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3章 偶然の再会
偶然の再会 2-1
しおりを挟む「それにしても、ここで浜本に会うなんて、すごい偶然だよな。ここら辺に住んでんの?」
俺は少し考えてから、うなずいた。住んでいるというか居候だけど。
「前に住んでたところ、火事になって。知り合いの家に居候してる」
間違いではない。そして、山村に伝えるのはそんなに詳しくなくてもいいだろう。そう判断して簡単に伝えると、山村はびっくりしたように目を丸くしていた。
「火事!? そりゃ大変だったな……」
仕事も同時期に失ったから、不幸は連鎖するもんだと思ったな。ただ、陸矢に拾われたのは幸運だった。
「あ、じゃあ職場もこの近くなのか?」
「あ~……」
別に話さなくてもいいのだけど、山村が納得する話をしない限り長引きそうな気がしてきた。なので、俺は今、その知り合いの家で家政夫として働いていることを伝えた。
「それって……求職中ってこと?」
「まあ、探してはいるけれど……」
いつまでも陸矢のお世話になるわけにはいかないから、仕事は探している。……だが、なかなか見つからないというか、書類選考で落とされているような気が……。このまま見つからなかったらどうしよう。
「なら、さ。仕事、紹介しようか?」
「山村が?」
意外な申し出に怪訝そうに眉を寄せて山村を見る。……とはいえ、山村からは見えないだろうけど。
「それは、どんな仕事なんだ?」
「それは……、あ、悪い。もう会社に戻らなきゃ。これ、おれの名刺。連絡してくれ」
ヴーヴーとスマホの振動が聞こえたと思ったら、山村が慌てたように時間を確認して、それから残りのコーラを飲み干してがたっと立ち上がり、名刺を渡された。そして、慌ただしくファミレスから出て行く。
俺は小さく息を吐いてから、コーヒーを飲み干し、支払いをしてからスーパーへの道へ戻った。
とりあえず名刺は受け取ってしまったから、連絡するかどうかはあとで考えることにしよう。あんまり気は進まないけれど。
とりあえず、思考を切り替えて今日の夕飯のことについて考えよう。はぁ、なんか……酔いたい気分。最初に考えた刺身をポン酢で漬けたものにして……あ、レタスやカイワレ大根を使ってサラダ風にするのもいいかもしれないな。
……でも、なんかこう、刻みたい……。みじん切りがしたい。あれはいい。余計なことを考えなくても良くなるから。なにをみじん切りにしようか。やっぱり玉ねぎか。
今の時代、簡単にみじん切りに出来る機械も売られているけれど、包丁で切りたいんだよなぁ。あれ、全部みじん切りにすると達成感を味わえるし……。
長ネギでも良いかもなぁ。ああ、でも長ネギは白髪ねぎにしたほうがいいかもしれない。
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