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1章:十八禁BLゲームの中に迷い込みました!
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「え……?」
ふかふかのベッドの上、押し倒されているおれと、上に跨っているルード。
なにこの状況!? 誰か説明して!?
「この服はどうやって脱がせば良い?」
「なんで脱がそうとするんですか!?」
学ランの構造を知らないらしく、おれの服に手を掛けたはいいが、脱がし方がわからないようで手が止まる。
「――なぜだと思う?」
質問を質問で返すな! って言われたことないのかこの人!
とてつもなくイヤな予感がするのは気のせいじゃない。そうだった、美味しい食事ですっかり頭から抜けていた。ここ十八禁BLゲームの中だった――!!!!!!
「わ、わかりませんっ」
ともかくなんとかこの状況を抜け出そうと試みる。考えろおれ。考えろ、どうやったらこの状況から抜け出せる?
「お前を愛するためだよ、ヒビキ」
「――は?」
おれの耳は、今とんでもないことを拾っていないか? 思ってもなかった言葉に身体が硬直した。ルードは学ランのホックを外して、「ああ、こうなっているのか」と呟いていた。
愛する? いやいやいやいや、ちょっと待って。おれたち出会ってから一時間も経ってないと思いますが!? え、そもそもこれ告白なの? え? 頭の中が混乱している。いつの間にかワイシャツのボタンまで外されていた。
「ちょ、ちょっとまって! ください!」
「どうした?」
「いやもう混乱しかないんですけど、おれたち出会ってから一時間も経ってないですよね!?」
「……そうだな。だが、私には些細なことだ」
その間はなにを意味するんだ!?
そして、おれにとっては全然些細じゃない!
するりと脇腹を撫でられてびくりと身体が跳ねた。だからちょっと待って……!
「だ、だっておれ汗臭いしっ、経験ないしっ、絶対無理!」
「――経験が、ない?」
「あたりまえでしょう!」
日本でのんびり暮らしていたおれに、そういう経験があると思うか!? いや待て、おれ。勢いに任せて変なことまで口走ってる! どうせ彼女いない歴=年齢だけどさ。身長も体重も容姿も平凡の平凡をいってるおれだ。モテたことなんか一度もない!
……ちょっと悲しくなってきた。
「……ならば温情を与えよう」
ベッドサイドに置いてある鈴をちりんと鳴らすと、すぐに誰かがが部屋の扉をノックした。中へは入ってこないようだ。
「湯浴みの用意を」
「かしこまりました。すぐにご用意します」
「私が洗ってやろう。躰の隅々を」
「じ、自分で洗えます……!」
「私が洗うと言っているのだ。光栄に思え」
ルードはおれの腕を掴んでぐいっと引っ張ると、そのまま横抱きにして部屋を出て行く。……どこに向かっているのかはわかる。浴室だろう。だけど、さっきの今ですぐに用意できるものなのか……?
脱衣所に着いて、ルードはおれを降ろすと脱衣所の鍵を掛けた。なんで鍵が掛かるようになっているんですかね!? 彼はおれの服を脱がせる。学ランの上着を剥いで、ワイシャツを剥いで、ベルトを引き抜いてズボンを脱がせて、靴下も脱がせて。最後の一枚のパンツをこれまたゆっくり脱がせて……。し、視姦を受けている……!
ルードも服を脱いで、ひとつに纏めていた髪を解く。はらりと彼の長い髪が落ちてきて、思わず息を飲む。……やっぱり格好いいんだよなぁ。
全身にはいくつもの傷跡が残っていて、姉の『ルードは聖騎士団に所属していてね、危険な任務もあるから全身に傷が残ってるの』っていう言葉を思い出した。
そして視線を下げると――彼のモノが見える。勃ってない状況でもデカイ……! これが勃ったらどんだけデカイんだ……!?
ルードに手を引かれて浴室へと踏み込む。広い。おれん家の二倍か三倍はある……!
