44 / 121
二章 誘拐と叛逆
42.言いたい
しおりを挟む
うーん、
えっと、
そうですね。
私は心中で思考を巡らせます。
ネタバラシをいつしましょうか?
それは私にとってリスクしかないのですが、何故でしょう、『妹様、お久しぶりです』と言って、フォルテシア=マーテルロの姿に戻りたい気持ちがありあす。
妹様がどんな顔をするか、
どんな言葉を放つの興味がつきません。
「私が、オルコット=マーテルロ!」
妹様は声を荒げながら、叫びます。
だけれど、痛みのせいかいつものような声量には至りません。
語気は強いですが、掠れたような小さな声。
「7大名家の、一つの、マーテルロ家の、娘!」
言葉も途切れ途切れ、
綺麗に文節です。
顔も悲痛に歪んでいます。
声を出す度に傷が痛むのでしょう。
切り傷は体に響きますから。
鋭く、
鈍く、
辛く、
苦しい。
それが腕、腹、足ーー色んな場所から来るのですから、大変です。
大忙しです。
「てか、さっきから、何私の体を、ずたずたに、してんの!」
おっと、そうでした。
忘れてました。
妹様と違って、私は手も足も自由なのです。
作業を止めてはいけません。
時間は有限です。
「えいっ」
少し可愛く言って、刃物を妹様の喉元に突き刺します。
「いっ、がっ……くぅ」
音の漏れる音。
む以外の言葉。
悶えながら、妹様はじたばたと体を動かします。
「だから、痛いって!私はマーテルロ家の娘よ!それを分かってやってーー」
「そいっ」
しゃっ、と刃物を腹先に這わせます。
妹様の叫びとともに、刃物が血を啜ります。
というか、私も同じマーテルロ家の娘なんですよね。
立場と利用価値は違いますけれど。
「やめて、やめて、よ!傷が、残るじゃない、お父様に、叱られるっ」
おお、そうでした。
妹様の利用価値は、あくまで政略用の道具。
傷物になってしまっては、それは大きく下がります。
多分、もう遅いでしょうけど。
えっと、
そうですね。
私は心中で思考を巡らせます。
ネタバラシをいつしましょうか?
それは私にとってリスクしかないのですが、何故でしょう、『妹様、お久しぶりです』と言って、フォルテシア=マーテルロの姿に戻りたい気持ちがありあす。
妹様がどんな顔をするか、
どんな言葉を放つの興味がつきません。
「私が、オルコット=マーテルロ!」
妹様は声を荒げながら、叫びます。
だけれど、痛みのせいかいつものような声量には至りません。
語気は強いですが、掠れたような小さな声。
「7大名家の、一つの、マーテルロ家の、娘!」
言葉も途切れ途切れ、
綺麗に文節です。
顔も悲痛に歪んでいます。
声を出す度に傷が痛むのでしょう。
切り傷は体に響きますから。
鋭く、
鈍く、
辛く、
苦しい。
それが腕、腹、足ーー色んな場所から来るのですから、大変です。
大忙しです。
「てか、さっきから、何私の体を、ずたずたに、してんの!」
おっと、そうでした。
忘れてました。
妹様と違って、私は手も足も自由なのです。
作業を止めてはいけません。
時間は有限です。
「えいっ」
少し可愛く言って、刃物を妹様の喉元に突き刺します。
「いっ、がっ……くぅ」
音の漏れる音。
む以外の言葉。
悶えながら、妹様はじたばたと体を動かします。
「だから、痛いって!私はマーテルロ家の娘よ!それを分かってやってーー」
「そいっ」
しゃっ、と刃物を腹先に這わせます。
妹様の叫びとともに、刃物が血を啜ります。
というか、私も同じマーテルロ家の娘なんですよね。
立場と利用価値は違いますけれど。
「やめて、やめて、よ!傷が、残るじゃない、お父様に、叱られるっ」
おお、そうでした。
妹様の利用価値は、あくまで政略用の道具。
傷物になってしまっては、それは大きく下がります。
多分、もう遅いでしょうけど。
0
お気に入りに追加
907
あなたにおすすめの小説
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
【完結】城を追放された第三王子は、伝説の聖女になって王国に復讐する。
アキ・スマイリー
ファンタジー
公爵令嬢に婚約破棄された事がきっかけで、城を追放された第三王子ジャン・エトワール。
ジャンは妾の子だった。彼の母親はかつて予言の聖女と呼ばれ、数々の予言を残した。だが王国が滅ぶと予言した際に、反逆罪で処刑されてしまう。
追放される際に国王である父親に母親を侮辱されたジャンは、必ず母親の潔白を証明し、復讐すると誓う。
そして彼には秘密があった。窮地にある人々の元へ颯爽と現れ、救済する伝説の聖女ジャンヌ。その正体は、女性に変身したジャンだった。
母親から「予言の聖女」の力を引き継いだジャンは、その力を用いて人々を救っていたのだ。
王国滅亡へのカウントダウン。予言の時は刻一刻と迫る。
表紙はniu様(TwitterID @niufog)より許可を頂いたフリーアイコンです。
(完結)浮気をしていたから家庭円満だったんだと言う夫は棄ててもいいですか?
