品が便利なのは俺も認めるけど……。一体どんな生活をしていたんだろう、陸矢。
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