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二章 誘拐と叛逆
48.妹様の使い方
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右腕、
左腕、
右足、
左足、
胴体、
胸部、
頭部。
妹様の体は、7個のパーツに分解されました。
その作業を、私はただ見つめていました。
特に、何か感じることもなく、
肉親が分解される様子を見ていました。
妹様は終始無言でした。
命がないから当然ですが。
黒かった先輩さんーー今や赤い先輩さんですが、彼の解体作業は鮮やかかつ迅速でした。
迷いも、
躊躇いもそこにはなく。
ただ、作業として妹様をバラバラにしていきました。
「先輩、脱出準備できました!」
「おう、こっちも解体完了だ」
妹様の右腕だけ残し、残りは手近な布袋に収納。
併せて私が量産した彼女の匂い袋も一緒に回収。
赤い先輩さんは、足早に出て行ったかと思えば、先の黒い衣装にフォームチェンジ。
黒い先輩さんに元どおり。
滑らかな動きで、私を肩に担ぎます。
「よし、逃げるぜ」
担がれ、少し上がった視座。
目を凝らし、隙間から外を覗きます。
正面は既にお猿さんが包囲しているようです。
空中には多数の鳥さんが旋回しています。
いきなり攻め込んで来ないのは、様子見なのでしょうか。
黒い先輩さんに戻った彼は、反対側の小窓のようなところから外へと脱出。
横付けされていた謎の箱へと乗り込みます。
「全速力でいきます!」
既に中に黒い後輩さんがスタンバッていました。
彼女の掛け声とともに、箱は轟音とともに出発します。
「おう、頼むぜ。俺はやることがあるから、ナビゲーションはできねぇが、大丈夫か?」
「誰に言ってるんですか?私が天才肌のレオリーゼさんと知っての放言ですか?」
黒い後輩さんは自身をレオリーゼと呼称します。
どこか高貴な感じのする音。
本当にこの人たちはただの誘拐犯さんなのでしょうか?
名前はいいとして、見たことのない乗り物、黒尽くしの装備、名家の報復を恐れない大胆さ。
ーーいけません、またどうでもいいことに思考が傾きました。
私が考えることは生き残ること。
生き残って、その後も行き続けるための算段、です。
「おうおうおう、予想通り鳥さんが追ってきてやがる。地面に立ってる猿や犬の目と鼻は誤魔化せても鳥は無理ってか」
冗長に笑う黒い先輩さん。
「だが、取り敢えず数は減らしておこうか」
そう言って、先の妹様のパーツ。
今回は左足を外に向けて投げ捨てます。
滲み出す血を大地への痕跡に。
鳥さんの一群も、一部分ですがそれに目掛けて軌道を変えます。
妹様の匂いに引きつけられているのでしょう。
マーテルロ家の血の匂いに。
左腕、
右足、
左足、
胴体、
胸部、
頭部。
妹様の体は、7個のパーツに分解されました。
その作業を、私はただ見つめていました。
特に、何か感じることもなく、
肉親が分解される様子を見ていました。
妹様は終始無言でした。
命がないから当然ですが。
黒かった先輩さんーー今や赤い先輩さんですが、彼の解体作業は鮮やかかつ迅速でした。
迷いも、
躊躇いもそこにはなく。
ただ、作業として妹様をバラバラにしていきました。
「先輩、脱出準備できました!」
「おう、こっちも解体完了だ」
妹様の右腕だけ残し、残りは手近な布袋に収納。
併せて私が量産した彼女の匂い袋も一緒に回収。
赤い先輩さんは、足早に出て行ったかと思えば、先の黒い衣装にフォームチェンジ。
黒い先輩さんに元どおり。
滑らかな動きで、私を肩に担ぎます。
「よし、逃げるぜ」
担がれ、少し上がった視座。
目を凝らし、隙間から外を覗きます。
正面は既にお猿さんが包囲しているようです。
空中には多数の鳥さんが旋回しています。
いきなり攻め込んで来ないのは、様子見なのでしょうか。
黒い先輩さんに戻った彼は、反対側の小窓のようなところから外へと脱出。
横付けされていた謎の箱へと乗り込みます。
「全速力でいきます!」
既に中に黒い後輩さんがスタンバッていました。
彼女の掛け声とともに、箱は轟音とともに出発します。
「おう、頼むぜ。俺はやることがあるから、ナビゲーションはできねぇが、大丈夫か?」
「誰に言ってるんですか?私が天才肌のレオリーゼさんと知っての放言ですか?」
黒い後輩さんは自身をレオリーゼと呼称します。
どこか高貴な感じのする音。
本当にこの人たちはただの誘拐犯さんなのでしょうか?
名前はいいとして、見たことのない乗り物、黒尽くしの装備、名家の報復を恐れない大胆さ。
ーーいけません、またどうでもいいことに思考が傾きました。
私が考えることは生き残ること。
生き残って、その後も行き続けるための算段、です。
「おうおうおう、予想通り鳥さんが追ってきてやがる。地面に立ってる猿や犬の目と鼻は誤魔化せても鳥は無理ってか」
冗長に笑う黒い先輩さん。
「だが、取り敢えず数は減らしておこうか」
そう言って、先の妹様のパーツ。
今回は左足を外に向けて投げ捨てます。
滲み出す血を大地への痕跡に。
鳥さんの一群も、一部分ですがそれに目掛けて軌道を変えます。
妹様の匂いに引きつけられているのでしょう。
マーテルロ家の血の匂いに。
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