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後編
しおりを挟むそして翌日。僕はこの街での仕事を終わらせるために宿を出る。
クルトは縛ったまま、今度は赤い半透明のスライムで遊んでもらっている。早く帰ってその効果を見たい。――だから、さっさと終わらせてしまおう。
依頼主に魔道具を渡す。色々使用上の注意などを伝えて、宿屋に戻ろうとしたら食事に誘われた。それを丁重に断って、僕は急いで宿屋に戻る。
借りている部屋には誰も入れないようにしてるし、クルトの声が漏れることもないだろう。部屋の扉を開けて中を覗き込む。クルトがぐったりとしていることがわかった。早めに戻って来たつもりだが、昨日の今日で感度が増しているのだろうか。
「ただいま、クルト」
涙を流している目尻を指で拭うと、クルトは薄っすらと意識を取り戻して僕を見る。僕を見るなり、きっと眼光を尖らせるのだから本当に堪らない。こういう人を堕とすのが楽しいというのに。
「なんの、つもりだ……!」
「言ったでしょう。気持ちよくしたいんだって」
にこやかに告げると、彼はすごく嫌そうに僕を見る。……涙で濡れた瞳で見られて、煽っているんじゃないかな? と思えるくらいだ。赤いスライムはべったりと彼にくっついて、そこら中を愛撫していた。
「そんなこと、頼んでなッ……!」
確かに頼まれてはいませんけどね。薬の効果はすっかり抜けているであろうクルトに、スライムの愛撫はもどかしいばかりだったかもしれない。
薬の効果は約一日。あの原液でも一日くらいで抜けると言うのは、クルトの耐性が強いのか……? まぁ、他の人に使ったことないからわからないけど。
「僕が居ない間、スライムはイイ子にしてましたか?」
「ッ、触んなっ!」
スライムの乗っていない乳首をピンと弾く。一応カップも取り外しておいたけど、陥没乳首だった彼の乳首は昨日から顔を出したままだ。これって刺激がなくなると戻っちゃうのかな? それをまた吸い出すのも楽しそう。
僕がそんなことを考えていると、クルトは僕を睨みつける。昨日は薬でトンじゃったかと思ったけど、僕が思った以上に彼の理性は強いようだ。
「ねえ、昨日からずっと躰を弄られていますけど、気持ちいいですか?」
「――きもちわりぃよ」
「あはっ。じゃあ、今日は、正気のあなたをたっぷりと可愛がってあげますね」
スライムを試験管に戻す。赤色のスライムは、焦らし用だ。決してイかせない緩やかな愛撫しかしない。スライムがにゅるにゅると動くことに、クルトの躰が震えた。……昨日からの快楽で敏感になっているのだろう。
「昨日が初めてでしたか?」
クルトは何も答えない。答える気はなさそうなので、勝手に遊ぶことにした。人差し指の腹で乳首を優しく撫でる。唇を噛み締めて決して声を出そうとしない彼に、僕は小さく笑った。
媚薬を使われたとはいえ、昨日あんなに乱れていたのに。
「声、我慢するほうがきついでしょうに」
僕の声を拒絶するようにクルトは唇を噛み締めたまま顔を背ける。まぁ、出来る抵抗と言えばそれくらいしかないだろう。しかし、彼はわかっていない。そういう態度を取られると、ものすごくイジメたくなるってことを……。
僕は彼の乳首を優しく撫でながら、もう片方はぺろりと舐めてから甘噛みした。じわりじわりと快感を引き出していく。……スライムに遊んでもらっていたから、ペニスはすっかりと勃起してるけど。
「昨日は乳首だけでイけましたけど、媚薬の効果でしたかね?」
ちろちろと舌先で乳首を舐めつつ、もう片方をぐにぐにと押し潰すように指で刺激を与える。きゅっと摘まむと「んっ」と堪え切れない喘ぎ声が聞こえた。やっぱり声は聞こえるほうが好みだな。
耐え喘ぎがどの段階で甘い声に変わるのか。傭兵の仕事をしているだけあって、クルトは薬の耐性や快感の耐え方を知っているようだった。……とはいえ、自分がこういう風にされるなんて思ってもいなかっただろうけどね。なぞるように乳輪を舐めてみると、クルトの躰が震える。
――さて、媚薬が抜けた今日、クルトはどれくらい耐えられる?