「頭を洗ってあげよう。座りなさい、ヒビキ」
ルードは楽しそうにシャワーを片手におれを椅子に座らせる。それからすぐにシャワーを頭から浴びせられたのでおれは慌てて目を閉じた。
いい香りのするなにかでおれの頭を泡立てる。シャンプーか。
ルードの手つきは優しくて、まるでガラス細工を扱うように慎重だった。それが心地よくてまた睡魔が襲ってきたが、そんな至福の時間はあっさりと終わった。それでも二回くらいシャンプーしてくれて、トリートメントまでつけてくれた。
濡れタオルでおれの髪を包み込んで、浸透するまで待つようにと伝えられる。おれはその間に、ルードの髪を洗ってみたいと申し出てみた。彼は快く了承してくれたので、さっそく場所を交換して彼の頭を洗う。
正直背後にルードが居るとハラハラするので、我ながらナイスアイディア。
髪を濡らして、シャンプーを手に取って泡立てて洗う。彼の髪は長いから、三回にわけて洗った。しっかしこんなに長いのになんでこんなにキレイな髪なんだろう。世の中の女性が羨ましがりそうだ。
しっかりとトリートメントもして、中々満足のいく仕上がりになった。
「……痛くありませんでしたか?」
「ちょうど良かった。また頼むかもしれない」
「髪長いと洗うの大変ですもんね」
理容室で洗髪してもらうの気持ちいいもんなー。なんてのほほんとしていると、ルードが立ち上がっておれの背後に回ってシャワーヘッドを持つ。
「目を閉じていなさい」
タオルを取って、シャワーを浴びせる。トリートメントを洗い流しているのだろう。ルードもトリートメントを洗い流していた。え、五分も経ってないよ?
そんなに短い時間でいいのか、トリートメント! そんなおれの心情も知らず、ルードは石鹸に手を伸ばして泡立てた。もこもことした泡をおれの背中に乗せて洗ってくれる。ぎゅっとおれを抱きしめるように脇の間から腕を通して、俺の前身にも泡を乗せて優しく洗う。首元からつ、となぞるように触られてゾクゾクとしたものが走った。
鎖骨を撫でられ、そのまま軽く乳首に触れる。乳輪をなぞるように撫で回す。もどかしい感覚におれは息を飲んだ。
もどかしい、ってなんだ! もどかしいって! それじゃまるで――……。
「ヒビキのココが固くなってきたの、わかるかい?」
「ァっ!」
きゅっと乳首を摘まれて、甘い痺れが走った。小さな喘ぎ声が浴室に響いて慌てて口元を両手で塞ぐ。ルードは乳首を親指と人差し指で摘んでクリクリと動かし、もう片方の乳首を人差し指でカリカリと引っ掻くように刺激する。甘い痺れがどんどんと下半身に集まって、おれのモノが緩く勃ち上がっていく。
それに気付いたルードが、おれの股間に手を伸ばして包み込むように握った。
「ゃ、そこは……!」
「ここも綺麗に洗わないとな」
そう言って上下に扱き始める。自分でやるのとは全然違う。優しく緩やかに扱かれて、やっぱりもどかしさを感じた。
「ああ、ほら、ヒビキ。先走りがこんなに溢れてきたぞ」
「ャ、ァ、ぁあっ」
楽しそうにおれのモノを弄るルードに、ふるふると頭を横に振る。そして、先端の窪みをグリグリと刺激されて過ぎた快感に目の前がチカチカした。
「ぁ、だ、め……! 出る……! ァァあああっ!」
強めの力でルードが上下に扱くと、おれは呆気なく白濁の液体を放った。彼はくたりと躰の力を抜いたおれの身体を受け止めて、それから熱い昂ぶりを尻に当ててきた。ビクリと身体が跳ねる。
するりとおれの尻を撫で回し、それから奥の蕾へと指を進める。
「ここも、綺麗に洗わないとな……?」
「ひぅ!」
背中に残っている泡でおれの尻と蕾を擦る。その感覚にゾワゾワして、また下半身が反応してしまった。それをルードが見てくすりと笑う。
「ヒビキのココは元気だ」
いい子いい子とするようにおれのモノを撫でて、それから丹念に蕾をなぞると、おれの手を壁につかせて「しっかりと足を閉じておくように」と言って、太ももの間にその昂ぶりを挿入した。そして腰を動かす。
「ひゃァっ!」
ルードが動くたびにおれのモノと擦れて、なんとも言えない快感が身体中に巡る。彼の先走りとおれが放った残りがイヤラシイ音を立てる。片手でおれの腰を支えて、片手で乳首をグリグリと捏ねくり回して、なんだか頭がぼーっとしてきた。
湯船になんて浸かってないのに、のぼせたんだろうか。
後ろのルードの吐息が熱い。彼も感じているのだと思うと不思議な気がした。
「ァ、や、また……!」
絶頂を迎えたばかりの躰に与えられた刺激は強くて、またすぐにおれのモノが反応してしまう。乳首からおれの股間に手を伸ばして、くちゅくちゅ音を立てて扱く。刺激されてあっという間に果ててしまった。ルードも出したらしく、熱いものを感じた。
「ヒビキの躰は敏感だな……」
シャワーをおれの躰に浴びせて、細かい粒に総毛立つのを見て、ルードは楽しげに呟いた。
泡と、精液を洗い流して湯船に浸かる。十分も浸からないうちに湯船から出た。脱衣所に出て、バスローブを渡される。それを着ていると、ルードもバスローブに袖を通す。
そう言えば、ドライヤーみたいなのはあるのだろうか。
「ヒビキ」
甘ったるい声でおれを呼ぶ。おれはルードに視線を向けると、彼はおれの手を取ってなにかを呟く。すると、あっさりと髪が乾いた。ルードの長い髪も一瞬で乾いていて、びっくりして目を丸くした。
「え、え!? 一瞬で乾いた!?」
「生活魔法だ」
魔法とかある世界なのか、ここ! 十八禁BLファンタジーゲームだったのか!