青空一夏
恋愛
※異世界だけど現代日本にそっくりな世界のお話です!ゆるふわ設定。
男爵家の次男と次女の私達夫婦のお話。
私の夫は爵位がないので、電気店で働いていて、私は洋服屋さんで働いています。子供は二人いて男の子と女の子です。ある日、私は気がついたんです! 夫の浮気に・・・
現代日本とそっくりな貴族がいる異世界のお話です。
シリアス展開、途中、コミカルかな。
男の身勝手さと、男性ならばもしかしたら共感できる部分もあるのかなという夫視点の部分と
妻の立場なら共感しまくりの妻視点から物語が進行します。
なんで私だけ我慢しなくちゃならないわけ?
ワールド
恋愛
私、フォン・クラインハートは、由緒正しき家柄に生まれ、常に家族の期待に応えるべく振る舞ってまいりましたわ。恋愛、趣味、さらには私の将来に至るまで、すべては家名と伝統のため。しかし、これ以上、我慢するのは終わりにしようと決意いたしましたわ。
だってなんで私だけ我慢しなくちゃいけないと思ったんですもの。
これからは好き勝手やらせてもらいますわ。
触手の魔女 ‐Tentacle witch‐
塩麹絢乃
ファンタジー
触手は触手でもスライム触手。
スライムはスライムでも洋ゲースライム。
『スライム』と契約した落ちこぼれ魔女見習いのリンちゃんが『英雄』になるまでのお話です。
タイトルで魔女がどうとか言ってますけど、戦闘スタイルは剣術主体のスライムナイトです。
一章~三章はほのぼの成分多め。
四章~六章はシリアス成分多めとなっております。
毎日17時更新。
――真面目なあらすじ――
リンは魔力量に恵まれず、簡単な魔法すら満足に扱えなかった。生来、負けん気の強いリンはそんな現状を良しとせず血の滲むような努力を重ねたが、持って生まれた資質が物を言う魔力量はもちろん、感覚的な部分に依存しがちな魔力操作の方も一向に改善できずにいた。
足掻けども足掻けども、『クレプスクルム魔法女学院、開校以来の落ちこぼれ』……そう蔑まれた。
だが、心身ともに追い詰められた頃、ある転機を迎える。中等部二年生への進級に合わせて、【契約召喚】の課題が出されたのだ。
【契約召喚】とは、魔法使いが一人前になるまでの間に必ず行われる通過儀礼(イニシエーション)。隣り合う〝魔界〟と交信し、魂の共鳴に適う存在と契約を結ぶ魔法。通常の【召喚魔法】と違い、この時に結ばれた契約は一生涯にわたって継続される。
もはや、現状を打破する道は他にないとリンは全てを賭けて【契約召喚】に臨む。
だが、【契約召喚】によって現れたのは研究素材にしかならないような下等な魔物――『スライム』だった。
八方塞がりの現実に絶望するリン。そんなリンに対して、本来なら喋ることもできない筈の『スライム』が語りかける。
「――おい、お前がオレ様の召喚者か?」
この時、転機を迎えたのは、何もリンと『スライム』の両者だけではない。
まだ当人たちすらも理解していないことだろうが、両者の出会いはあまりにも多くの人々に取って重大な転機となる。
――今、運命の歯車は人知れず噛み合い、少しずつ耳障りな軋音を響かせながら回り始めた。未だ小さなその音に気付く者はいない。だが、いずれは誰もが気付かされることになる。その時になって耳を塞ごうとしても、もう手遅れだ。
王党派も諸侯派も
国教派も民宗派も
植民者も土着民も
一切の区別なく、大いなる『革命』の渦中へ引きずり込まれる。