僕は恍惚とした表情を浮かべる。魔術師になって良かったと思えるのはこう言う時だ。力では絶対に負けてしまう相手を、魔術や魔道具を使えば襲えるのだから。
「ふふ」
「なに、が、おかしい……ッ」
「あなたの顔が快楽に染まっていくのを、この目で見られることが嬉しくて」
クルトは僕の言葉に目を瞠る。そして、僕の顔をすごくイヤそうに見た。良いね、その表情。嫌悪感と隠し切れない恐怖心に染まった目を見て、僕はにっこりと微笑みかける。
「昨日のカップも良いけれど、今日はこっちにしましょうか」
並べておいた魔道具のひとつを取り出してクルトに見せる。クリップ型のローターだ。これも作りが簡単だから作りやすい部類だ。むしろ、こういうシンプルな作りだからこそ自分の想像力が試されるというもの。
「ひっ、やめろっ」
「可愛い声で啼いて下さいね」
敏感になっている乳首にクリップを挟む。一応こういう行為に使うものだから、傷がつかないように柔らかい素材のモノを使用している。痛みよりも快感を。そういう目的のモノだしね。
魔力を流すとクリップが乳首にローションを垂らしてから振動を始める。冷たいローションの感触に、クルトは息を飲んだ。それから乳首を弱い振動で快感を引き出していく。もどかしいのか腰が揺れていた。
「気持ちいいですか? これ、僕が最近作ったヤツなんですけど」
「……ッ、ぁ、ぅ……」
とても弱い振動だけど、快感を積み重ねたクルトは苦しそうだ。もうちょっと振動を強くしてあげると、面白いくらいにクルトの躰が跳ねた。感じているのだろう。ビクビクと躰を震わせる彼は快感に耐えていて、その表情はぎゅっと目を閉じて唇を噛み締めていた。そんなに声を出すのがイヤなのかな?
――でも、そんなにイヤがっていると、声を出させたくなる不思議。
「そんなに喘ぎ声を出すのがイヤなんですか?」
振動を弱くして尋ねると、クルトは怒りに満ちた表情で僕を見る。理性が残っているとこんなに表情が違うのか。クルトにとってはどちらがマシなのだろう。媚薬を使われるのと、今の状況と。
「でも、そういう態度って逆に煽るだけって気付いてます?」
にっこりと微笑みを浮かべてみせる。クルトはそんな僕を見て、一言だけ呟いた。
「――気が狂ってる……」
「……ふふ、面白いことを言うんですね。まぁ、どうせだから気を狂わせるくらいの快楽をあなたに味わってもらいましょう」
そう言って今度は試験管から青色のスライムを出す。青色のスライムは乳首の刺激でひくひくと収縮を繰り返すアナルへと一直線に向かっていく。それぞれの用途に合わせてスライムは作ってあるから、色々遊べて楽しい。
この青色のスライムは前立腺を刺激していくために作ったものだ。身を捩ろうが叫ぼうが前立腺ばかりを刺激して最終的には後ろの刺激だけで精液を吐き出すか、ドライで出さずにイくかの躰にさせてしまう。
――……僕が利用するのは初めてだけど。こういうのを好む顧客が多いのだ。僕も大量にお金や宝石を報酬として頂くので、気合が入る部類の仕事だ。ちなみに一番気合が入らないのは、人を痛めつける系の道具を作る時。快楽あっての玩具だろう。
「んっ、ぁ、やめ、ろ……動くな……ッ!」
「あはは、無駄ですよ。スライムは僕の命令通りに動くだけですから」
そういう目的で作ったスライムなんだし。人の乱れる姿を見るのは好きだ。それが自分の好みならばなおさら。
ぺろりと唇を舐める。触れられていないペニスに手を伸ばして、弱く扱くとクルトの躰が跳ねた。
そして、先端の窪みを爪でグリグリと刺激して囁くように声を出す。
「知ってます? こっちからでも前立腺って刺激できるんですよ」
僕の言葉にクルトの顔が青ざめる。僕がスライムに魔力を流すと、アナルに入りきれていないスライムが分裂してクルトのペニスを覆う。そして、一部を細くするとにゅるにゅるとクルトの尿道へ入っていく。
「ぃや、だ……ッ!」
「痛くはないでしょう? 一応、そこら辺も計算して作っているし」
「違和感がすげぇんだよッ!」
元気が良いなぁと乳首のクリップに魔力を込めて振動を強くした。「ひぁ!」と短い悲鳴が聞こえた。
このスライムが与えるのは快感だけだ。尿道を通る時には痛みのないように細すぎず太すぎずになるようにしているし……。まぁ、本当に痛くないのかはわからないけれど。
「んぁっ!」
「あ、どっちも前立腺に当たりましたね」
前と後ろから前立腺を責められてクルトの声が上がった。流石の彼も両方からの愛撫はきついのか、だんだんと虚ろな目になっていく。
「どうです? 乳首をクリップで挟まれて前と後ろから前立腺を刺激されるのは」
「……ッ、ぅ、……ァ……」
「喘ぎ声を出すまいとするその姿も、そそりますね……」
じゃあもっと可愛がってあげましょう。スライムに魔力をさらに入れる。膨らんでいくスライムに恐怖するように身を強張らせるクルトの頬を優しく撫でた。クルトの目は快楽からか、それとも恐怖からか潤んでいて苦しそうに表情をゆがめていた。
両方から前立腺を刺激されるのも、乳首の振動もわけのわからない快感が躰を巡って苦しいのだろう。
今日はイかせるくらいの刺激を与えてはいないから、余計に。
「……んんっ」
スライムに前立腺を刺激されてクルトの口から堪え切れずに出る喘ぎ声。もっと聞きたくて彼の躰の至る所を触る。触れられた場所からも快感が生まれるのか、クルトはイヤイヤするように身を捩った。昨日から縛っているからそろそろ解いてあげないと。
「……うーん、一回イっときます?」
パンパンに張り詰めた彼のペニスを見てそう問うが、返事はなかった。どうやら聞こえていないようだ。スライムで気持ち良くなって意識が飛び始めたかな?