おれの反応が予想外だったのか、ルードはくつくつと喉で笑うとまたおれを横抱きにして脱衣所の鍵を器用に開けて寝室へと戻る。
……あれ、これまだなにかされる流れ……?
寝室まで着くと、ルードはおれを降ろして腰を抱き、扉を開けてふたり一緒に寝室に入り片手で鍵を掛けてやっぱりなにかを呟く。照明が点いて、腰を抱かれたままベッドに向かうとトン、とおれを軽く押して横たわらせた。そして、ギッと音を立ててルードもベッドへ座る。おれの頬を撫でる手つきが優しくて、彼を見つめた。
「あ、の?」
「言っただろう? 温情を与える、と。今日は挿れない。ただヒビキを気持ちよくするだけだ」
「それって、いつかは挿れるってことなのでは……?」
「当たり前だろう。ヒビキのココが私のを受け入れるようになるまでは、温情を与えよう」
するりとバスローブの中に手を入れて、蕾に触れる。おれは全身の血の気が引いていくのを感じた。
受け入れるようになるまでは……? そもそもソコは受け入れる場所じゃないよな!?
「――誰にも触られていない躰ならば、私好みの躰になってもらおう」
ニヤリ、と妖艶に目を光らせるその姿に、ゾクリとしたものが背中を走った。おれが硬直したのをいいことに、バスローブの紐を解く。そしてバスローブを剥ぐと、自分の靴を脱いでおれの躰を跨ぐ。はらりと彼の長髪がおりてきた。
「まずは、ヒビキの性感帯を探さなくてはな」
「え、ちょ……!」
額に唇を落とされて、そのまま鼻や頬にも口付けられ、耳を舐められた。ちゅくちゅくとした水音が鼓膜に響く。恥ずかしくて目を閉じると、余計に感覚が鋭くなりルードが舌を這わせる度に躰が勝手に跳ねる。
首筋から鎖骨をつ、と舌を這わせて軽いリップ音を響かせて吸う。
「さっきまで弄っていたからか、もう固くなってきているぞ」
「ァ、んんっ!」
乳首を摘まれてクリクリと左右に動かす。ソコからジワジワと甘い痺れが走る。片方の乳首がちゅうっと吸われた。尖ってきたソコを舌で丹念に舐められて、カリっと甘噛みされる。
「ひゃ、ぁあっ!」
ピンと立った乳首を、片方は爪でカリカリと引っ掻くように刺激されて、片方は舌で押しつぶすように舐められる。さっき二回も出したのに、下半身に熱が集中していくのがわかった。
「……どこもかしこも性感帯なのかもしれんな?」
ルードの愛撫に反応したおれのモノを撫でてから、なにかを取り出したようでコトンと音がした。ゆっくり目を開くと、小瓶が見えて、蓋を開ける彼の手を視線で追った。彼の手にとろりとした液体が流れていく。それを両手で温めてから、おれの蕾に塗りつける。丹念に、丁寧に、しっかりと。
「な、なに……!?」
ルードはそっと優しくおれの中心を握って上下に扱く。半勃ちだったモノが完全に勃ち上がり、先走りが彼の手を濡らす。快感が全身に巡った瞬間を狙って、つぷりと中指を蕾の中に挿れた。
「ひぁッ!」
「痛いか?」
フルフルと首を横に振る。痛くはないが、蕾に指が挿入されて違和感が強い。困惑しているおれの表情を読み取ったのか、ルードは指をさらに奥へ入れてなにかを探るように中を擦る。
中指がある一点を掠めると、おれの躰が大きく跳ねた。
「あ、ァ!? や、な……!」
「ここか……?」
その一点を確かめるように、触れたり触れなかったりを繰り返す。その場所に触れられる度に息が荒くなり、なんとも言えない感覚がおれを襲う。
