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二章 誘拐と叛逆
49.人質の価値
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「おらーーよっと!」
黒い先輩さんは掛け声とともに、妹様の右足を投擲しました。
先とは異なり、空中、それも鳥さん目掛けて。
右足はくるくると旋回し、複数の鳥さんを巻き込んで直撃。
見事な投擲技術です。
「重いし、血生臭いが、投げれなくはーーないな。残り弾数は少ないから節約していくが」
残る鳥さんの一群を眺めつつ、呟きます。
囮の左足と、
投擲の右足で幾分数は減りました。
だけれど、まだ『群』と呼称できるほどの数はいます。
それに、追手は鳥さんだけではありません。
地上部隊と、まだ直面はしていませんが本隊もいるはずです。
はてさて、どうやって逃げ切るのでしょうか。
「何だ、不安そうな顔だな」
「それは……まあ」
「安心しろ……とまでは言わないが、心配は不要だ」
窓的な部分から、外を覗きつつ彼は言います。
「地上の獣はさっきの拠点に釘付けだろう。足はあるのに本体が見つかってないからな。頭部が見つからない限り、探し続けるだろうよ。無駄に、無意味に」
妹様のパーツを置いていたのはそういうことですか。
確かに、人は足を切り落としただけでは死にません。
同様に、腕を切り落とされただけでも死にません。
流石に首を切断されれば死にますが。
妹様のーー私も含めてですが、その存在理由はマーテルロ家のため。
それを達成するためには、極論生きてさえすればいい。
手がなくても、
足がなくても、
愚かでも、
呪われていても、
大きな問題ではない。
取り戻す価値はある。
死んでいない限りは、
マーテルロの血が流れている限りは。
「こっちを追いかけている部隊も数に限りがある。囮のパーツで分散し、投擲で駆除していけば数は減る。鳥の武装は地上部隊のそれよりは攻撃的じゃない。このまま追跡され続けるのは不味いが、致命的じゃあねぇ。最悪には程遠い」
そう皮肉っぽく笑いかけます。
きっと、この手のピンチの経験が豊富なのでしょう。
今回のも、過去のピンチの一つと同列に扱っているのでしょう。
今まで大丈夫だった。
だから、今回もなんとかなる。
けっこうやばいけど、振り返ればどうということはなかった、過去の一つとして扱っているのでしょう。
ーーだけれど、現実は甘くないです。
「先輩……どうしましょう」
そんな言葉とともに、謎の箱が急停止します。
ああ、嫌な予感しかしませんね。
黒い先輩さんは掛け声とともに、妹様の右足を投擲しました。
先とは異なり、空中、それも鳥さん目掛けて。
右足はくるくると旋回し、複数の鳥さんを巻き込んで直撃。
見事な投擲技術です。
「重いし、血生臭いが、投げれなくはーーないな。残り弾数は少ないから節約していくが」
残る鳥さんの一群を眺めつつ、呟きます。
囮の左足と、
投擲の右足で幾分数は減りました。
だけれど、まだ『群』と呼称できるほどの数はいます。
それに、追手は鳥さんだけではありません。
地上部隊と、まだ直面はしていませんが本隊もいるはずです。
はてさて、どうやって逃げ切るのでしょうか。
「何だ、不安そうな顔だな」
「それは……まあ」
「安心しろ……とまでは言わないが、心配は不要だ」
窓的な部分から、外を覗きつつ彼は言います。
「地上の獣はさっきの拠点に釘付けだろう。足はあるのに本体が見つかってないからな。頭部が見つからない限り、探し続けるだろうよ。無駄に、無意味に」
妹様のパーツを置いていたのはそういうことですか。
確かに、人は足を切り落としただけでは死にません。
同様に、腕を切り落とされただけでも死にません。
流石に首を切断されれば死にますが。
妹様のーー私も含めてですが、その存在理由はマーテルロ家のため。
それを達成するためには、極論生きてさえすればいい。
手がなくても、
足がなくても、
愚かでも、
呪われていても、
大きな問題ではない。
取り戻す価値はある。
死んでいない限りは、
マーテルロの血が流れている限りは。
「こっちを追いかけている部隊も数に限りがある。囮のパーツで分散し、投擲で駆除していけば数は減る。鳥の武装は地上部隊のそれよりは攻撃的じゃない。このまま追跡され続けるのは不味いが、致命的じゃあねぇ。最悪には程遠い」
そう皮肉っぽく笑いかけます。
きっと、この手のピンチの経験が豊富なのでしょう。
今回のも、過去のピンチの一つと同列に扱っているのでしょう。
今まで大丈夫だった。
だから、今回もなんとかなる。
けっこうやばいけど、振り返ればどうということはなかった、過去の一つとして扱っているのでしょう。
ーーだけれど、現実は甘くないです。
「先輩……どうしましょう」
そんな言葉とともに、謎の箱が急停止します。
ああ、嫌な予感しかしませんね。
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