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2章:1週間、ルードと一緒です!
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しおりを挟む「今日はじいやたちが差し入れてくれたもので食事にしよう」
「あ、はいっ。えっと、明日からはどうしましょうか」
「そうだな、明日の朝は私が用意しよう。昼はどこかで食べるにして、夜はどうする? ヒビキが作るか?」
「良いんですか!?」
ぱっとおれが表情を明るくすると、ルードは「もちろん」とうなずいてくれた。やった、じゃあ明日は日本食にしよう! そうなると必要な分を買わないといけないよな。買い物をするのも初めてだからドキドキしてきた!
「ヒビキの故郷の味が私も気になるからな」
「口に合えばいいんですけれど……」
姉に鍛えられたおかげで一通りの家事はそれなりに出来る。とはいえ、こっちとあっちじゃやっぱり色々違うだろうから、まずは食材探しからしないとな。ちなみにじいやさんたちが差し入れてくれたのは食べやすいようにとスティックサラダとサンドウィッチだった。もちろん美味しく頂いた。
「風呂の準備をしてくる」
「あ、あのっ。準備の仕方、教えてもらっても良いですか?」
ルードは目を瞬かせたが、すぐにふっと表情を和らげて「ついてきなさい」と風呂場へ向かう。それにしても、ルードって貴族だよな、なんで風呂の準備の仕方知っているんだ……?
「生活魔法が使えれば誰でも用意できるからな」
そう言って水を浴槽に入れて温める。ほぼ一瞬で風呂の準備が出来て驚いた。
「一緒に入ろうか、ヒビキ」
「……絶対狭いですよ?」
「それが良いのではないか」
うん、ともいや、とも言う前にお風呂場へ引っ張り込まれる。あの日、おれが懇願してからお風呂場での行為はなくなったけれど、傍にいるだけでドキドキして落ち着かない。素肌と素肌が触れ合うのって気持ちいいけれど、こうもそわそわした気持ちになるんだな、と頭の片隅で思った。
屋敷のお風呂よりは狭いけど、ふたりで入るにはぴったりの大きさで、頭と躰を洗い明日からのことを色々話しながら湯船につかる。
「不安があるか?」
「ない、とは言い切れないですね。屋敷を離れるのは初めてですし。でも、それよりもルードと一緒にいられることのほうが嬉しくて」
ぎゅっと背後からルードがおれを抱きしめた。お湯がぴちゃんと跳ねる。
「ヒビキ」
名前を甘く呼ばれて振り返る。優しく唇が重なった。ちゅっと軽いリップ音を立てて唇が離れていく。キスは出かける前にもたくさんしたのに、自然と唇を目で追ってしまうのはなぜだろう。
「……ルード」
もっと、とねだると「続きはベッドで」と彼は片目を閉じた。その様も格好良くて鼓動が早くなる。お風呂から上がって生活魔法で躰や髪を乾かし、ルードに抱き上げられ寝室へ。屋敷のベッドがキングサイズだとしたら、こっちのベッドはダブルサイズくらいだろうか。そこにおれを下ろして座らせる。
隣にルードも座って、おれの頭を撫でる。撫でる感触が気持ち良くて自然とすり寄るように近付く。頭を撫でていた手がするりと後頭部へ。手は髪から耳をくすぐるように触れて、ぴくっとおれの躰が動いた。
「目を閉じて、ヒビキ」
耳元で囁かれて、そっと瞼を下ろす。見えないけれど怖くはない。耳たぶを軽く唇で食まれて、舌で舐められる。ぴちゃぴちゃと水音が響くのを聞いて躰が熱くなってきた。
耳元から唇が離れて、それから額に、頬に、鼻先にとキスが下がっていく。最後に唇へ辿り着いて下唇を柔らかく食む感触がした。口を少し開けると舌が入ってくる。熱い舌に翻弄されるのはいつものことだけど、おれだってルードを気持ちよくしたいという気持ちはある。
舌を絡めて吸ったり甘噛みしたりとルードのキスを手本に真似してみる。そのことに気付いているのか、ルードはおれのしたいようにさせてくれていた。ただ、やっぱり――……。
「ふ、ぁ、はっ……」
息が続かない。鼻で息をするのも、キスの合間に息をするのも難しい……! そんなおれの様子を見て、ルードはもう一度唇を重ねた。息苦しくならないように、気を付けてくれているのがわかる。躰の力が抜けていって、くたりと彼に身を預ける。息を整えて目を開ける。薄暗い部屋の中、月の光だけが部屋を照らしていた。
「……ルード?」
いつもならこのまま行為に発展するけれど、ルードはなにかを考えるように口元に手を当てて、それからニヤリと口角を上げた。なぜだろう、そういう表情を浮かべる時、絶対になにか、企んでいるような気がするのは。
「折角一週間時間があるのだから……」
「あるのだから?」
「ドライを覚えようか、ヒビキ」
ドライ? と首を傾げる。多分、エッチなことだとは思うけど、なんのことだ?