「ソコ、ャダァっ」
「ここがヒビキのイイところだ。……初めてでここまで感じるとは、ヒビキの躰は愛されるために出来ているようだな」
中を広げるように大きく中指で擦り、時折ソコを押されて逃げるように腰を捩らせる。だけど、ルードはそれを許さない。口からは喘ぎ声がひっきりなしに上がり、イヤイヤするように首を横に振れば、グリグリとソコばかりを弄られる。
「や、ぁ! あぁあ、んぅッ」
「イヤではないだろう?」
中指をゆっくりと抜かれ、ゆっくりと挿入されるのを繰り返されて頭がおかしくなりそうだ。――……いや、もうなっているのかもしれない。
「ここの場所の名前がわかるか、ヒビキ?」
「し、らないっ、ぁ、ぁああっ」
「前立腺、と言うんだ。気持ち良いな?」
「ァっ、んんっ、は、ぁあんっ! き、もち、イイ……?」
「そうだ。覚えておきなさい」
オウム返しのようにルードの言葉を辿るおれに、ふっと笑みを浮かべて優しく目元を細める彼。そして、前立腺を刺激しながらおれのモノを扱いて絶頂へと導こうとする。
「ひ、ァ、ァァあああッ!」
頭の中が真っ白になって――……、ルードの手の中に果てるのと同時におれは意識を飛ばした。
ふかふかのベッドの上、押し倒されているおれと、上に跨っているルード。
なにこの状況!? 誰か説明して!?
「この服はどうやって脱がせば良い?」
「なんで脱がそうとするんですか!?」
学ランの構造を知らないらしく、おれの服に手を掛けたはいいが、脱がし方がわからないようで手が止まる。
「――なぜだと思う?」
質問を質問で返すな! って言われたことないのかこの人!
とてつもなくイヤな予感がするのは気のせいじゃない。そうだった、美味しい食事ですっかり頭から抜けていた。ここ十八禁BLゲームの中だった――!!!!!!
「わ、わかりませんっ」
ともかくなんとかこの状況を抜け出そうと試みる。考えろおれ。考えろ、どうやったらこの状況から抜け出せる?
「お前を愛するためだよ、ヒビキ」
「――は?」
おれの耳は、今とんでもないことを拾っていないか? 思ってもなかった言葉に身体が硬直した。ルードは学ランのホックを外して、「ああ、こうなっているのか」と呟いていた。
愛する? いやいやいやいや、ちょっと待って。おれたち出会ってから一時間も経ってないと思いますが!? え、そもそもこれ告白なの? え? 頭の中が混乱している。いつの間にかワイシャツのボタンまで外されていた。
「ちょ、ちょっとまって! ください!」
「どうした?」
「いやもう混乱しかないんですけど、おれたち出会ってから一時間も経ってないですよね!?」
「……そうだな。だが、私には些細なことだ」
その間はなにを意味するんだ!?
そして、おれにとっては全然些細じゃない!
するりと脇腹を撫でられてびくりと身体が跳ねた。だからちょっと待って……!
「だ、だっておれ汗臭いしっ、経験ないしっ、絶対無理!」
「――経験が、ない?」
「あたりまえでしょう!」
日本でのんびり暮らしていたおれに、そういう経験があると思うか!? いや待て、おれ。勢いに任せて変なことまで口走ってる! どうせ彼女いない歴=年齢だけどさ。身長も体重も容姿も平凡の平凡をいってるおれだ。モテたことなんか一度もない!
