【本編完結】一夜限りの相手に気に入られています!?

海里

文字の大きさ
上 下
30 / 100
2章 不幸は幸運とともに

不幸は幸運とともに 9-2

しおりを挟む

「……陸矢は?」
「トロトロになった流羽さんに、気持ち良くしてもらいますから」

 表情は笑顔だったけれど、目は本気だった。

「流羽さん、自分で足を持てますか?」
「……は?」

 寝っ転がったまま? と目を瞬かせる。俺は彼から視線を外しながら膝裏を持ち上げてみた。陸矢は浮いたところにどこから取り出したのかクッションを置き、その上に俺の腰を落して少し浮いたのがわかる。

「ゆっくり、慣れていってくださいね。こういう扱い」

 こんなに丁寧に愛撫されること? と聞きたくなったが、言葉にはしなかった。濡れた手のまま、陸矢が後孔に触れてきたからだ。形を確認するように指でなぞられ、息を詰めた。

「呼吸はしてください」
「わかっちゃいるけど……」

 顔を見ながら、なんて。なんでこんなに丁寧にしてくれるのかもわからない。

「オレを、今までの相手のように思わないでください。オレはね」

 一度、言葉を切ってじっと俺を見る陸矢に、首を傾げる。

「流羽さんが気持ち良くなってくれることのほうが、大切だから」

 ……俺の境遇を同情して、というワケではないようだ。だって、それにしてはあまりにも真剣だったから。

「……ありが、とう?」
「疑問系なんですね」

 どう答えれば良いのかわからなくて、そう口にすると陸矢はくすっと笑った。後孔に触れていた指が、ゆっくりとナカへ入っていくのを感じて、躰が反射的に動き彼の指を締め付けた。

「それじゃ、こちらに集中しましょうか」

 一本目の指が出たり入ったりを繰り返す。ローションを足しながら、ナカを広げるように時間を掛けて解された。指を増やすときには「指、増やしますね?」と確認されながら。そこまで確認しなくても、と思いつつ、これが陸矢のやり方なのかな、とも考えた。

 一夜限りのときにも、かなり丁寧な愛撫だったことを思い出した。

 陸矢のモノはかなり大きかったから、丁寧なのだと思っていたけれど、陸矢の性格だったりするのかな。

 ……確かにこんなに丁寧にされてると、俺のほうが甘やかされているような気がする。

「三本目、挿れますね」
「ァああっ」

 三本目の指がナカに入り、前立腺を掠めた。腰がビクビクと跳ねる。すりすりと前立腺を擦られて、甲高い声が出た。

「ここ、気持ち良いでしょう?」

 トントントン、とノックするように前立腺を刺激されて、ひっきりなしに喘ぎ声が漏れる。

「ぁ、ぁっ、ん、ひぁっ」
「ね?」

 一度達して萎えた自身が、再び頭をもたげた。先走りも溢れるように流れているのがわかる。

「きもち、いい……ッ」

 俺の言葉に、陸矢が嬉しそうに目元を細めたのが見えた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

王太子からは逃げられない!

krm
BL
僕、ユーリは王家直属の魔法顧問補佐。 日々真面目に職務を全うしていた……はずなのに、どうしてこうなった!? すべては、王太子アルフレード様から「絶対に逃げられない」せい。 過剰なほどの支配欲を向けてくるアルフレード様は、僕が少しでも距離を取ろうとすると完璧な策略で逃走経路を封じてしまうのだ。 そんなある日、僕の手に謎の刻印が浮かび上がり、アルフレード様と協力して研究することに――!? それを機にますます距離を詰めてくるアルフレード様と、なんだかんだで彼を拒み切れない僕……。 逃げられない運命の中で巻き起こる、天才王太子×ツンデレ魔法顧問補佐のファンタジーラブコメ!

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

視線の先

茉莉花 香乃
BL
放課後、僕はあいつに声をかけられた。 「セーラー服着た写真撮らせて?」 ……からかわれてるんだ…そう思ったけど…あいつは本気だった ハッピーエンド 他サイトにも公開しています

お酒に酔って、うっかり幼馴染に告白したら

夏芽玉
BL
タイトルそのまんまのお話です。 テーマは『二行で結合』。三行目からずっとインしてます。 Twitterのお題で『お酒に酔ってうっかり告白しちゃった片想いくんの小説を書いて下さい』と出たので、勢いで書きました。 執着攻め(19大学生)×鈍感受け(20大学生)

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

溺愛極道と逃げたがりのウサギ

イワキヒロチカ
BL
完全会員制クラブでキャストとして働く湊には、忘れられない人がいた。 想い合いながら、…想っているからこそ逃げ出すしかなかった初恋の相手が。 悲しい別れから五年経ち、少しずつ悲しみも癒えてきていたある日、オーナーが客人としてクラブに連れてきた男はまさかの初恋の相手、松平竜次郎その人で……。 ※本編完結済。アフター&サイドストーリー更新中。 二人のその後の話は【極道とウサギの甘いその後+ナンバリング】、サイドストーリー的なものは【タイトル(メインになるキャラ)】で表記しています。

有能社長秘書のマンションでテレワークすることになった平社員の俺

高菜あやめ
BL
【マイペース美形社長秘書×平凡新人営業マン】会社の方針で社員全員リモートワークを義務付けられたが、中途入社二年目の営業・野宮は困っていた。なぜならアパートのインターネットは遅すぎて仕事にならないから。なんとか出社を許可して欲しいと上司に直談判したら、社長の呼び出しをくらってしまい、なりゆきで社長秘書・入江のマンションに居候することに。少し冷たそうでマイペースな入江と、ちょっとビビりな野宮はうまく同居できるだろうか? のんびりほのぼのテレワークしてるリーマンのラブコメディです

幼馴染は僕を選ばない。

佳乃
BL
ずっと続くと思っていた〈腐れ縁〉は〈腐った縁〉だった。 僕は好きだったのに、ずっと一緒にいられると思っていたのに。 僕がいた場所は僕じゃ無い誰かの場所となり、繋がっていると思っていた縁は腐り果てて切れてしまった。 好きだった。 好きだった。 好きだった。 離れることで断ち切った縁。 気付いた時に断ち切られていた縁。 辛いのは、苦しいのは彼なのか、僕なのか…。

処理中です...