ルードはナイトテーブルからローションと、見たことのない物を取り出した。なんだこれ?
「射精しないイき方があるのは知っているかい?」
「イくときは普通、出ますよね……?」
「うん、普通はね。でも、前立腺の刺激で出さなくてもイけるらしい。これはそれを覚えるための道具。とても気持ち良いと聞いたから、ヒビキにも体験してもらおうかと思ってね」
射精しないでイく? それを覚える道具? それはつまり、そのよくわからない形をしたものをおれの中に挿れるってこと? おれの表情から困惑を読み取っているのか、とん、と肩を押されてベッドに横たわる。
「そもそも誰にそんなことを聞いて……?」
「知り合い」
ルードの知り合いって誰だろう……。とりあえず、ルードは一旦それをベッドの隅に置いておれへの愛撫を始めた。おれの躰はやっぱり快感に弱くて、すぐに思考が蕩ける。首筋を舐められたり、鎖骨に甘噛みされるだけでじわじわと下半身に熱が集まる。触れてもいないのに乳首が硬くなっているのもわかる。
それを愛しそうにじっくりと愛撫されて、腰が勝手に揺れてしまう。
ルードの舌が乳首を舐めた。もう片方の乳首は指でくりくりと摘まみながら捏ねられる。
「ふっ、ぁぁッ」
手の甲を口に当ててなんとか嬌声を抑えようとする。快感は全身を巡っていって、どうにかなりそうだ。そのうち乳首だけでイくかもしれない……。
「私しかいないのだから、声を我慢しなくて良いのだぞ」
「だ、って、ぁぁあっ」
理性が声を上げることを抑えている。いやだっていくら恋人とは言え喘ぎ声を聞かれるのはそれなりに抵抗がある。萎えないか心配にもなるし。そんなおれの葛藤を知ってから知らずか、乳首を弄る手は止めずに下へと手を伸ばして先端に触れる。
「んぅ!」
「ああ、もうこんなに溢れて……」
嬉しそうに言うのやめませんかね!?
トロトロと先走りがルードの手を濡らしていく。そして、なにを思ったのかルードはおれの足を大きく開いて股間に顔を埋めた。
「ルード!?」
「ふふ、愛らしいな、ヒビキのココは」
吐息が触れるくらいの近さで、そこからの動きはスローモーションに見えた。チュッと軽いリップ音を立てて先端にキスをすると、あろうことかおれのを咥えたのだ!
慌てて起き上がろうとしたけど、それを咎めるようにじゅっと吸われてベッドに舞い戻る。丹念に舐められて躰が魚のように跳ねる。なんとか声だけは抑えようと両手で口を塞ぐ。
じゅぷじゅぷとわざとらしく水音を立てるルード。舌を器用に使って、裏筋とか先端の窪みをチロチロと舐められる。目の前がチカチカとして限界が近い。そのことに気付いたルードが一層強く吸った。
「や、だめ、出る……ッ!」
ルードの髪を引っ張って口を離してと訴えるも、彼はそのまま口での愛撫をやめなかった。まるでこのまま出しなさい、と言うように視線が合う。
「ひゃ、ぁ、ぁあああッ!」
ルードの口の中に果ててしまった……。イくことで躰の力が抜けていく。でも、それよりもおれの出したものを吐いてもらおうと慌てて起き上がる。が、ルードはおれの目の前でこくりと喉を鳴らして飲み込んだ。
「なっ、な、の……!?」
唇についたもの一滴すら残さず、見せつけるかのように飲まれておれはもうどうしたら良いのかわからない。それは飲むものじゃない!! と大声で叫びたい。ルードはおれがおろおろしていることに首を傾げた。
「別に構わないだろう?」
「いやだって、飲んで美味しいものではないでしょう!?」
むしろ不味いだろ!? おれの慌てっぷりにルードはくすくすと笑う。笑い事じゃない、絶対笑い事じゃない……!
「恋人を気持ちよくさせた証拠だ。もっと気持ちよくしてあげるから、横になりなさい」
「わ、ちょ、ルード!」
心底楽しそうにそういうルード。おれを押し倒してからローションを垂らし蕾に指を当て、今から挿れますよ、とばかりに蕾の周りを撫でる。きゅんと蕾が動くのがわかった。昨日もしたのに、おれらの性欲はどうなっているんだ……!
つぷり、と指が一本挿れられた。それと同時におれのモノを扱くルード。前と後ろ、どっちも愛撫されて一度イったことでクリアになった思考がまた崩れていく。
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