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四章 呪いと反乱

80.ありきたりな終わりの始まり

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あれから、なんやかんやとありまして、時間は流れました。
待てども待てどもレリーゼさんの組織からの連絡は来ず、その他国崩しのプランの種まきで時間を潰していましたが、特段特記事項もなく、ゆったりとした平和な時間が流れていました。

ですが、そんな時間は短いものです。
きっと神様は気が短いのでしょう。
ほのぼのストーリーは見るに堪えない、ということでしょう。
だからこそ、こうして私たちの国に災いを起こしたのでしょう。

「お嬢様、大変です。お父様がーーダービット様がっ」

「ペントレイアさん、落ち着いてください。内容は大方予想がつきます」

「すみません、でも、とにかく来てください!」

私の手を掴み、ほんの少し乱暴な力加減で引っ張ります。
やれやれ、です。
人生色々、何が起こるわからないのに、多少自身に都合が悪い、はたまた予想外なことが起こった程度で気を乱すとは良くないです。
私よりもこの世界を長く生きてきた人とは思えません。

「これからどうすれば、マーテルロ家は、この国の将来は……」

ぶつぶつと不安げにペントレイアさんは呟きます。
彼にとってはこの状況は相当に不安なようです。
領主の不調。
仕える使用人にとっては当然でしょうが。

てくてくと、
いや、どたどたと。
引き摺られるように歩いていきます。
お父様のところへと。
自分の意思とは関係なく、
ペントレイアさんの外力で。

でも、怖くありません。
別段、今から暴力的な教育的指導を受けるのではないのですから。
また、会うのが嫌という訳でもありません。
これから見る景色の想像はついています。

「これまでの努力は?苦痛に耐えてきた時間は?どうして、なんで、くそっ、くそっ、どこで間違えたっ」

ペントレイアさんは呪詛の言葉のようにブツブツとまだ続けています。
本当にショックが大きいようです。
何事も一つのものに集中する、ということは良くないということですね。
リスク分散。
書物にもありました。

そうこうしている内に、お父様の私室にたどり着きました。
豪華な外見の大きな扉。

「ペントレイアとオルコット様、入ります」

ノックの音にのせて、
許諾の声も待たずに、扉を開きます。
まあ、それも仕方がないのでしょう。

「驚かないでください。落ち着いて、冷静に受け入れてください」

お父様は醜く侵された姿で眠っています。

「あなたのお父様の、マーテルロ家の長の現状を」

それは、まるで呪いに侵されたような。
そんな、お姿。
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