喘ぎ声もだんだんと大きくなってきているし。――やっぱり理性があるほうが堕とす楽しみが強い気がする。
「ァっ、あぁぁああああッ」
高い声を出してクルトがイった。よく耐えていたなぁと思う。スライムが入っているから、精液はスライムが飲み込んじゃったけど。休む暇など与えずに快感を与えるスライムと乳首クリップ。とろんとした表情を浮かべ始めたクルトに、僕は薄く笑みを浮かべた。
「ァっ、ん、イヤだ……もう、やめ……」
「何を言っているんですか。今からが本番ですよ?」
彼の拘束を解いて、スライムと乳首のクリップを外してみた。彼は荒い息を整えながら僕を見上げる。
「肌に傷はついていないようですね、良かった」
「……何がしたいんだ、お前……」
「んー……、あなたみたいな人がよがる姿が見たい、だけなんですよねぇ」
力の入らないクルトの足を自分の肩に乗せて、硬くなったペニスをアナルにぴったりとくっつける。クルトのアナルは刺激を求めるようにくぱくぱと僕を誘っている。
「……ッ」
クルトが息を飲むのがわかった。ぐっとナカへと挿れると、僕のペニスをきゅうと締め付けて離さない。スライムで柔らかくなったとはいえ、やはり狭い。でも熱くて気持ちいい。
「どうせ僕しか聞いていないんですから、乱れてくださいな」
「ひっ、ぁ、ぁあっ」
いやだいやだと手足をばたつかせる。結構体力が残っているみたいだ。とはいえ、手足の拘束を解いたところでもうクルトは僕を引き剥がすことは出来なそうだ。前立腺を掠めてあげると面白いように躰が跳ねた。表情もだんだんと蕩けてしまうのがわかる。
腰を掴んで奥を激しく突けば「あっあっあっ」と短い喘ぎ声が聞こえる。感じていることがわかる、甘い声。
「ほら、もっと声が出せるでしょう?」
ペニスに手を伸ばして扱いてやればクルトは首を振った。そして弱々しくシーツを掴んで「ぃや、だ……!」と一言だけ自分の意思を僕に伝える。こういうことがされるのがイヤなのか、はたまた快感を感じすぎるのがイヤなのか――あ、どっちも同じか。
「あっぱれな精神力ですねぇ……」
ぐりぐりと先端を刺激して、奥を突いてみるとクルトはきつく目を閉じて決して僕を見ようとはしなかった。彼の抵抗は本当に素晴らしい。昨日、媚薬を使ったとはいえ、強請るようなことはなかったし。そういう精神の持ち主って本当に尊敬できる。
――今まで僕が犯してきた人たちは、割と早く堕ちてしまったし。
「……ッ、ぅ、ぁ、ん……」
「堕ちる寸前ってわけでもなさそうですし、でも、気持ちは良さそうですねぇ……」
ガンガンと奥を突いてあげるとクルトはまた唇を噛み締めてしまった。そんなに声を出すのがイヤなのか。それはそれでそそるから良いけれど。
後で回復しておかないとな、とぼんやり思いつつ彼の奥を味わうように緩やかな動きに変える。ナカは僕から精液を絞り出すように動いているからとても気持ちいい。自分でも気付いているのだろうけど、それを否定したいから必死に耐えているのだろう。
「ま、どっちでもいいんですけどね」
「ぅあっ、や、め、……ッ、ぁぁあっ」
たっぷりと可愛がってあげよう。どうせこの仕事が終われば彼と会うことはなくなるのだろうし。追い込むようにペニスを扱いてあげると、快感を拾ってビクビクと躰が跳ねるクルト。絶頂が近いのだろう。噛み締めていた唇からは血が滲んでいた。僕もそろそろ出したいし、折角だから一緒にイこうかと動きを激しくした。
「――ッ」
「ぁ、ぁあ、ぃ、ぁああッ」
流石に堪えきれなかったのか、一段と甘い嬌声がクルトの口から出た。ナカへ出して、クルトも無事にイったようだ。虚ろな目で僕を見て――……くたりと動かなくなった。どうやら気を失ってしまったらしい。
もうちょっと付き合って欲しかったけど、まぁ仕方ない。
桃色のスライムを試験管から出して、彼に掛ける。体力や傷を回復するスライムだ。ついでにナカに出した僕の精液もスライムに取ってもらう。
「どうも、ごちそうさまでした」
――やはり、こういう人の精気を食べるのが一番美味しい気がする。魔道具も色々試せたし、スライムも全種試せた。中々好みの躰だったし、感じている声も可愛かった。堕ちるところも見てみたい気がしたけど、彼の精神力じゃ多分落ちないんだろうなぁ。そこら辺も新鮮だった。
体力回復したら復讐されるかな? そうならないように、少し魔術を掛けておこう。
それから数時間後、クルトは目を覚ました。
ベッドから起き上がって、自分の躰が回復していることに驚いていたようだが、僕を見るなり怒った表情をして声を上げる。
「なんのつもりだてめぇ……!」
「なにがですか?」
にっこりと微笑んで首を傾げる。クルトは僕のそんな様子にひくっと口元を引きつらせた。
「ああ、僕に近付かないほうが良いですよ」
「ぁあ?」
怒りに満ちて僕の声は届いていないのかな、もしかして。ちなみに服はスライムが溶かしたので彼に似合いそうな服を買って着せてある。意識のない人に服を着せるのも中々大変だった。
「一応、躰は全回復してあります。普段より調子が良いと思いますよ」
「そうかい、そりゃありがとうよ」
苛立ったようにベッドから降りて自分の荷物を確認し、ナイフを取り出すと僕に向ける。……まぁ、こうなるだろうとは思っていたから驚きもないけど。
「もう一度言います。僕に近付かないほうが良いですよ?」
――忠告をもう一度したけれど、怒りに身を任せている彼には届かなかったようだ。僕を傷つけようとナイフを持って勢いよく近付いてくる。殺す気はないようで殺気は感じなかった。少し、意外。
もう少しで僕の顔にナイフが当たる、というところでクルトの手は止まった。そして、そのままナイフを床に落として蹲った。
「二度も忠告したのに」
「……な、んだ、コレ……!?」
「殺される可能性も考慮して、僕に一メートルくらい近付いたら発動するように魔術を掛けていました。強制的に欲情する魔術を。ついでに感度も上げてあるので、服が擦れるだけでも気持ち良くなるんじゃないかなぁ?」
荒い息をして自分を抱きしめるように腕を組み、潤んだ瞳を僕に見せてくるクルト。その瞳からは戸惑いと怒り、それと少しの悲しさを見つけて驚いた。
――傭兵でも、こんなに人を信じられるとは。
「ちなみにそれ、三日間くらいは続く魔術なので、自分で処理するなり人を頼るなりお好きにどうぞ?」
「悪魔か、てめぇは……!」
僕はにこりと微笑みを浮かべて、クルトの頬にそっと手を添えた。それだけでもクルトはビクンと躰を跳ねさせた。ちょっときつく掛けすぎちゃったかな? とは内心だけで思って、指で唇に触れる。
「――もちろん、僕が相手をしてもいいんですけれど、どうしましょうか?」
クルトに選ばせる。
彼は迷ったように視線を彷徨わせた。自分でしても、あの狂おしい快感は体験できないだろう。一度快楽を教え込まれた人間が、それで満足するとは思えなかった。だから、選ばせる。彼の答えによっては僕は美味しい思いが出来るし、彼の精気を再び喰える。
――彼がイヤそうに表情を歪めながらも選んだ結果に、僕は出来るだけ優しく微笑みかけた。
快楽の虜になれたのなら、楽になれるでしょう?
―Fin―
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