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3章 偶然の再会
偶然の再会 6-2
しおりを挟むお湯を沸かしている間にお菓子を用意する。最初のうちはなにもなかったけど、お菓子関係も結構増えたなぁ。陸矢が職場からもらってきたものや、俺が買ったものもある。陸矢はなにも言わないし、俺が用意すると一緒に食べる。
カップを用意して火を止める。カップにお湯を注ぎ温め、お湯を捨て、またお湯を注ぎティーバッグを入れて蓋をする。三分待って蓋を開け、ティーバッグを取り出しお菓子と共にトレイに乗せて陸矢の元へ持っていった。
ちなみに用意したお菓子はチョコレートだ。ちょっと高めの。ゆっくりとした時間にはぴったり……かどうかはわからないけれど、少しでも陸矢の心が楽になればいい。
「チョコレート?」
「そ。美味しいらしいよ」
新商品や普段見ない輸入品など、いろいろなものが売られているからどれを買えば良いのか迷う。だから、迷ったときはネットの評価を参考にしたりもする。新商品に関しては迷っている間になくなることが多いので、気になるものは買うようにしている。そして、たまに一緒に食べる。賞味期限の短いものから。
「あんまり甘くないんですね」
「甘いほうが良かった?」
「いいえ。オレにはちょうどいい甘さです」
俺もチョコに手を伸ばして、個装の袋を破いた。一口サイズのチョコだから、そのままぱくりと口に含む。陸矢の言う通り、あまり甘くなかった。
「甘いの苦手な人でも食えそう」
「ああ、確かに。それに、ハーブティーも良いですね。なんだかホッとします」
「カモミールティーだから」
「……流羽さんってお茶にも詳しいんですか?」
ふるふると首を横に振る。
「パッケージに書いてある」
「……なるほど」
クスクスと笑う陸矢を見ながら、俺もお茶を飲んだ。カモミールはハーブティーとしては飲みやすい部類らしい。調べるといろいろなハーブティーが出てきて結構楽しい。
「陸矢のおかげで時間があるから、調べることが出来るんだ」
「それは良かったです。あ、流羽さん。土曜日なんですけれど、一緒に出ますか? それとも待ち合せますか?」
「一緒に住んでいるのに待ち合せるのか?」
「デートっぽいでしょう?」
にやりと口角を上げる陸矢に、思わずプッと噴き出してしまった。確かに待ち合わせてって言うのは『デート』っぽい。
「確かにそうだけど、どうせなら一緒に行こう。そっちも充分『デート』っぽいだろ?」
陸矢は考えるように視線を巡らせて、目元を細めて小さくうなずいた。
「……って言っても、本当に貴重な休みを俺に使っていいのか?」
「もちろん。デートコースはオレが決めても良いですか?」
「陸矢がしたいなら……」
「ありがとうございます」
ぱぁっと明るい表情になる陸矢を見て、俺も笑みを浮かべた。
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