ことわり

まおまお

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ことのはのゆめ

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目が覚めると少し世界は変わっているだろうか
身体を動かさずに辺りを見渡してみると
それはいつもの景色で
少しばかり重い頭と
昨夜のお遊びで火照る身体が
いつまでもここに縛り付けるのだ
つまらない
そう言ってしまえば世界は単純で
そうとしかならない
美しい
そう言ってしまえば世界は複雑で
些細な事象にも意味を与えるのだ
僕は力を振り絞って
今日という世界へスタートをきる
歯を磨き
顔を洗い
髪を整え
服を着替える
いつも通りのルーチンが
自分という存在が
今日も続いていることに安心するとと同時に
どうしようもない苦しみが始まる
今日も私は言葉を発しに生きる
言葉はひとを殺す武器であり
言葉はひとを愛す衣である
ああ違う
そういうことを言いたいんじゃない
言葉は僕を証明する希望だ
僕が僕であるために
君が君であるために
また君は助手席で笑う
孤独な人間が気丈を保つ方便だと
そうかもしれないし
全てのものには中身なんてなくて
誰かが表現するなにかで
自分がどう感じるかで
中身があるなんて錯覚しているんだ
だから僕は孤独の言い訳をしている
発した言葉に一番触れたいのは
僕自身で
存在しない中身を
存在すると思いたい自分自身の
矛盾と屈辱の保身なのだ
今日を終え
ベッドに身を横たえたとき
一番の安らぎは
発する口も
聴く耳も
問う思考も
同時に失われる瞬間だと気づく
そして次に目覚めるときにまた問うのだ
世界は変わっているのかと
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