……ちょっと悲しくなってきた。
「……ならば温情を与えよう」
ベッドサイドに置いてある鈴をちりんと鳴らすと、すぐに誰かがが部屋の扉をノックした。中へは入ってこないようだ。
「湯浴みの用意を」
「かしこまりました。すぐにご用意します」
「私が洗ってやろう。躰の隅々を」
「じ、自分で洗えます……!」
「私が洗うと言っているのだ。光栄に思え」
ルードはおれの腕を掴んでぐいっと引っ張ると、そのまま横抱きにして部屋を出て行く。……どこに向かっているのかはわかる。浴室だろう。だけど、さっきの今ですぐに用意できるものなのか……?
脱衣所に着いて、ルードはおれを降ろすと脱衣所の鍵を掛けた。なんで鍵が掛かるようになっているんですかね!? 彼はおれの服を脱がせる。学ランの上着を剥いで、ワイシャツを剥いで、ベルトを引き抜いてズボンを脱がせて、靴下も脱がせて。最後の一枚のパンツをこれまたゆっくり脱がせて……。し、視姦を受けている……!
ルードも服を脱いで、ひとつに纏めていた髪を解く。はらりと彼の長い髪が落ちてきて、思わず息を飲む。……やっぱり格好いいんだよなぁ。
全身にはいくつもの傷跡が残っていて、姉の『ルードは聖騎士団に所属していてね、危険な任務もあるから全身に傷が残ってるの』っていう言葉を思い出した。
そして視線を下げると――彼のモノが見える。勃ってない状況でもデカイ……! これが勃ったらどんだけデカイんだ……!?
ルードに手を引かれて浴室へと踏み込む。広い。おれん家の二倍か三倍はある……!
「頭を洗ってあげよう。座りなさい、ヒビキ」
ルードは楽しそうにシャワーを片手におれを椅子に座らせる。それからすぐにシャワーを頭から浴びせられたのでおれは慌てて目を閉じた。
いい香りのするなにかでおれの頭を泡立てる。シャンプーか。
ルードの手つきは優しくて、まるでガラス細工を扱うように慎重だった。それが心地よくてまた睡魔が襲ってきたが、そんな至福の時間はあっさりと終わった。それでも二回くらいシャンプーしてくれて、トリートメントまでつけてくれた。
濡れタオルでおれの髪を包み込んで、浸透するまで待つようにと伝えられる。おれはその間に、ルードの髪を洗ってみたいと申し出てみた。彼は快く了承してくれたので、さっそく場所を交換して彼の頭を洗う。
正直背後にルードが居るとハラハラするので、我ながらナイスアイディア。
髪を濡らして、シャンプーを手に取って泡立てて洗う。彼の髪は長いから、三回にわけて洗った。しっかしこんなに長いのになんでこんなにキレイな髪なんだろう。世の中の女性が羨ましがりそうだ。
しっかりとトリートメントもして、中々満足のいく仕上がりになった。
「……痛くありませんでしたか?」
「ちょうど良かった。また頼むかもしれない」
「髪長いと洗うの大変ですもんね」
理容室で洗髪してもらうの気持ちいいもんなー。なんてのほほんとしていると、ルードが立ち上がっておれの背後に回ってシャワーヘッドを持つ。
「目を閉じていなさい」
タオルを取って、シャワーを浴びせる。トリートメントを洗い流しているのだろう。ルードもトリートメントを洗い流していた。え、五分も経ってないよ?