何千何万という人間が織りなす抗い難き時代の流れを前にして、果たしてリンは何を見、如何なる道を選ぶのだろうか。
仲間を庇って半年間ダンジョン深層を彷徨った俺。仲間に裏切られて婚約破棄&パーティー追放&市民権剥奪されたけど婚約者の妹だけは優しかった。
蒼井星空
恋愛
俺はこの街のトップ冒険者パーティーのリーダーだ。
ダンジョン探索は文字通り生死をかけた戦いだ。今日も俺たちは準備万端で挑む。しかし仲間のシーフがやらかしやがった。罠解除はお前の役割だろ?なんで踏み抜くんだよ。当然俺はリーダーとしてそのシーフを庇った結果、深層へと落ちてしまった。
そこからは地獄の日々だった。襲い来る超強力なモンスター。飢餓と毒との戦い。どこに進めばいいのかも分からない中で死に物狂いで戦い続け、ようやく帰っていた。
そこで待っていたのは、恋人とシーフの裏切りだった。ふざけんなよ?なんで俺が罠にかかって仲間を危険に晒したことになってんだ!?
街から出て行けだと?言われなくてもこっちから願い下げだよ!
と思ったんだが、元恋人の妹だけは慰めてくれた。
あのあと、元仲間たちはダンジョンを放置したせいでスタンピードが起こって街もパーティも大変らしい。ざまぁ!!!!
と思ってたら、妹ちゃんがピンチ……。
当然助けるぜ?
深層を生き抜いた俺の力を見せてやるぜ!
巻き込まれ召喚された上、性別を間違えられたのでそのまま生活することにしました。
蒼霧雪枷
恋愛
勇者として異世界に召喚されチート無双、からのハーレム落ち。ここ最近はそんな話ばっか読んでるきがする引きこもりな俺、18歳。
此度どうやら、件の異世界召喚とやらに"巻き込まれた"らしい。
召喚した彼らは「男の勇者」に用があるらしいので、俺は巻き込まれた一般人だと確信する。
だって俺、一応女だもの。
勿論元の世界に帰れないお約束も聞き、やはり性別を間違われているようなので…
ならば男として新たな人生片道切符を切ってやろうじゃねぇの?
って、ちょっと待て。俺は一般人Aでいいんだ、そんなオマケが実はチート持ってました展開は望んでねぇ!!
ついでに、恋愛フラグも要りません!!!
性別を間違われた男勝りな男装少女が、王弟殿下と友人になり、とある俺様何様騎士様を引っ掻き回し、勇者から全力逃走する話。
──────────
突発的に書きたくなって書いた産物。
会話文の量が極端だったりする。読みにくかったらすみません。
他の小説の更新まだかよこの野郎って方がいたら言ってくださいその通りですごめんなさい。
4/1 お気に入り登録数50突破記念ssを投稿してすぐに100越えるもんだからそっと笑ってる。ありがたい限りです。
4/4 通知先輩が仕事してくれずに感想来てたの知りませんでした(死滅)とても嬉しくて語彙力が消えた。突破記念はもうワケわかんなくなってる。
4/20 無事完結いたしました!気まぐれにオマケを投げることもあるかも知れませんが、ここまでお付き合いくださりありがとうございました!
4/25 オマケ、始めました。え、早い?投稿頻度は少ないからいいかなってさっき思い立ちました。突発的に始めたから、オマケも突発的でいいよね。
21.8/30 完全完結しました。今後更新することはございません。ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる