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2章 不幸は幸運とともに
不幸は幸運とともに 9-2
しおりを挟む「……陸矢は?」
「トロトロになった流羽さんに、気持ち良くしてもらいますから」
表情は笑顔だったけれど、目は本気だった。
「流羽さん、自分で足を持てますか?」
「……は?」
寝っ転がったまま? と目を瞬かせる。俺は彼から視線を外しながら膝裏を持ち上げてみた。陸矢は浮いたところにどこから取り出したのかクッションを置き、その上に俺の腰を落して少し浮いたのがわかる。
「ゆっくり、慣れていってくださいね。こういう扱い」
こんなに丁寧に愛撫されること? と聞きたくなったが、言葉にはしなかった。濡れた手のまま、陸矢が後孔に触れてきたからだ。形を確認するように指でなぞられ、息を詰めた。
「呼吸はしてください」
「わかっちゃいるけど……」
顔を見ながら、なんて。なんでこんなに丁寧にしてくれるのかもわからない。
「オレを、今までの相手のように思わないでください。オレはね」
一度、言葉を切ってじっと俺を見る陸矢に、首を傾げる。
「流羽さんが気持ち良くなってくれることのほうが、大切だから」
……俺の境遇を同情して、というワケではないようだ。だって、それにしてはあまりにも真剣だったから。
「……ありが、とう?」
「疑問系なんですね」
どう答えれば良いのかわからなくて、そう口にすると陸矢はくすっと笑った。後孔に触れていた指が、ゆっくりとナカへ入っていくのを感じて、躰が反射的に動き彼の指を締め付けた。
「それじゃ、こちらに集中しましょうか」
一本目の指が出たり入ったりを繰り返す。ローションを足しながら、ナカを広げるように時間を掛けて解された。指を増やすときには「指、増やしますね?」と確認されながら。そこまで確認しなくても、と思いつつ、これが陸矢のやり方なのかな、とも考えた。
一夜限りのときにも、かなり丁寧な愛撫だったことを思い出した。
陸矢のモノはかなり大きかったから、丁寧なのだと思っていたけれど、陸矢の性格だったりするのかな。
……確かにこんなに丁寧にされてると、俺のほうが甘やかされているような気がする。
「三本目、挿れますね」
「ァああっ」
三本目の指がナカに入り、前立腺を掠めた。腰がビクビクと跳ねる。すりすりと前立腺を擦られて、甲高い声が出た。
「ここ、気持ち良いでしょう?」
トントントン、とノックするように前立腺を刺激されて、ひっきりなしに喘ぎ声が漏れる。
「ぁ、ぁっ、ん、ひぁっ」
「ね?」
一度達して萎えた自身が、再び頭をもたげた。先走りも溢れるように流れているのがわかる。
「きもち、いい……ッ」
俺の言葉に、陸矢が嬉しそうに目元を細めたのが見えた。
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