虐げられた黒髪令嬢は国を滅ぼすことに決めましたとさ

くわっと

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四章 呪いと反乱

98.決意をあらたに

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「ではお兄様、お大事に」

私はぺこりと頭を下げて、お兄様の部屋を離れます。
不必要にあの人の側にはいたくありません。
面白くないのなら、
メリットがないのなら、
可及的速やかに撤収するのが最善手なのです。

ですが、どうしようもないお兄様でしたが、今回はもしかするともしかするかもしれません。
何もできず、何もやらず、ただ後継としての立場に生まれたくらいしか価値のない、基本的にほぼ無価値なお兄様に、圧倒的な価値が生まれているのかもしれません。

まあ、これは本人の努力や頑張りとは無縁な、ただの偶然の産物、運命の悪戯。
だから、これで流石はお兄様、と賞賛する気持ちは微塵もでないのですけどね。

ただ、運が良かった。
たまたま、お兄様が選ばれた。
それだけのお話なのですから。

おっと、また話が横道にそれましたね。
私は物語の語り部には向いていないようです。
語るより読む方が好きなので、当然でしょうか。
加えて、人とお話しするのはあまり得意ではありません。
むしろ、苦手です。
加えて言うなら、嫌いです。
自分の適性を自由に選べない世界、やはりこの世界は歪で不条理で間違いだらけだと感じます。
それでも、生きている間は生きていなくてはいけません。
どうせ、人は死んだ死にます、お終いです。
当たり前のことですけど。

だから、私はこの生を、かつての私が望んだ下らない望みを叶えることにしたんです。
この国を滅ぼす、ということを。

でも、それはあくまで私の手で、という条件つきです。
何も関係のない、病原菌風情に横取りされるわけにはいかないのです。

だかた、国よりも先に貴方達を滅ぼしましょう。
一切の油断なく、徹底的に滅します。
そのために、手段は選びません。
誰を犠牲にしようと、
自らの手を血に染めようと、
悪魔の所業と非難されようと。
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