そんなに短い時間でいいのか、トリートメント! そんなおれの心情も知らず、ルードは石鹸に手を伸ばして泡立てた。もこもことした泡をおれの背中に乗せて洗ってくれる。ぎゅっとおれを抱きしめるように脇の間から腕を通して、俺の前身にも泡を乗せて優しく洗う。首元からつ、となぞるように触られてゾクゾクとしたものが走った。
鎖骨を撫でられ、そのまま軽く乳首に触れる。乳輪をなぞるように撫で回す。もどかしい感覚におれは息を飲んだ。
もどかしい、ってなんだ! もどかしいって! それじゃまるで――……。
「ヒビキのココが固くなってきたの、わかるかい?」
「ァっ!」
きゅっと乳首を摘まれて、甘い痺れが走った。小さな喘ぎ声が浴室に響いて慌てて口元を両手で塞ぐ。ルードは乳首を親指と人差し指で摘んでクリクリと動かし、もう片方の乳首を人差し指でカリカリと引っ掻くように刺激する。甘い痺れがどんどんと下半身に集まって、おれのモノが緩く勃ち上がっていく。
それに気付いたルードが、おれの股間に手を伸ばして包み込むように握った。
「ゃ、そこは……!」
「ここも綺麗に洗わないとな」
そう言って上下に扱き始める。自分でやるのとは全然違う。優しく緩やかに扱かれて、やっぱりもどかしさを感じた。
「ああ、ほら、ヒビキ。先走りがこんなに溢れてきたぞ」
「ャ、ァ、ぁあっ」
楽しそうにおれのモノを弄るルードに、ふるふると頭を横に振る。そして、先端の窪みをグリグリと刺激されて過ぎた快感に目の前がチカチカした。
「ぁ、だ、め……! 出る……! ァァあああっ!」
強めの力でルードが上下に扱くと、おれは呆気なく白濁の液体を放った。彼はくたりと躰の力を抜いたおれの身体を受け止めて、それから熱い昂ぶりを尻に当ててきた。ビクリと身体が跳ねる。
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「ここも、綺麗に洗わないとな……?」
「ひぅ!」
背中に残っている泡でおれの尻と蕾を擦る。その感覚にゾワゾワして、また下半身が反応してしまった。それをルードが見てくすりと笑う。
「ヒビキのココは元気だ」
いい子いい子とするようにおれのモノを撫でて、それから丹念に蕾をなぞると、おれの手を壁につかせて「しっかりと足を閉じておくように」と言って、太ももの間にその昂ぶりを挿入した。そして腰を動かす。
「ひゃァっ!」
ルードが動くたびにおれのモノと擦れて、なんとも言えない快感が身体中に巡る。彼の先走りとおれが放った残りがイヤラシイ音を立てる。片手でおれの腰を支えて、片手で乳首をグリグリと捏ねくり回して、なんだか頭がぼーっとしてきた。
湯船になんて浸かってないのに、のぼせたんだろうか。
後ろのルードの吐息が熱い。彼も感じているのだと思うと不思議な気がした。
「ァ、や、また……!」
絶頂を迎えたばかりの躰に与えられた刺激は強くて、またすぐにおれのモノが反応してしまう。乳首からおれの股間に手を伸ばして、くちゅくちゅ音を立てて扱く。刺激されてあっという間に果ててしまった。ルードも出したらしく、熱いものを感じた。
「ヒビキの躰は敏感だな……」
シャワーをおれの躰に浴びせて、細かい粒に総毛立つのを見て、ルードは楽しげに呟いた。
泡と、精液を洗い流して湯船に浸かる。十分も浸からないうちに湯船から出た。脱衣所に出て、バスローブを渡される。それを着ていると、ルードもバスローブに袖を通す。
そう言えば、ドライヤーみたいなのはあるのだろうか。
「ヒビキ」
甘ったるい声でおれを呼ぶ。おれはルードに視線を向けると、彼はおれの手を取ってなにかを呟く。すると、あっさりと髪が乾いた。ルードの長い髪も一瞬で乾いていて、びっくりして目を丸くした。
「え、え!? 一瞬で乾いた!?」
「生活魔法だ」
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「あ、の?」
「言っただろう? 温情を与える、と。今日は挿れない。ただヒビキを気持ちよくするだけだ」
「それって、いつかは挿れるってことなのでは……?」
「当たり前だろう。ヒビキのココが私のを受け入れるようになるまでは、温情を与えよう」
するりとバスローブの中に手を入れて、蕾に触れる。おれは全身の血の気が引いていくのを感じた。
受け入れるようになるまでは……? そもそもソコは受け入れる場所じゃないよな!?
