華麗なる転生を遂げたのに、いきなり婚約破棄とか。

くわっと

文字の大きさ
65 / 68
3章 政略と征略

63.ヘーゲル=エーテルザット

しおりを挟む
エーテルザット家、
私の属するラインバルト家と同じく名家の一つ。
何が特徴の名家か忘れたが、何か凄いのだろう。

ステノン家は農業、
アルバート家は工業、
ラインバルト家は……なんだっけ、それも忘れた。
私、物覚えはそんなにいい方ではないからな。
日本史も世界史も苦手だったし。
今を生きる女、といえば聞こえはいいけれど。

「では、ついてきてもらおう。ルパイン、そこの二人は適当に拘束して回収しておけ」

「へいへい、了解しましたよ、主人様」

フランクな感じでルパインは言う。
ポケットから黒塗りのロープのようなものを取り出し、二人の両手・両足を拘束。
スムーズな動作で、そのまま二人を両肩に抱え込む。
力持ちだ。

「お前は誰だ?エーテルザット家の当主がこんなに若い訳がない」

既に縛られているアルベルトが騒ぐ。
たしかに、今までの婚約者系は見た目に多少の差はあれどあくまで次期当主候補だった。
このアルベルト=アルバート然り、
写真の記憶しかないが、バルバトロス=ステノン然り。

年齢的に国を治めるには若すぎる。
本来は父親世代の治世のはず。
急逝したのか、
それとも。

「先代なら、我が殺した。故に我が当主だ」

淡々と言う。
大したこと無いように。
虫でも殺したように。

「名家に非る野蛮民族がっ!」

「そんな野蛮民族に頼ってる次期当主様のお言葉とは思えないね。誰のおかげで、あんたの政略が成功したと思ってる?誰が手を汚して、若い生贄を用意したと思ってる?もっと感謝してほしいくらいなんだよな、こっちだってやりたくてやってるわけじゃあないだぜ」

「それは……」

ルパインの言葉に、黙るアルベルト。
なるほど、だからこの二人は知り合いだったのか。
アルベルトが自身の領地を維持するための政略に、一枚噛んでいるということか。
話し合いや政治だけ、非武装交渉ではなにも進まないということ。

「一応、そいつも回収しておけ。何かの交渉カードには使えるかもしれない」

「それはいいですけど、生憎両手が塞がってるんで」

「ならば、咥えて持っていけ」

「そんな無茶な、俺の口は美女のためにあるんですよ」

「なら、右肩の美女を咥えれば良かろう」

「確かに、それは妙案。流石は主人様」

ルパインはそうして、メノウを口に咥え(正しくは口で服の中央部を)、アルベルトをその右肩に回収した。
本当にパワフルだな、この人。

「よし、では撤収だ。案ずるな、殺しはしないし嬲りもしないし辱めることもない。あくまでお前は我の婚約者。エーテルザット家の象徴になってくれればいい」

そう言って、ヘーゲルは私の手をとった。
私の感覚のない、左手を。

しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

ヒロインだと言われましたが、人違いです!

みおな
恋愛
 目が覚めたら、そこは乙女ゲームの世界でした。  って、ベタすぎなので勘弁してください。  しかも悪役令嬢にざまあされる運命のヒロインとかって、冗談じゃありません。  私はヒロインでも悪役令嬢でもありません。ですから、関わらないで下さい。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

谷 優
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。 ◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

処理中です...