あなたを愛するのは当然のこと。


「ぼくとけっこんしてください」
「えーっと、男同士では結婚出来ないんですよ、レオン殿下」

 彼と初めて出会ったのは、僕が五歳の頃。四歳の頃に父上が僕の話し相手にと連れてきた、男爵家の嫡男、フィン。一年間、僕の相手をしてくれたフィンに、お礼を兼ねて真っ赤なバラを百八本用意してプロポーズをした。
 ……あっさりと断られてしまったけれど。
 ならばと父上に掛け合って同性婚を認めさせる法律を作った。僕としては一年以内にそれを敷きたかったが、なんやかんやで五年も掛かってしまった。

「これで結婚出来ます! 僕と結婚してください!」
「お互い未成年でしょう? 未成年は結婚出来ないんですよ」

 ガーン、とショックを受けた。その時、フィンは十五歳、僕は十歳。あと五年もすればフィンは結婚出来る年齢になる。対して僕はあと十年も掛かる。僕はフィンにこう尋ねた。

「いつなら結婚出来ますか……?」

 あまりにも弱々しい声が出た。フィンは困ったように眉を下げて、「そうですねぇ」と言葉を紡ぐ。

「殿下が成人して、その気持ちに変わりがなければ考えますね」

 僕は、その言葉を聞いて絶対にフィンをお嫁さんにしようと誓った。
 そしてそれから十年――……十年の間にフィンの家は没落してしまい、フィンは辺境地で新しい生活を始めていた。
 まるで僕から逃げるように。――そんなことないよね、フィンは、僕を待っていてくれているよね?
 ――フィン、今からあなたを迎えに行きます。そして――恋焦がれた時間の分、たっぷり愛させてね。

固定CP:レオン×フィンです。

※ムーンライトノベルズ様にも投稿しています。
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