「――誰にも触られていない躰ならば、私好みの躰になってもらおう」
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「まずは、ヒビキの性感帯を探さなくてはな」
「え、ちょ……!」
額に唇を落とされて、そのまま鼻や頬にも口付けられ、耳を舐められた。ちゅくちゅくとした水音が鼓膜に響く。恥ずかしくて目を閉じると、余計に感覚が鋭くなりルードが舌を這わせる度に躰が勝手に跳ねる。
首筋から鎖骨をつ、と舌を這わせて軽いリップ音を響かせて吸う。
「さっきまで弄っていたからか、もう固くなってきているぞ」
「ァ、んんっ!」
乳首を摘まれてクリクリと左右に動かす。ソコからジワジワと甘い痺れが走る。片方の乳首がちゅうっと吸われた。尖ってきたソコを舌で丹念に舐められて、カリっと甘噛みされる。
「ひゃ、ぁあっ!」
ピンと立った乳首を、片方は爪でカリカリと引っ掻くように刺激されて、片方は舌で押しつぶすように舐められる。さっき二回も出したのに、下半身に熱が集中していくのがわかった。
「……どこもかしこも性感帯なのかもしれんな?」
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「な、なに……!?」
ルードはそっと優しくおれの中心を握って上下に扱く。半勃ちだったモノが完全に勃ち上がり、先走りが彼の手を濡らす。快感が全身に巡った瞬間を狙って、つぷりと中指を蕾の中に挿れた。
「ひぁッ!」
「痛いか?」
フルフルと首を横に振る。痛くはないが、蕾に指が挿入されて違和感が強い。困惑しているおれの表情を読み取ったのか、ルードは指をさらに奥へ入れてなにかを探るように中を擦る。
中指がある一点を掠めると、おれの躰が大きく跳ねた。
「あ、ァ!? や、な……!」
「ここか……?」
その一点を確かめるように、触れたり触れなかったりを繰り返す。その場所に触れられる度に息が荒くなり、なんとも言えない感覚がおれを襲う。
「ソコ、ャダァっ」
「ここがヒビキのイイところだ。……初めてでここまで感じるとは、ヒビキの躰は愛されるために出来ているようだな」
中を広げるように大きく中指で擦り、時折ソコを押されて逃げるように腰を捩らせる。だけど、ルードはそれを許さない。口からは喘ぎ声がひっきりなしに上がり、イヤイヤするように首を横に振れば、グリグリとソコばかりを弄られる。
「や、ぁ! あぁあ、んぅッ」
「イヤではないだろう?」
中指をゆっくりと抜かれ、ゆっくりと挿入されるのを繰り返されて頭がおかしくなりそうだ。――……いや、もうなっているのかもしれない。
「ここの場所の名前がわかるか、ヒビキ?」
「し、らないっ、ぁ、ぁああっ」
「前立腺、と言うんだ。気持ち良いな?」
「ァっ、んんっ、は、ぁあんっ! き、もち、イイ……?」
「そうだ。覚えておきなさい」
オウム返しのようにルードの言葉を辿るおれに、ふっと笑みを浮かべて優しく目元を細める彼。そして、前立腺を刺激しながらおれのモノを扱いて絶頂へと導こうとする。
「ひ、ァ、ァァあああッ!」
頭の中が真っ白になって――……、ルードの手の中に果てるのと同時におれは意識を飛ばした。
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おバカな2人のエロコメディです。
1〜3話完結するパッと読めるのを気が向いたら書いていきます。
頭空っぽにして読むやつ。♡喘ぎ注意。
傾国の伯爵子息に転生しました-嵌められた悪女♂は毎日が貞操の危機-
ハヤイもち
BL
”だからお前のことを手に入れることにする”
高校三年生卒業間際の誰もいない教室で親友に告白された主人公。
しかし、気づいたら悪役子息:シャルル伯爵子息に転生していた。
元の世界に戻るためにはシャルルを演じ切らないといけない。
しかし、その物語のシャルルは王子を陥れ、兄弟たちで殺し合わせた末に、
隣国の王子をたぶらかし亡命→その後気まぐれで自国に戻った際に
騎士団長に捕らわれて処刑されるというすさまじい悪役だった。
それでも元の世界に戻るために主人公は悪役を演じ切ると誓うが…。
※主人公は関西弁で本心隠す系男子。
2chスレ描写あります。
親友→→主人公(ヤンデレ)
隣国王子→→主人公
など主人公愛され描写あり。
地味顔陰キャな俺。異世界で公爵サマに拾われ、でろでろに甘やかされる
冷凍湖
BL
人生だめだめな陰キャくんがありがちな展開で異世界にトリップしてしまい、公爵サマに拾われてめちゃくちゃ甘やかされるウルトラハッピーエンド
アルファポリスさんに登録させてもらって、異世界がめっちゃ流行ってることを知り、びっくりしつつも書きたくなったので、勢いのまま書いてみることにしました。
他の話と違って書き溜めてないので更新頻度が自分でも読めませんが、とにかくハッピーエンドになります。します!
6/3
ふわっふわな話の流れしか考えずに書き始めたので、サイレント修正する場合があります。
公爵サマ要素全然出てこなくて自分でも、んん?って感じです(笑)。でもちゃんと公爵ですので、公爵っぽさが出てくるまでは、「あー、公爵なんだなあー」と広い心で見ていただけると嬉しいです、すみません……!
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